モンステラ・マニアによる 熱帯温室マニア

2018.04.08

熱帯温室マニア

楽園を維持するためには、様々な苦労が

夢の島熱帯植物館の上野さんにいろいろと伺った。

「開業当初は東京都公園協会の運営でしたが、私たちアメニス夢の島グループが指定管理としてこの施設の管理を始めて、13年目となります。開業初年度が最高の入館者数で、年々右肩下がりとなっていました。私たちが管理を始めてからは入館者数は右肩上がりになっていましたが、8 年前の東日本大震災で多くの施設と同様に一旦大きく落ち込みました。またその後少しずつ入館者を回復してきていましたが、一昨年より始まりました公園のオリンピック会場整備工事により、公園の団体利用が大幅に制限され、これに伴い入館者数も漸減傾向となっています。
年齢層では、小さなお子さんをお連れのお母さま、ご家族連れが目につきます。これは意図的に将来のサポーターを増やす目的で、お子様向けイベント、ご家族向けイベントを中心に実施していることの現れです。そして若いカップルの方々や女性同士のグループ。次に、高齢者の方々。私たちは、「多様な人々と力を合わせ、世界に誇れる美しい街作りを目指します」という当社の環境宣言の基、お子様から高齢者の方、傷害のある方もない方も、国内の方も国外の方もすべての方々に喜んでいただける施設を目指しております。」

植物の管理についても伺ってみると、
「日照は植物にとって命ですが、葉や枝が繁茂し日照不足にならないよう常に手入れが必要です。閉鎖された原生地とは異なる疑似空間です。本来共生関係にある哺乳類や昆虫はいません。人為的に補管することが必要です。毎日の植物の状況を細心に注意し、最適な手段で生育を手助けしてあげることが大切です。毎週休館日には植物メンテナンスを行います。枝打ち剪定は当然計画的に行いますし、病虫害による伐採も行います。可能な限り農薬に頼らず、植物の持つ生命力の手助けを行っています。残念ながら枯死する物もありますが、植え替え可能なものはバックヤードで栽培したものと入れ替えも行います。」



すばらしい環境の温室とはいえ、やはり人工的につくられた環境、植物にとっては本当の自然とは当然違い、日々手をかけてやらなければいけない、植物館の方々の苦労があるのだ。

日本でも注目が高まるか!?
これからの日本の温室に期待

冒頭で書いたように、ファッションの世界で自然や植物が注目されていたり、シンガポールやドバイの巨大温室建設や、Amazonの新社屋など、海外では植物温室が注目されている。日本では、若者を中心に多肉植物、珍奇植物など、観葉植物の人気が高まっている。しかしその反対に、日本の各地では今、老朽化や経営不振により、熱帯温室が相次いで閉園しているのだ。そんな状況についても伺ってみた。

「グループ会社である日比谷花壇では、熱帯植物である観葉植物、蘭、多肉植物なども店頭販売やネット通販、会場装飾による感動の演出を行っています。植物に関する社会的関心も、ファッションと通ずるところがあるのか一定のサイクルで注目度が巡っているようです。微力ではありますが、私たちの行動によって皆様に注目していただくのはとてもうれしいことです。グループを上げて皆様の生活の中に花と緑に彩られた愛される空間をご提供していけるよう今後とも努力させていただきます。
ところで、博物館・植物館・動物園・水族館などは、日本の少子高齢化と人口の東京一極集中により、地方都市に於ける経営がますます厳しくなってきています。その中でも地理的な劣勢をはねのけて注目を集め続けるところもあります。地元客だけでなく、インバウンド客含めて集客努力を必要としています。私たちは植物館の運営だけでなく、花と緑を通してあらゆる立場からSDGsを踏まえた、持続可能な社会の実現に向けて努力しております。」

【SDGs】 持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。 (外務省ホームページより)

夢の島熱帯植物館では、おもしろいイベントも開催している。温室の真ん中に高くそびえるダイオウヤシをツリークライミングする「空中散歩体験」や夜のジャングルをライトアップし、懐中電灯を餅ながら歩くことができる「夜間開館」を年2回開催しているのだ。

植物好きはもちろん、植物には興味ないという人も、この空間を体験してみたくなったのではないか。熱帯植物温室がいかに異空間であり楽しいか、この「温室マニア」でもどんどん紹介していきたい。
次回は、夢の島熱帯諸国物館第二弾!いよいよ夜のジャングル「夜間開館」潜入する。こうご期待。

WEBサイト「モンステラマニア」では、より多くの写真を掲載した、今回のレポートの詳細版もあります。こちらもご覧ください。
モンステラマニア
https://monstera.jp/mania/

今回の★(夢の島熱帯植物館のいいところ!)

【ジャングル茂り度】★★★★★
【高低差】★★★★
【水の豊富さ】★★★★
【モンステラ滝度】★★★★★
【カフェ絶景度】★★★★

夢の島熱帯植物館
▪️開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は4時までとなります)
▪️休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
▪️お問い合せ▪️TEL:03-3522-0281
▪️料金:《個人》一般/250円 65歳以上/120円 中学生/100円
《団体(有料入場者数が2 0 人以上の場合)》 一般/200円 65歳以上/90円 中学生/80円
 ※小学生以下、および都内在住・在学の中学生は無料
 ※障害者手帳・愛の手帳・療育手帳をお持ちの方と、その付添者1名まで無料です
《年間パスポート》 一般/1,000円 65歳以上/480円
▪️URL:http://www.yumenoshima.jp/
※現在一部改修工事中のため、一部通行ができなかったり、利用できなかったりする場合がありますので、夢の島熱帯植物館のホームページをご確認ください。

(Text & Photo:tetsuro oh!no)

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http://monstera-shop.com/

tetsuro oh!no(テツロー・オーノ!)(monstera deliciosa)
インテリア&ファッションイラストレーター
WEBサイト「モンステラ・マニア」の中では、ミッドセンチュリーデザインインテリアをテーマにイラストや、ボタニカルをテーマにしたグラフィックポスターなどを製作発表している。

モンステラ・マニア since2000
1950〜70年代のミッドセンチュリー期に、インテリアプランツとして一世を風靡した観葉植物の王様“モンステラ”を主役に、観葉植物とインテリア、アートを紹介するインテリアプランツ啓蒙WEBサイト。

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