vol.12_title_tokushu_WP_

2016.09.16

vol.12 TOKYO HEAT WAVE

160901_628_2

日本オリジナルのパクチー料理を召し上がれ!



さて、実際に日本でオリジナルアレンジされた、パクチーに焦点を当てた料理をいくつか食べていただいた。まず、お酒「飲めます!」ということでパクチービールで乾杯。

一見緑茶のような、生き生きと弾けるようなグリーンに喉をそそられる。Kikiさんの反応は、「う〜ん、面白いね(笑)。」といった具合。私は一般的なビールが飲めないのだが、このパクチービールはスッキリとしていて、若干いただけた。私のオーダーしたパクチーブラッディメアリーは、フレッシュなパクチーの香りとトマトジュースの酸味が絶妙で、見ているだけでも脳から健康になれそう。
160901_565_2
料理は、グリーンサラダ、ピータン豆腐、P根っこのフリット、GREEN冷麺など、そのタイトルからだけだとわからないが、見た目はかなりパクチーインパクトのあるものばかりをオーダー。
160901_586_2
「どうぞ、どうぞ」と勧めても、ふたりの箸の進みがスローなのは、始めは遠慮しているのだと思っていた。でも「いつも、あまり(食事の量を)食べないんですか?」と聞くと、「たくさん食べますよ!」と言っていたので、どうやらパクチー料理に苦戦しているようだ。
160901_646_2
今回出されたパクチーは有機栽培とだけあって丁寧に調理された中華や和食の組み合わせや、ペースト状にされたパクチーソースなどどれも美味しい。少量で強烈な風味を醸し出すはずのパクチーが、こんなに大量に使われているのに、料理の邪魔をしていないと感じた。ただそう感じているのはパクチー好き日本人の私だけで、Kikiさんはお通しのマンゴージュースを何度も飲んでいて、「パクチーフレーバーを中和している」と。彼女にとってはパンチが強かったらしい。
160901_681_2

タイではワサビがブーム!?


タイでのパクチーの不人気というか、今さらケアされないしょぼい存在なのはわかった。それより、どうやら“ワサビ”が人気らしい。「ワサビ大好き!」とパクチーからワサビの話題になると急にテンションがあがり始めたKikiさんとPearさん。タイ人はデフォルトで寿司に入っているワサビでは足らず、マカデミアナッツ(テーブルの上にあったので例えられた)大程の量のワサビを追加して食べるという。まさに、日本の「パクチー追加」メニューと同じ事態が起こっているのだ。さらに、“ワサビチャーハン”というメニューもあるというのだが、これに関しては、ワサビを火で炒めるという発想が日本ではなかったため、味が全く想像できない。しかし、“ワサビチャーハン”という概念に対する驚きこそが、タイ人にとってこれらの日本発信のパクチー料理なのだろう。
160901_592_2

灯台下暗し


余談だが、タイでは油や砂糖を大量に使う屋台などでの高カロリーの食事から肥満が多く、女優やモデル、若者を中心にオーガニックフードへの関心が高まり、健康志向ブームが起こっている。有名なタレントが監修するエクササイズ本などはたちまちヒットになるという。また、面白いのは、例えば結婚式前などでダイエットしたいとき、“ブライダルエステ”という選択が日本では一般的だが、タイではレストランが提供する、“ブライダルお弁当コース”があるという。20日間、毎日レストランがカロリー制限のお弁当をデリバリーし、それをひたすら食べ続ける。その間外食は一切許されない。タイでは自炊は外食より経済的でないため、このダイエット法は正攻法なのだろう。

物事に何でも裏付けしたくなる日本でパクチーが脚光を浴び始めたのも、その栄養価の高さがひとつの理由にある。「まずいけど、栄養があるなら食べよう」というのが日本人の食意識に、少なからずあるからだ。健康志向が国民のライフスタイルに定着しつつあるタイでも、いつか「近すぎてその大切さに気がつかなかった」存在として、パクチーが再注目される日が来るかもしれない。

(Text:Nao Asakura)
(Photo:Yuuko Konagai)

[取材協力]
Bistro Phakchi’s(ビストロ パクチーズ)
東京都渋谷恵比寿南2-3-13 山燃ビルB1F
03-3711-5080
営業時間:18:00〜23:30
定休日:日曜
http://www.bistro-phakchis.com/

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL