ゴダールが3D映画の可能性に挑んだ
『さらば、愛の言葉よ』

2015.01.30

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ヌーベルヴァーグの巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督が3D映画に挑戦した『さらば、愛の言葉よ』。1月31日(土)より、シネスイッチ銀座ほかで全国ロードショーされる。

カンヌ映画祭では審査員賞と“パルムドッグ”をダブル受賞

半世紀以上も昔、スタジオ撮影が当たり前だった時代に『勝手にしやがれ』(1959年)でカメラを屋外にもち出し、街の空気をそのままスクリーンに映し出すことで、映画界に“ヌーベルヴァーグ(新しい波)”の革命をもたらしたジャン=リュック・ゴダール監督。 現在84歳を迎えた巨匠のあらたな挑戦は、“芸術映画”として3Dの可能性に挑んだ『さらば、愛の言葉よ』。既存の手法にとらわれず、斬新な表現で映画界を牽引し、「常に処女作をつくる」と公言する巨匠が、3Dの魅力を映画に注ぎ込んだ野心作だ。

本作は、2014年の第67回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。さらにゴダール監督とそのパートナーであるアンヌ=アリーの愛犬であり、映画にも出演したロクシー・ミエヴィルに“パルムドッグ審査員特別賞”が授与された。また、2015年の第49回全米映画批評家協会賞でも、見事作品賞を受賞している。

撮影はゴダール監督と、撮影監督のファブリス・アラーニョ、製作主任のジャン=ポール・バタジアの3人のスタッフのみで進行。彼らは3D撮影のため、キヤノンのデジタルカメラ2台を並べて固定した、特製のカメラを製作。ライカのレンズを組み合わせることで、アーティスティックな色合いと3Dを実現した。また、編集はゴダール監督自身が手がけている。

ふたたび出会う男と女

人妻と独身の男。二人は愛し合い、喧嘩し、一匹の犬が街と田舎をさまよっている。そして時はめぐり、季節は過ぎ去り、男と女はふたたび出会った。しかし、かつての夫がすべてを台無しにし、第二幕がはじまる。

3Dによって“男と女”の関係は緊張感を増し、犬がスクリーンを伸びやかに駆け巡り、“言葉”が立体的に紡がれていく。

左右の目にそれぞれ異なる映像を配し、遊び心たっぷりに3Dを変革する『さらば、愛の言葉よ』は、孤高の芸術家ゴダールの集大成ともいえるだろう。彼の映画への情熱は、いまだ衰えを知らない。

Text by YANAKA Tomomi

『さらば、愛の言葉よ』
1月31日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
監督・編集・脚本│ジャン=リュック・ゴダール
出演│エロイーズ・ゴデ、カメル・アブデリ、リシャール・シュヴァリエ、ゾエ・ブリュノー
配給│コムストック・グループ
2014年/フランス/69分/原題:Adieu au Langage 3D
http://godard3d.com/

OPENERSより
MOVIE│ゴダールが3D映画の可能性に挑んだ野心作『さらば、愛の言葉よ』
http://openers.jp/article/878596

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