仏の若き俊英ピエール・ニネ主演作品
『イヴ・サンローラン』- (2)

2014.09.09

CLIPPING
yves_saint_laurent_2 ©WY productions – SND – Cinefrance 1888 – Herodiade – Umedia

本作でイヴ・サンローラン役に抜擢されたのは、国立劇団コメディ・フランセーズに在籍するピエール・ニネ。ジャリル・レスペール監督はニネと出会い「イヴ・サンローランを演じられるのは彼しかいない」と確信。「天性のエレガンスと立ち振る舞いが似ていた」のが起用の理由だと話し、さらに「この役を演じるには、若くて、舞台経験があって、演技の基礎がしっかりしていて、さらに仕事熱心であることが条件だった」と語っている。

サンローランになりきった役作り

撮影前の約5カ月の準備期間、ピエール・ニネは数々の記録映像を参考にサンローランの立居振る舞いの特徴をつかみ、iPodにサンローランの声を入れて発声法や話し方を徹底的に研究。さらには、サンローランの現デザイナー、エディ・スリマンのスタジオで実際のクチュリエの仕事を体験し、ショーのバックステージも見学。デッサンもマスターするなど、万全の態勢で本番に臨んだ。

本人に酷似したヴィジュアルと、ときに狂気をはらんだ繊細さを見事に表現したその迫真の演技は、ピエール・ベルジェに「本人じゃないかと思い、動揺して混乱した」とまで言わしめ、サンローランが飼っていたペットの犬さえ、興奮してニネに飛びついたほど。いまや、ニネはフランスで最も期待される若手俳優のひとりとされている。

サンローランを支えるピエール・ベルジェに扮するのは、自ら監督・主演を務めた『不機嫌なママにメルシィ!』で本年度のセザール賞5部門を制したギョーム・ガリエンヌ。ニネと同じくコメディ・フランセーズ所属の実力派俳優で、稀有な天才を愛した男の喜びと切なさを細やかに演じている。

さらに本作のもうひとつの見どころとなるのが、華やかなファッション業界の裏側。アトリエでの地道な仕事、ショーの準備から本番までの流れ、デザイナーがアイディアを生み出すまでの心の動きとテクニックを丁寧な筆致で描いている。また、愛人を共有したカール・ラガーフェルドやアンディ・ウォーホルら、セレブとの興味深い交流についても、劇中で明かされる。

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL
News Clip一覧を見る