2017.08.03

Vol.19 渋い東京

これぞ真骨頂!市場酒&グルメ


しかし、これだけで足立市場を満喫したとはまだいえない。個人的にも外せないのは、市場グルメ&飲み歩きだ。築地の場外もそうだが、市場の周辺には市場関係者が仕事終わりに一杯やれる、昼酒ならぬ朝酒スポットが必然的に充実するのだ。足立市場も多分に漏れず、正門を入ってすぐの場内には海鮮系の定食屋や寿司屋が6軒ほど立ち並んでいる。どこの店も新鮮な魚を売りにしたメニューが充実しているが、海鮮丼一発で終わらせるのは野暮な話だ。まず訪れたのは、市場の裏手にある「カフェ食堂みどり」。いわゆる昭和の喫茶店という風情だが、和洋中あらゆる料理や定食が揃う、最強昼酒スポットなのだ。

ここのイチオシなのが、「ゆで豚」。限界まで柔らかく煮た厚切りの豚バラ肉を、甘辛い特製ダレと和辛子をつけて頂くシンプルな逸品。歯茎だけでもかみ切れるほどの柔らかさとあっさりした脂で、朝ビールがスイスイ入る旨さだ。テレビや新聞をぼんやり眺めながら、スローなひとときを送るのにぴったりな店だ。大ぶりの「エビフライ」や250円の絶品「マグロぶつ」も惜しいが、今回はハシゴ狙いのため割愛させていただく。

そして、2軒目に訪れたのは前出の場内にある「とくだ屋食堂」。魚の卸売りも行う店主が厳選した魚介類を、一番美味い方法で提供するというこだわりの名店だ。昼時に差し掛かり、4,5人の行列を待ちながら、膨大なメニューを吟味する。

いよいよ入店となり、まずは「刺身盛り合わせ(5点盛800円)」と、冷酒の「長者盛」を発注。5種盛800円という破格のため訝しがっていたが、とんでもない。生タコ、赤貝、平政、マグロ赤身、甘海老は、それぞれ驚くほど新鮮で、ハイクオリティ。マグロもしっかり味が濃く、この逸品だけでも来る価値がありそうだ。

これで火が付き、追加発注したのはこちらの名物「鯵フライ(500円)」。そそり立つ香ばしいパン粉は油切れも良く、何よりも肉厚の鯵のふっくら、フワフワの食感は秀逸。魚の鮮度はもちろんだが、舌の肥えたプロたちを納得させるだけの、調理の腕には感服させられる。

そんなこんなで、2、3時間飲んでいたら、魚と詰めてもらった氷が解けだしたのでタイムアップ。本来であれば、このまま足立市場のお膝元である北千住あたりで、昼酒に流れたいところだが、戦利品のことを考えるとそうもいかない。足立市場からの酒場放浪をされるなら、保冷バック&保冷材を持参されることをおすすめしたい。

(Photo&Text:Yumi Sato

足立市場
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/info/06/
足立市場の見学方法について
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/kengaku/

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