アピチャッポン・ウィーラセタクン個展
『FIREWORKS(ARCHIVES)』

2014.09.08

CLIPPING
fire_works “Primates’ Memories” 2014 ©Apichatpong Weerasethakul

タイ人アーティストであり、2010年にカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した映画監督としても知られるアピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong Weerasethakul)の個展『FIREWORKS(ARCHIVES)』。9月11日(木)から10月4日(土)まで、東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開かれる。

花火が自他の境を越えた記憶の不確かな領域を照らし出す

1970年、バンコクに生まれたアピチャッポン・ウィーラセタクン氏。タイのコーン・ケーン大学で建築学を学び、渡米。シカゴ美術館付属美術大学でビジュアル・アート(映像)の修士号を取得し、その後はアーティストとして世界規模の美術展などにも出展してきた。いっぽう、映画監督としても2000年に監督デビューを果たし、6作目となる『ブンミおじさんの森』は2010年にカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールに輝くなど、幅広い活躍を見せるアーティストだ。

現在、チェンマイを拠点に創作するアピチャッポン・ウィーラセタクン氏の新作が展示される本展では、出身地であるタイ東北地方の歴史や伝承、記録を参照しながら、光と記憶のかかわりにスポットを当てた作品を中心に紹介。

プロジェクトの初作となる『FIREWORKS(ARCHIVES)』(2014年)は、タイとラオスの国境の町ノンカイのサラ・ケオクー寺院で撮影。ひとびとの喧騒と陽気な祝祭を暗示する花火の光が、ヒンズー教徒と仏教を融合した不思議な動物像を照らし出す様子が収められた。
「『FIREWORKS(ARCHIVES)』は、私が生まれ育ったタイ東北地方の寺院にある石像彫刻の記録であり、花火による一瞬の照射を受けて幻覚を引き起こす記憶の装置です」と語る、アピチャッポン・ウィーラセタクン氏。政治的にも抑圧され、かずかずの抵抗も生み出されたという歴史をもつタイ東北部を舞台に、荒廃と開放の象徴として野獣たちの彫刻が花火により暗闇に浮かび上がる。

このほかにも故人と共同体の記憶、夢や眠りなど、現在彼が制作している映画『王の墓』へも引き継がれるようなコンセプトをもつ、花火にまつわる映像インスタレーションや版画、写真作品が、自他の境を越えた記憶の不確かな領域を照らし出す。
Text by YANAKA Tomomi

FIREWORKS(ARCHIVES)
会期│9月11日(木)~10月4日(土) ※日曜、月曜、祝日は休廊
時間│12:00~18:00
会場│SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
Tel.03-3821-1144
入場料│無料
http://www.scaithebathhouse.com/

オープニング・レセプション
日時|9月11日(木) 18:00 – 20:00

作家とのスカイプ・トーク
日時|9月11日(木) 19:00-19:30(予定)
進行|吉岡憲彦
国際交流基金アジアセンター
インタビュアー|石坂健治
東京国際映画祭「アジアの未来」プログラミングディレクター

OPENERSより
ART│カンヌ映画祭でパルムドールに輝いたタイ人アーティスト
http://openers.jp/culture/tips_art/news_apichatpong_weerasethakul_fireworks_47917.html

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