2017.10.16

Vol 21.学ぶ東京

“人”として一生付き合うためのルールと
絶えず勉強し続ける教養力。


「ここのお店って、パワースポットなんですよ。だから別に私なんかが何をしてるわけでもないのに、政財界から芸能界まで、一流のお客さまが沢山いらしてくれるんです。そういう方々って、皆さん本っ当に自然なの。ニコニコしてね。偉そうな人なんてひとりもいない。中途半端な人間だけですよ、偉そうにふんぞり返ってるのなんて。

そういった素敵な方々とご一緒する際に私が心がけているのは、とにかく、お礼はしっかりとすること。当たり前のことだけど、結局これが一番大切なんですよ。それと、『また来てくださいよ〜』なんて営業もしません。“人”と“人”との繋がりって、許されるお願いは三度までなんですよ。それ以上お願いしちゃうと、“他人”になっちゃう。でも私は、お客様とは一生“人”としてお付き合いさせていただきたいから、お願いごとはしないんです。

後は、どんなお客さまとも失礼がないようにお話しさせていただけるよう、常に勉強し続けること。名家の方とお話しさせていただくなら、その歴史的な背景も知らなければ失礼になりますし、お茶やお花の家元さんにお越しいただいた時には、それぞれの流派や伝統について知っていなければとてもご一緒できませんから。まぁウチの場合はちょっと特殊ですから、求められる知識も一般の方よりは遥かに幅広いですけど。それでも、どんな場合であれ人とコミュニケーションをとる上で、教養はとても大切ですよね」。


ここから話しは、前世との因果や神々の存在、さらには地球規模での人類論など、さまざまな分野に飛び火。本編から著しく逸脱するので割愛するが、この尽きることのない話題の豊かさに、慎太郎さんの凄みを感じた。

人にイヤな思いをさせないことだけを考えていれば
自ずと粋な立ち振舞いが見えてくる。



「私ね、365日24時間、ず〜っと違う話題で話し続けられるんですよ(笑)。それだけは取り柄かもしれませんね。お陰でまた色々と脱線しちゃったけど、え〜っと、飲み屋の流儀ね。まぁ最初にも言いましたけど、とにかく人をイヤな気分にさせないこと。これに尽きます。細かいルールはいいの。お行儀よく振る舞ってたって意地の悪い人なんて沢山いるんですから。徹頭徹尾、ニコニコして機嫌よく。人にイヤな思いをさせないことだけ考えていれば、どう立ち振る舞えば良いのかは自ずと見えて来るはず。そしてそれが、その場にいる人みんなを幸せな気持ちにするんですよ」。


矢部慎太郎(サロン・ド慎太郎ママ)
北海道生まれ。京都祇園でデビューし、その後に大阪北新地へ。24歳で独立し、同地に『サロン・ド慎太郎』をオープンさせる。28歳時には銀座に移転。以来14年間、“天下の銀座”随一の名門ゲイバーの名物ママとして、数多なる国の重鎮たちに慕われ続ける。また『お店の子たちの教育のために初めた』という自身インスタグラム(@ginza.shintaro)は必見。その恐るべき文化レベルの高さで、今や1万人以上のフォロワーを抱える人気アカウントとなっている。

サロン・ド慎太郎
http://shintaro.me/
※紹介制

(Text:山本サトシ)
(Photo:宮前美術)

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL