2016.09.14
16：15
第六トーアビル ＠歌舞伎町
最恐度 89/100
ホストやホスト好きの人たちの間では、自殺スポットとして有名な歌舞伎町の「第六トーアビル」。営業終了後の店舗では首つり自殺、飛び降り自殺した人は数知れず、今は屋上へのルートは封鎖されている。
心霊の目撃情報も後を絶たない。このビルで働いていた元ホストの男性いわく、向かって左側のエレベーターの中で、“出遭ってしまった”という。営業終了後、止まるはずのない途中階から髪の長い女性が無言で乗ってきて、男性の背後に立った。最上階に着いて振り向くと、いるはずの彼女がいない。ビビりまくっていると、閉まりゆくエレベーターの中に再び女性の姿が。散々、貢がせた末に捨てた女性とよく似ていたのだそう。この生霊を見たあと、彼はすぐさま水商売から足を洗った。
話を聞いてゾッとしたが、なにせここはホストクラブとラブホテルだらけの街。退廃的な空気に感化されてしまったのか、ふとそのエレベーターに乗ってみたくなってしまったのだが、「面白半分でいくとヤバイですよ。次行きましょ、次！」とN氏に諭された。見たことのない真顔だったので怖くなりすぐに足を止めたが、次の心霊スポットへと移動する車中、強烈な眠気に襲われた。
そういえば、あるミディアム（霊媒）のブログにこう書いてあった。波長の高い、低いに関係なく、霊的エネルギーに感応して影響を受けると、その度合いが大きければ大きいほど、眠くなることもあるのだと。眠気だけで済んで良かったが、たぶん興味本位で行くと後戻りできない危険なスポットかもしれない。
17：00
長泉禅寺の隣の白いマンション ＠原宿
最恐度 65/100
ここに来て、一瞬、原宿のど真ん中にいることを忘れそうになった。若者たちでにぎわう明治通り沿い、京セラビルのすぐそばにある「慈雲山 長泉禅寺」。裏の広大な敷地一面に、お墓が林立していることを知っている人はいるだろうか？何でも、この寺に入りきらない相当数の骨壺が、となりの白いマンションの1/3のスペースに納められているという。諸説はあるが、古くても建て替えができないのが理由らしい。
老朽化してはいるものの、至って普通のマンションだ。エントランスは明るく、人の出入りも多い。最近では遺骨をペンダントにして持ち歩くなど、故人の偲び方も多様化しているから、マンションの一室に骨壺が納められていても何ら不思議ではないが、しばらく居るとやはり息苦しさを感じた。気のせいかもしれないが、肩は重く首も痛かった。
故人の立場からすれば、見ず知らずの人たちと並んで眠っている状態だもの、さぞ落ち着かないことだろう。その空気が建物のあちこちから滲み出ているような。まだ日の明るいうちだったから居れたけど、夜間は何が起きても不思議ではない。断固として近寄りたくないスポットだ。
18：30
東池袋中央公園（巣鴨プリズンの処刑場跡地）＠池袋
最恐度 72/100
この日最後に訪れたのは、巣鴨プリズンの跡地に建つ「サンシャイン60」。東京裁判で死刑判決を言い渡された元内閣総理大臣の東条英機ら戦犯60人や、ゾルゲ事件の首謀者リヒャルト・ゾルゲと尾崎秀実が収容されていた拘置所のあった場所である。
よく混同されるみたいだが、巣鴨プリズンはあくまで拘置所。死刑が執行された処刑場跡地は、すぐそばにある「東池袋中央公園」の方だ。小雨がぱらつき始めた園内には、やたら人馴れした猫たちがそこかしこにいて、浴衣姿の女の子たちや少年グループの姿があり、なんだかほんわかしていた。どうやらポケモンGOの獲得に夢中の様子。
公園の隅にひっそりと建つ慰霊碑には、奇妙な影が写る、“ヒュウ”と息を吸うような音やうめき声が聞こえるなど、色んな噂があるが、穏やかで神聖な感じ。それよりも、ホームレスの人たちが身を寄せる公園奥の方がずっとおどろおどろしい。処刑台があった場所なのか、柵で囲まれたエリアはアクセス禁止。暗いし、重いし、いかにも物騒。色んな意味で、寒気がした。
足を踏み入れていい限界を冷静にジャッジできる頭を持ち、“塩”をきちんと用意していたカメラマンN氏のように、礼節と結界をわきまえた姿勢で向かうなら、心霊スポットツアーは、形ある存在として今生きていることの有り難味を感じられる貴重な経験になるかもしれない。ただし、何が起きてもすべて自己責任。人情の機微に敏感な人は、どうか一人で行かないように。帰って来れなくなるかもしれないから。
