ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛

2016.12.12

ARTIST

ダンディとは、全身全霊で自分のスタイルに捧げられる男のこと

「撮りたい心を突き動かすのは、どんな男性?」と聞くと、本連載にもご登場いただいたUNITED ARROWSのバイヤー小木“Poggy”基史氏の名が挙がった。

「Poggyのように、ひと言で定義できないような人に惹かれます。ダンディとは何か?と聞かれたら、“自分のスタイルを築き上げることに全身全霊で捧げられる男性”と私は答えます。そのベースにあるのは、伝統的でマスキュリンな世界。その意味でも、スーツとダンディは切っても切れない関係です。ただ、スーツを着ればダンディかといえばそうではありません。クラシック、ストリート、エキセントリック…さまざまなスタイルに彼なりのアスペクトやプラスαの要素が加わり、独自にミックスされているからこそ興味深く、魅力的なのです。彼こそ、自分のスタイルに捧げる男性の模範。とにかくユニークで最高。チャーミングな人柄については、言うまでもなく皆さんご存知だと思いますが!」

ss_DandyWellington_083012_7657_FINAL © DandyWellington

ダンディズムはファッションよりもっと深いもの

「このプロジェクトを通して学んだのは、ダンディズムは単なるファッションではない、もっと深いテーマだということです。今回の撮影で訪れた南アフリカのヨハネスブルクでは、極めて貧しい生活を余儀なくされる人もたくさんいました。驚くことに、そこに生きる若者は、他者を助けたいという気持ちに溢れていました。安価で手に入るヴィンテージスーツなどで美しく着飾り、身でもってスタイルを提示することによって、自分よりもさらに若い男の子たちのよき指導者になろうとしているのです。その姿には心を打たれました」

(c)MichaelAttersAttree_090811_3927_FINAL © MichaelAttersAttree

世界に必要なのは、エレガンスと個性

以前から、ドレスアップすることが大好きだったというローズさん。ダンディと深く関わるようになって、冬場は、スーツやガウンをより好んで着るなど、彼らに受けた刺激を自分のスタイルに取り入れることもよくあるのだそう。

「エレガンスと個性は、この世界に必要。より美しく、素敵にドレスアップすることで、紳士はより紳士らしくというように、振る舞いも自然と良くなると思います。人々がみな、自分らしくあるためにーこの写真集に登場するダンディたちがインスピレーション源になれば、この上なく嬉しいです」

ローズ・カラハン 映像作家の夫ケリーさん(左)いわく、ローズさんは“重度のロマンチスト”。そんな彼女が捉えた男たちは、言葉を介さずとも、佇まいや表情だけで熱く深く問いかけてくる。写真という「静」の状態でも十分ドラマティックなのに、今後は、ドキュメンタリー映像も制作予定だという。「動」のダンディたちに出逢える日もまた楽しみだ。

ローズ・カラハン
ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する写真家・映像作家。2008年より独自のスタイルを極めた紳士たちのポートレートを撮り始める。ブログ「The Dandy Portraits」で発表を続ける中、2013年、デビュー作『I am Dandy : The Return of the Elegant Gentleman』を刊行。第2弾となる写真集『We Are Dandy:The Elegant Gentlemen around the world』が、2016年11月8日に全世界で発売予定。広告、エディトリアル、クライアントワークを手掛けるほか、マンハッタンの「メトロポリタン・オペラ」の独占フォトグラファーとしても活躍中。歌劇場を訪れる人々を撮り下ろし、ブログ「Last Night at The Met」で発表している。

The Dandy Portraits 
http://dandyportraits.tumblr.com/

Rose Callahan
http://rosecallahan.blogspot.jp/

Last Night at The Met
http://lastnightatthemet.com/

Instagram
https://www.instagram.com/rcallahanphoto/

(Text:岸 由利子
(Photo:Masashi Nagao)

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