2017.08.08

Vol.19 渋い東京

MacとiPadで作品を描く理由


「自分は、絵描きとしてあまり絵が上手ではないというのと、Hip Hopの曲とかでも既存のJazzの曲とコンピューターで作った音を組み合わせて作ったりしますよね。そういう風に、楽器は演奏できないけど名曲を作ってしまうみたいなことを知った瞬間に受けた衝撃を今でも覚えていて、自分に落とし込んだ場合は何ができるかと考えた結果が今の手法ってわけです。サンプンリングの楽しさが広がりました」。

表現することを諦めずに、やりたいことをどう実現させるか考えた結果に見出した手法なわけだ。

アメリカの文化を使い、日本をアピールする


NAGA氏の作品を見ていると、スケートボードだけではなく、サーフィンやピスト、Bボーイなどが描かれていることに気づく。やはりストリートカルチャーの底上げを狙ってのことなのだろうか。
「底上げしたいというよりかは、自分が浮世絵と出会い感じた感動を若い世代に伝えたいというのと、以前から、日本人が“I♡NY”とか書かれている海外のものを着ていることに若干の違和感を覚えていたりもして、もっと自らの国の文化や言葉、文字などにリスペクトを持って生きてもいいんじゃないかと感じていたんです。そういう気持ちの中から、ストリート文化と日本の伝統文化を組み合わせハイブリッドな表現をすることで、日本に興味を持ってもらえたらなという思いが強いですかね。大袈裟かもしれませんが、ゆくゆくは英語が書かれている洋服ではなく、日本語が書かれているTシャツを着ている人が増えたら嬉しいなと思っています」。

pistmusume

自分を含め、日本人として生まれたほとんどの人が、浮世絵に代表する世界に誇るべく伝統文化をあまり知らないまま年を重ねていっていると感じる。だからこそ、NAGA氏のように、創意工夫することで次世代へと繋いでいく作業を行ってくれる存在が、今後もっと必要になってくるのだ。この渋い文化を、やめる事なくここ東京から発信し続けてもらいたいと強く願う。



NAGAオフィシャルページ http://naga-uraedo.com/
INSTAGRAM https://www.instagram.com/naga0708/

(Text & Photo:Tatsuya Nakamura)

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