Cafe Culture

2015.01.23

Cafe Culture
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Vol.04
コーヒーショップになぜハイスツールがあるのか?

漠然と思い返すと、古来の日本の珈琲店というと、カウンターがメインテーブルで、なぜか低めの椅子とテーブルが店内を埋め尽くしている。そんな感じだった。わりと、隣の席とも近くそこで商談やら会社の愚痴やらを言いつつ男たちが寛ぐという図。女性客は少なめという印象。彼女たちはどこへ行っていたかというと、ケーキがある店という気がしたり。。
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ところがその情景が大きく変わるのが、スターバックスの登場だった。完全禁煙。タバコとコーヒーはカップルだと思っていた男子諸君にとっては青天の霹靂。タバコが吸えない珈琲店!という驚きとともに、その店内にカウンター席がない!特等席のはずの窓際には、お一人様用と思しきハイスツールが並び、席もオシャレなウッド調の椅子とテーブルが数種類用意され、ソファがある店もある。スターバックスの内装は、店や場所によって微妙に異なっているが、でもなぜか、雰囲気は共通している。個人的にはその要因のひとつが、ハイスツールではないかと睨んでいる。一人でコーヒーショップ(もはやサ店ではない)に出かけ、仕事をしたり調べ物をする。そんな習慣は、ネットとPCの時代に始まったように思う。それまでは一人でコーヒーを飲みつつは、読書か漫画と相場は決まっていた。それが、ネットとPCの時代になると仕事も調べ物もどこでもできるし、それならばコーヒーを飲みつつというのが定番化し、それに応えるようにフリーWi-Fiやら電源完備になってくる。
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当然、タバコの煙を嫌う女子もやってくる。お一人様大歓迎の象徴こそハイスツールだったのではという我流の結論に結びついてくる。ハイスツールは人との目線が合わず、しかも窓際に設置されていることが多く、広い空間でもプラーベート感がある。しかも、長時間の滞在ではなく、日常の隙間を有効に埋める(という気になれる)時間の使い方ができる。
コーヒーと共に過ごす時間の多様性が、テーブル席だけでなく、ハイスツールの席を生み出したのでは、と邪推するわけです。もう、コーヒーショップはサボるための場所ではなく、東京生活のサポーティングプレイスとしての機能を持つのだと考えてみてもいいのではないか。

(Text:Y.Nag)
(Illustration:ワキサカコウジ)

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