2014.12.17

vol.3 The Movement-TOKYO 2014-2015

s_michel2 ──具体的にはどうやって映画を作るの?

いちばん最初に、ジャンルを決める。ラブストーリー、コメディ、アクション、ホラーなど。映画のジャンルというものは比較的決めやすい要素だからね。ラブコメ、ホラードキュメンタリーといったように2つのジャンルを合わせることも可能で、意見が分かれた場合は多数決で決める。

次にタイトルを決めて、ストーリーを話し合う。タイトルが決まっていないと、ストーリーはなかなか決まらないもの。ストーリーの結末を決めるのは、今まで発言してこなかった人。発言しなかった人は、周りの意見をしっかり聞いてきた人だから、ストーリーを客観的に見ていることが多く、理にかなったことを言うことが多いんだ。

それから、キャスティング。立候補は認めず、他者推薦で決める。それから撮影に入るわけだけど、ポストプロダクションがないから、時系列に撮影していく。音楽を入れたい場合は、シンセサイザーを使って同時録音する。1時間程度で撮影して、最後に上映会をして終了。上映会は緊張もほぐれてすごく楽しい時間になるよ。


──「Around the World in 19 videos」の方は?

僕の代表的なミュージック・ビデオ作品をフィーチャリングしたインスタレーションになっている。19のスクリーンそれぞれの前にヘッドホンを付けて立つと、流れている映像に合わせた音楽が鳴り、それが15秒ごとに隣のスクリーンへと切り替わっていく。自分が動かないと作品は逃げていく仕掛けなんだ。YouTubeのように受け身で鑑賞するものではない、展覧会ならではの見せ方だよね。


──最後に、日本のファンにメッセージを!

「ホームムービー・ファクトリー」をもっと世界に広めたいと思っている。常設してくれる都市を見つけたい。舞台セットを増やしたり作り替えたり、成長していくものとして「ホームムービー・ファクトリー」があるのが理想だよ。一度だけでなく、何回訪れても違う経験ができる、みんなの出会いの場になることを願っている。多くの人にこのワークショップを体験してほしいね。
(Text:Ayako Takahashi-TPDL
(Photo:Yusuke Miyake)

ミシェル・ゴンドリー
1963年フランス、ヴェルサイユ生まれ。長編映画監督であり、テレビコマーシャルや数々の受賞に輝くミュージック・ビデオを手がけてきた映像作家でもある。デジタルとアナログ、空想と現実、ユーモアと切なさを融合させる彼のアイディアや夢は、人々を惹き付けてやまない。長編映画の代表作に、ボリス・ヴィアン『ムード・インディゴ:うたかたの日々』(2013)、『グリーン・ホーネット』(2011)、『エターナル・サンシャイン』(2004)など。現在『背の高い男は幸せ?:ノーム・チョムスキーとのアニメーション会話(Is the Man Who Is Tall Happy?)』を世界各地で上映中。また、ビョーク、ホワイト・ストライプス、ザ・ローリング・ストーンズ、ベック、ダフト・パンク、ケミカル・ブラザーズなど、名だたるアーティストのたちのミュージック・ビデオを手掛け、数々の賞を受賞している。最新作はメトロノミーの『ラブレターズ』。(2014年7月現在)


「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」
会期 9月27日~1月4日
会場 東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
開館時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌日休館)、12月28日~1月1日
料金 一般1000円
http://www.mot-art-museum.jp/

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