エキスパートが指南する
初心者のための東京国際映画祭入門(1)-2

2014.10.23

CLIPPING
1001grams_01_665 © 1001 Grams / Ane Dahl Torp * BulBul Film / Pandora Filmproduktions / Slot Machine * Photographer: John Christian Rosenlund

「コンペティション部門からは、初心者の方でしたら、『1001グラム』がお勧めです。ノルウェーの作品で、内気な研究者の女性が、パリへの出張を通じて心の殻を破っていく過程を描く、温かいヒューマンドラマです。背景が独特で、思わず笑ってしまう描写も多く、デートでも、女性同士でもおすすめです。

アクション好きでしたら、フランスのギャング対検察の事実に基づくドラマを映画化した『マルセイユ・コネクション』がお勧めですし、スリリングな心理ドラマが見たい方は『メルボルン』が絶対気に入るはず。

アート系が気になる向きには、非常に美しく個性的な映像が光る『草原の実験』に驚くと思います。また、宮沢りえさんの演技が素晴らしい『紙の月』も日本代表として必見です。

アジアの期待の才能を集める、アジアの未来部門では、近年勢いのあるフィリピンの『雲のかなた』や、カンボジアの激動の現代史をなぞる『遺されたフィルム』などがお勧めです。この部門の日本代表である『マンガ肉と僕』の独特の世界観にも注目して下さい。

ワールド・フォーカス部門では、『シーズ・ファニー・ザット・ウェイ』が絶品のラブコメディーで、老若男女楽しめます。絶対に映画祭でしか見られないものが見たい、という方は、『昔のはじまり』にチャレンジしてみては? 上映時間、5時間半です!」

mukashi_665 これぞ映画祭の醍醐味!? 5時間半の超大作『昔のはじまり』

今回お届けした矢田部氏のアドバイスをもとに、まずは映画祭の公式ホームページで上映作品を熟読の上、“国際映画祭”というあらたな冒険に足を踏みだしてみてはいかがだろうか。

次回は、10月23日(木)の東京国際映画祭開幕に合わせて、特別提供企画の「MoMA ニューヨーク近代美術館映画コレクション」にフォーカス。再びエキスパートの指南をもとに、特に注目すべき5作品を取り上げて紹介する予定だ。お楽しみに。 Text by YATABE Yoshihiko
Edited by WATANABE Reiko(OPENERS)

矢田部吉彦|YATABE Yoshihiko
フランス・パリ生まれスイス育ち。日本興業銀行(現みずほ銀行)に勤務。退職後、映画の配給、宣伝を手がける一方、ドキュメンタリー映画のプロデューサー及びフランス映画祭の運営に携わる。その後、東京国際映画祭に入り、上映作品の選定をおこなう作品部の統括を担当。同時に「日本映画・ある視点」部門のプログラミング・ディレクターも務める。映画祭の生え抜きスタッフとして、2007年から「コンペティション」部門のプログラミング・ディレクターに就任。

第27回東京国際映画祭
日程|10月23日(木)~10月31日(金)
会場|TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、TOHOシネマズ 日本橋、歌舞伎座
上映部門|コンペティション、特別招待作品、ワールド・フォーカス、アジアの未来、国際交流基金アジアセンターpresents CROSSCUT ASIA # 魅惑のタイ、日本映画スプラッシュ、庵野秀明の世界
特別提携企画|MoMA ニューヨーク近代美術館映画コレクション
※チケットは、ticket boardにて発売中
詳細は公式サイトhttp://2014.tiff-jp.net/ja/まで

OPENERSより
MOVIE|今年こそはあなたも国際映画祭デビュー!
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_tiff_guide_49069.html

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