ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛

2017.10.27

ARTIST

弟子入りしてから、落語家になるまで


落語家 春風亭一之輔 【アーティスト自身による 自画自賛 Vol.22】

—そして、3月に卒業して、4月に弟子入りされたと。弟子入りは、思いがあれば誰でも入れるものでしょうか?
思いが強ければいいってことはないですね。不愉快な時に来られてもだめですし。なんとなく機嫌がいい時を選ばないと。でもそんなの難しくてわかるわけないから、本当に縁、運ですよ。たとえ入ることができても、この人の弟子になったからって大丈夫だろう、とかはないから。

—弟子入りして、まずは稽古をつけてもらうのですか?
いや、最初は礼儀作法を教えてもらいますよ。単純なことです。お礼とか挨拶とか、日常生活周りのこと。上の人と一緒にいるときの身の振り方とか。この人は何を考えているのか、何を欲しているのか、そういうのを見る目をつけますね。

—人のことを考えるようになりました?
あんまりいい言葉じゃないけど、空気を読むってことですね。師匠のかばん持ちして、見て覚えていったり、教えてもらったり、最初の3ヶ月はそこからです。

—そして、連日お稽古づけですか?
それからずっとやっているわけじゃなくてね。ある日いきなり、「さあ、落語教えてやるか」って始まるんですよ。今は師匠がやっているのを録音させてもらって、覚えたら、師匠にみてもらう。OKもらえたら、人前でやることができる。それの繰り返し。自分で稽古やるしかない。

—こんなの、いやだ〜って時はありました?
あんまりないな〜。落語がいやだってことはない。誰かにやらされてるわけじゃない。落語をやらせてもらえるんだなって感じですよ。

落語は、どうやってつくる?


落語家 春風亭一之輔 【アーティスト自身による 自画自賛 Vol.22】

—落語を覚えてから、演出することはありますか?
お客様の前でやりながら、作っていく感じですね。
舞台はどういう間取りで、話す人はここにいて、これくらいの距離が離れてて…とか、まず決めておくんです。その上で、”間”とかを考える。何も使わず、一人の空間でやる芸だから、こっち側(お客様側)で感じてもらわないといけないですよね。

—女性の色気はどう出しますか?
あれはもう、技術的なところ。日本舞踊と一緒で、肩落とすとか、とかそういうことですよ。

—女性の気持ちとかは考えますか?
女性の種類にもよるけどね、若い娘さんをやるときは難しい。でも理解できなくても、とりあえず言葉をしゃべればいいから。話していくうちに、理解できればいいんですよ。あとは、声も特に変えるわけじゃないし。

—じゃあ、本当に言葉で表しているんですよね。
落語をしている時に似てるのは、男女の営みっていうことを聞いたのですが(笑)(動画:より)
それは、お客様との間柄のことだね。
お客様が乗せてくれたときは、いったことがないセリフを言ったりね。勝手に喋ってんだけど、後ろで指示する人がいる感じ。こんなこと言ってもいいんじゃない?って自然と出てきますね。

—舞台によっても違ってくる?
うん、ぜんぜん違う。お客さん違うし、場所にも違うし。

—あら〜これ失敗、みたいなことも?
失敗でも仕方ない。終わっちゃったもんはしょうがない。

—よかったなって時は気持ちが良いですか?
やってる最中は、楽しいね。

—それが落語家にとって一番楽しいときですか?
うん、楽しいかな…。
でも、終わって酒飲んでいる時が一番楽しいですよ。

—お客様が乗ってくるな、ってのはどういう感じでわかるんですか?
笑い声とか気がくる感じ。顔の表情もわからないし。メガネはずしているし、コンタクトもつけてないから。

—えっ?目が見えなくないですか?なぜ?
コンタクトはつけるの面倒くさいから。メガネはかけると、メガネかけたキャラになっちゃう。新作の人はつけてる人多いけど、メガネかけないほうが、幅が広がるからね。

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