ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛

2015.01.31

vol.3 The Movement-TOKYO 2014-2015

OLYMPUS DIGITAL CAMERA Photo:Meisa Fujishiro
──藤代さん、谷川さんと一緒にやるきっかけは?

恐竜が何体かできてきたら、誰かに写真を撮って貰いたくなって。一緒に仕事はしたことなかったんだけど、沖縄に住んでる藤代さんにダメ元で電話してみたら、「いいよ。じゃあ作品送って」って。最初は僕が沖縄まで持参して撮ってもらおうかと思ったんだけど、色々口を出したくなっちゃいそうだから、お任せしたんだよね。恐竜を何体か箱詰めして、それぞれの生態とか解説文も付けて一緒に宅急便で送ったの。宅配伝票に「高級ぬいぐるみ」って書いて(笑)。そうしたら、すごく面白い写真が届いたんだよね。で、一緒に絵本の仕事とかをさせてもらっていた谷川さんは、最初に見せた時から被ってくれたんだよ。だから、会う時はいつも出来たばかりの恐竜を持って行ってたの。そうしたら「恐竜で詩を書くから連載できるところを探してきて」って言ってくれて。そして、「HUgE」での連載が決まったんだよ。僕が恐竜を作って沖縄に送って、沖縄から藤代さんの写真が届いて、それを選んで谷川さんに送ると、数日後にFAXでカタカターって詩が届いた。だから、連載を約1年間やってたけど、3人が揃って会うのってこの展覧会が初めてなんだよね。

──それぞれに作品名ってあるの?

ない。上野のミュージアムショップで埋められなかった、個人的な物欲だけで作り始めただけだからね。でも、いざ撮って貰った写真を見た時、自分で何で恐竜に反応したのかとか、野性的なものへの興味だったりとか、答えを出してもらうような感覚があったんだよね。自分が骨を作って、写真にしたらそれが動き出して、詩をつけることで恐竜が喋り出したの。目ん玉や脳みそ、筋肉とか皮膚を、二人につけてもらったような感じがしているんだよ。

s_main Photo:Meisa Fujishiro
──展覧会には下田演出ってあるの?

エンターテイメントとかって、映画に1800円、ライブに5000円とか出しても、元が取れる感じってあるじゃん。でも今回500円っていう入場料をもらって、ただアートを飾るだけの感じって嫌だなと思って。「あ~、500円分楽しかった!」って思ってもらいたいから、何か仕掛けを作らないとって考えちゃうのは、やっぱアーティストっぽくないよね(笑)。だから、今回は恐竜の迫力感とか、谷川さんの詩の見せ方とか、写真も予算の限り大きくして。ご近所付き合いをしているオノ セイゲンさんが音楽を担当してくださって、会場内を移動すると変化していく仕掛けも面白いんだよ。恐竜の世界に迷い込んだような空間。もちろんミュージアムグッズにも力を入れたのでお楽しみに(笑)。


私はこの取材の後に開催した「大恐竜人間博」を、500円握りしめて観に行った。アトリエに押し込められていた恐竜たちが、まるで息を吹き返したように現れた。そして、恐竜を被り野性化した子供たちを撮影した藤代さんの写真、太古からのメッセージを感じる谷川さんの詩。恐竜を被ってテンションの上がっているお客さんたち、下田さんのアトリエを再現(厳密には移動? )したブースなどなど、とにかく大満足の展覧会であることは間違いない。会期終了は2月2日(日)とあと僅か。ぜひ急いで観に行くことをおすすめしたい!

(Text :Yumi Sato
(Photo: Masashi Nagao)

s_cut_0341 下田昌克
1967 年兵庫県生まれ。画家。94 年から2 年間、世界を旅行。現地で出会った人々のポートレイトを描く。この旅の絵と日記をまとめた『PRIVATE WORLD』(山と渓谷社)をはじめ、『ヒマラヤの下インドの上』(河出書房新社)など著書多数。近著に谷川俊太郎との絵本『あーん』(クレヨンハウス)と『ぶたラッパ』(そうえんしゃ)がある。
http://www.701-creative.com/shimoda/


「大恐竜人間博」
会期 1月16日(金)~2月2日(月)
時間 10:00~21:00(最終日は18:00 閉場/入場は閉場の30 分前まで)
会場 パルコミュージアム(渋谷パルコパート1・3F)
東京都渋谷区宇田川町15-1
入場料 一般500円/学生400円/小学生以下無料
http://www.parco-art.com

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