ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛

2017.09.07

ARTIST



―甘いだけの恋ではなく、切なくて、どこかに毒があるというか。とても癖になる一冊でした。装丁や挿画も鮮やかで美しいですね。

そうですね。どの詩人たちもみな、切ない恋、苦しい恋、贖いがたい恋をしていたからこそ、それらを詩に昇華している。幸せだったら詩を書いていなかったかもしれない。巻末の詩人たちの略歴もぜひ見て欲しいですね。皆ろくでなし揃いです(笑)。

この本は「古いものに新しいものを重ねた時に、その価値はどう変わっていくのか」そんな重なりゆく時間をテーマに出来上がっています。私は古い詩の輪郭をペンでなぞり、新たな言葉を重ねる。絵を担当して下さった美術家の久保田沙耶さんは、200年前の古い詩集の上に実際に絵の具を落として輪郭をなぞり、新たな色をページに重ねる。時にその絵に導かれるように、この本の言葉たちは生まれてきました。古いものを磨き、現代に蘇らせ、そして遠い未来まで投げることができたら嬉しいですね。
ブックデザインは多方面で活躍中のクリエイティブ・デザインスタジオ・KIGIさんに依頼しました。 時間を重ねるというコンセプトを汲んでいただき、とても素敵な装丁にしてくださいました。



―現在はラジオでの朗読、雑誌で詩の連載、人生相談の連載まで幅広く活躍されていますが、今後の活動について教えてください。

年内は幾つか詩集『かのひと』に関連したイベントや展示が控えています。11月には九州~関西あたりを旅しながら朗読ツアーにでも行こうかと。 今後も日々の執筆活動が中心ではありますが、香水の香りを詩にしたり、小説を読んで詩にしたり、海外公演に呼ばれたり等々、日々思いがけない仕事の連続なので、新たな出会いを楽しみながら詩を書いていきたいですね。

『かのひと 超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)
http://amzn.asia/5iXogTT
詩:菅原敏 
絵:久保田沙耶
ブックデザイン:KIGI
定価:1700円(税抜)

菅原敏(すがわら びん)

詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。執筆活動を軸に、異業種とのコラボレーション、ラジオやテレビでの朗読、デパートの館内放送ジャック、海外での朗読公演など幅広く詩を表現。Superflyへの歌詞提供、東京藝術大学大学院との共同プロジェクト、美術家とのインスタレーションなど、音楽や美術との接点も多い。現在は雑誌『BRUTUS』で「詩人と暮らし」、『GINZA』webでは「菅原敏のポエトリーカウンセリング・おやすみ子うさぎ」他、連載も多数。
Twitter https://twitter.com/sugawara_bin

(Text:TOKYOWISE編集部)
(Photo:Masashi Nagao)

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