TOKYO SLEEPER 東京快眠

2015.04.13

SLEEPER
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東京快眠指南 Vol.11
by Megumi Kaji
夢を見ることの研究

睡眠中の精神活動の一つである「夢」。その研究が大きく進んだのが、1953年のレム睡眠の発見と言われています。レム睡眠の特徴の一つが、頭文字を取ってその名の由来になった、目がキョロキョロと速いスピードで動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)です。眠っている人の眼球がキョロキョロと動いている時に起こすと、高い確率で「今夢を見ていた」というのです。夢は基本的に本人が目覚めてから内容を報告してもらって初めて研究対象になります。すると、世界に様々な民族がいますが、夢人対する考え方も多様です。地域や民族によっては、内容によって他人に話さない夢もあるといいます。よい夢は人に語りたがらないというメキシコのズニという民族がいたり、また、ニューギニアの高地に住む民族は、謝らねばならない夢を見たときは、翌日、その人に会って謝罪するという、夢の世界と現実の世界が連続しているという文化を持っています。
夢は体験され、報告される過程で、文化のフィルターを通っているがために、実際に見た内容と報告とにズレがある可能性もあり、本当に見た夢を調べることは難しいのが現状ですが、90年代に入ってから、脳内活動を調べることができるファンクションMRIや、脳活動をパターン認識のアルゴリズムで解析する「脳情報デコーディング」という技術が神経科学の分野で進んでいます。夢の内容と脳の活動部位の関連がさらに研究されるなかで、「いつ、どうやって」だけでなく、近い将来「なぜ」夢を見るのか?という問いの答えも見えてくるのではないでしょうか。

(Text : 鍛冶恵

鍛冶恵
東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。
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