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2014.09.17

vol.2 TOKYO 30s girl
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Career mirrors on her face
キャリアは女の顔に現る。東京30代女子は多面体なり。-(2)

career_03 ──まだ少し先ですが、来たる40代を迎えるにあたって、ビジョンや豊富があれば、 ぜひお聞かせください。

松尾:私はファッション業界をめざそうと思った時から、20代のうちに結婚して、子供を産もうと決めていました。実際、29歳の時に娘を産んだんですが、たいへんといわれる育児の期間を終わらせて、またそこからバリバリやろうみたいな人生の計画をあらかじめ立てていたんです。

いまい:すごいですね!

松尾:不思議とそこをひとつのゴールにしてきたので、達成した今、じゃあ自分が40代になった時の計画をどうしようって感じなんですよね。現状、会社の経営と育児と、旦那のマネージメントの日々なので。

渡辺:忙しすぎるんじゃないですか?

松尾:いやいや。この先自分がどういう生き方をしたいかということをじっくり考える時間 をもてないのは、リスクだなと思っていて。目標を立てられていないっていうのはムダな時間を過ごしている…

いまい:と思っちゃうんだ!?松尾さん、真面目だ…。

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松尾:私、“どうにかなるや!”っていう精神がないんですよ。根っこが、心配性だから、“人生なんてどうにかならないから、ちゃんと計画しなきゃ”って思います。だから、みなさんが、この先どんなビジョンを持ってるのか、すごく気になります。

いまい:私は、元々、和物にも興味があって。これから年を重ねていきながら、スタイリングの幅を広げていくという意味でも、和系ジャンルでも経験を積んでいきたいなと考えていたんですが、どうしたらいいか、具体的には分からなくて。着付けも自己流なので、きちんと学びたいなと思っていたんです。そしたら、先日、ある現場で着付けの先生との出会いがあって、相談してみたら、教えていただけることになって。今はそれを自分の中に入れたいなと思っていますね。「今を楽しく、今を精一杯、今できることを」の精神で、ここまでフリーランスで運よくやってこられたんですが、年を重ねても、やっぱり基本は変わらないかもしれません。

渡辺:「どうにもならないことはあるけれども、大体のことはどうにかなる」と思っています。自分にとって幸せってこんな感じかなってところが決まっちゃえば、40代もそんなにブレないかなと。目標さえ設定してしまえば、あとはそこに向かっていくという感じですね。今、会社にいて、ラクなんですよ。お金も安定しているし、でも、もうちょっと面白いことしたいなと。だから、近々、いったん会社を辞めようと決めました。

松尾:ええ!すごい!

渡辺:人生をゲームだと思っていまして。どうなるか分からないけど、実験してみようと。幸い、色んなつながりもあるので、フリーのライターとしてやってみようと決めました。でないと、結局ずるずるいっちゃうし、時間が一番大事じゃないですか?

松尾:まさにそう!プライスレス!

渡辺:何か大きな目標を掲げるというよりは、今この瞬間を楽しみながら生きていきたいと思っています。

松尾:見習いたいですね。

渡辺:実は、仲の良い友達ががんになったんです。「病気になってはじめて、家族の温かみとか分かったことがたくさんある」と今でこそ本人は言うけれど、状況を受け入れるのに1年近くかかったと話していましたし、私はまだ彼女の病気を消化できない状態です。でも友人は日々の生活を大切に過ごしていまして、話していると、“一日が一生”じゃないですけど、時間を大切にしなくちゃと思って。もういい年になってきていますしね。死ぬ時は裸じゃないですか?地位も名誉も持っていけないし。じゃあ、「ああ、楽しかった!」で死にたいなと。

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座談会中、3人のお顔を眺めていると、“誇り”という言葉がふと浮かんできた。それは、ありのままの自分を受け入れていることの証かもしれないし、積み重ねてきた大切な時間に対する自信と愛情が含まれているからかもしれないし、責任とも言い換えられるかも。ココ・シャネルが、「20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績」と言ったように、30代女子の顔にも生き方がくっきりと現れてくるのだ。のびやかに、強く、美しく、誇りを持った彼女たちのような女子が増えれば、ニッポンはもっと豊かな国になるだろう。

(Text:岸 由利子

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