Editor’s Eye

2017.12.04

Editor’s Eye


同じく「冬至光遥拝隧道」も、一年の終点であり起点でもある“冬至”という特別な日の朝日が70メートルの隧道を貫き意識化することで、“人の最も古い記憶”を我々に蘇らせることを目的としている。
冬至光遥拝隧道 ©小田原文化財団/Odawara Art Foundation そして「冬至光遥拝隧道」の対局とも言えるのが、海抜100メートルの地点に建つ「夏至光遥拝100メートルギャラリー」。37枚もの硝子板が自立で並んでいる。壁面には杉本氏のライフワークとも言える「海景」シリーズが一面に展示。

その他にも、千利休作と伝えられる茶室「待庵」の写しである「雨聴天」をはじめとした歴史的な芸術品が、計算し尽くされた“間”の中に美しく並んでいる。

夏至の朝に海からの太陽光が、数分間にわたりこのギャラリーを駆け抜ける。 我々の人生とは、直接的な関係があるわけではない芸術品群を目にした時、なぜか己のルーツを探る作業を頭の中で繰り返した自分がいた。それはきっと、人類の記憶を自らのアートのテーマにしてきた杉本氏の思考の中へと、無意識のうちに引き込まれていたからだと思う。

“時”という概念を可視化し、芸術へと昇華させることで、5000年後でも楽しめることをも目的とした「江之浦測候所」に是非足を運び、杉本氏の世界を存分に体感してほしい。

(Text:Tatsuya Nakamura)
(Photo:Masashi Nagao + TOKYOWISE編集部)

<詳細情報>
小田原文化財団 江之浦測候所
▪︎住所:神奈川県小田原市江之浦362番地1
▪︎休館日:水曜日、年末年始(2017年12月27日~2018年1月5日)および臨時休館日 ※2018年2月1日より火曜日も休館日といたします。
▪︎入館方法:完全予約(http://www.odawara-af.com/ja/enoura/ticket/)・入替制
▪︎見学時間:3月22日〜10月 1日3回/10時・13時・16時(約2時間・定員制)
11月〜3月21日[春分の日] 1日2回/10時・13時(約2時間・定員制)
▪︎入館料:一律3,000円(税抜き)
※団体や前売り他、各種割引制度は実施しておりません。
※来館は中学生以上のみ。

オフィシャルサイト:http://www.odawara-af.com/ja/

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