拒絶反応の先に新たな感動!?スモールスクリーンで観たい最凶ホラースプラッター映画 Screaming with Smartphone

2017.04.17

vol.17 LIVING IN TOKYO

その3 屋敷女 (2007年作)
最恐度 89/100
恐怖度 ★★★★☆(悲哀度∞)
グロテスク度 ★★★☆☆
危険度 ★★★★☆

屋敷女
「屋敷女」を観て、フランス映画のイメージが一変した。まさかこんなにグロテスクで後味の悪い作品があるなんて。場所は、出産を間近に控えた妊婦の自宅。密室の中、クリスマス・イヴの聖夜は地獄に変わる。
名作「ベティー・ブルー」では、目玉をえぐり取るなど自傷癖を持つ狂気的な美少女をみごとに演じた女優ベアトリス・ダルが演じるのは、“謎の女”。本作では、彼女が過去の因縁から妊婦を猟奇的に襲うさまが、舐めるようにじっくり描かれている。手加減一切なしの凶悪ぶりに、「もうお願いだからやめて…」と心の中でエンドレスリピート。
破壊された女の人格は、時折フラッシュバックする絶望的な過去にある。特に女性なら、殺人鬼とはいえ、共感せざるを得ない部分はあるだろう。終盤は容赦ないので、悪しからず。

屋敷女オフィシャルサイト
http://www.cinemacafe.net/official/yashiki-onna/


その4 クラウン (2015年作)
最恐度 82/100
恐怖度 ★★★☆☆(愛情度∞)
グロテスク度 ★★☆☆☆
危険度 ★★★☆

クラウン
愛する息子の誕生日に、古いピエロの衣装を身にまとって、クラウンを演じた主人公・ケント。だが翌日になっても、衣装は脱げない、化粧は落ちない、カツラも取れない。その謎は、子供たちをむさぼり喰う悪魔“クロイン”の伝説にあった。
悪魔に取り憑かれたケントは、必死に自制するが、「子供を食べたい気持ち」に歯止めが効かなくなり、ピストル自殺を図る。が、血が出るだけで心臓は止まらない。子供を襲って食べ始め、エスカレートした子喰いの矛先はやがて息子に…。
観ているこっちは逃げたくなったが、悪魔と化した夫に、妻は大胆不敵に立ち向かっていく。悲しすぎる結末だし、後味の悪さはとびきりだが、愛するからこそ、酷な選択をせざるを得ない時もあると思うと、泣けてくる。

クラウン予告編
https://www.youtube.com/watch?v=AgTDqGNuAw4


その5 マッド・ナース (2015年日本公開作)
最恐度 73/100
恐怖度 ★★☆☆☆(エロ度∞)
グロテスク度 ★★★★★
危険度 ★★★★★

マッド・ナース
もし、主人公のアビーみたいにセクシーなナースが実在したら、世の男性たちは喜んで病院に通うだろう。昼間は天使の顔。だが、彼女の本性は、魅惑の肉体で男たちを誘っては、夜な夜ないたぶり惨殺する快楽殺人鬼だ。
前半は、エロと狂気がユーモラスに描かれているが、天涯孤独となった彼女の暗鬱な過去を知る者が出てくるあたりからラストまで、誰彼かまわず、素知らぬ顔で皆殺しするサイコパスぶりを見せる。
その男を愛するあまり、包丁で性器を切り取ったのは阿部定だったが、不埒な全ての男に憎悪を抱き、その念を込めて切断してしまうのが、アビーという女。彼女の罪は、死刑確実だろうが、その手に手錠はかからない。 “イイ女”を武器に、ゾンビのごとく蘇生する生命力は見習うべき点かもしれない。

マッド・ナース予告編
https://www.youtube.com/watch?v=l15YvWEWk64

ハズレそうな映画が、最凶に当たりの時もある


毎日のように、ホラースプラッター映画を観て発見したのは、「コレはないわ…(なんとなく面白くなさそう)」とその映画の表紙(トップ画像)を見て思ったものほど、案外、期待を裏切ってくれる時もあることだ。
例えば、最近観た「サイコパス 地下戦慄」。Netflixの映画紹介ページでは、主演のミーシャ・バートンのちょっと不安げな顔と、その友人役の何気ない女優の顔が、トップ画像に使われている。正直、「ま、観てみるか」くらいの気持ち(失礼!)だったが、ところがどっこい。
極太のホッチキスで上下の唇を縫われたスキンヘッドの怪人が、メインの役どころで登場するし、密室の地下室で次々起きたむごたらしい殺人の犯人が全く予期せぬ人だし、なんだか観終わった時に、すごく得した感じがした。当たりハズレはあるが、ハズレそうなものをあえて選んでみるのも、面白い(この場合は、冷酷無残か)作品に出逢えるひとつの手かもしれない。

(Text : 岸 由利子
(Illustration : Ayana Sasaki)

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