2017.10.19

Vol 21.学ぶ東京

『東京ペットホーム』は、猫が暮らす本館と犬が暮らす2号館がある。今回、取材させていただいた20匹の犬用個室を完備している2号館には、老化や病気を感じさせないほど元気で愛嬌たっぷりのワンちゃんがたくさん!


「ケアの中で一番気を使うのは食事です。それぞれの好みもありますし、高齢になると嗅覚も弱くなるので、ドライよりも匂いの強いウェットを食べることが多くなり、好き嫌いも激しくなる印象です。昨日は完食したのに、今日になったら一口も食べないということがあったり、食が細くなるので、一日に5〜7回に分けて少量を少しずつ食べられるように工夫することも必要です」

そう語ってくれたのは、店長の高橋さん。毎日のケアに加え、リハビリや通院、散歩も行っている高橋さんの側には自然と犬たちが集まってくる。

オムツの取り替え、ブラッシングや歯磨き、目ヤニ(涙やけ)など、老犬の状態に合わせたケアは様々。

「乾燥した鼻にオイルを塗布しています」と高橋さん。嫌がることなく身を委ねるワンちゃんの表情は、どこか気持ち良さそうな印象。

ペットと暮らすための心得


ホスピタリティ精神が強く、先進国の一つとされる日本だが、動物愛護や飼養の問題にはじまり、ペットに関する資格や介護施設などへの意識や環境整備が遅れ気味と言われている。最近では、モンスターペアレントならぬモンスター飼い主という、マナーやしつけを無視した困り者も増えているのだとか。特に、密度が高く、集合住宅が多い東京では、ペットに関する問題や悩みも少なくない。

「ペットと暮らす際、終生面倒をみるという飼い主の意識や環境を整えることは、一番大切なことだと思います。ただ、その中で、やむを得ない事情で一緒に暮らせなくなった時は、ペットホームという選択肢もあることを知っておいていただきたいです」 そう話す渡部さんは、日当たりの良い部屋で歩き回る犬たちを見守りながら、『東京ペットホーム』の運営に限らず、全国各地の同業者と連携して老犬・老猫ホーム協会の設立や定期的な勉強会の開催を目指していると話してくれた。

冒頭で触れた通り、犬猫の平均寿命が伸びている今、20年先を見据えた共生を考えること、「ペットは家族」という言葉があるように、お互いや周りの人も暮らしやすい環境づくりに努めることが大切なのだと思う。そのためには、最低限の知識や情報も得ておきたいところ。


東京ペットホーム
http://www.tokyo-cathome.com
羽田空港より車で10分、京急蒲田駅より徒歩15分の老犬・老猫ホーム(一生預かり)と介護型ペットホテル。


※1 2013年に改正動物愛護管理方が施行。悪質な業者対策として、自治体に登録する際<譲受飼養>が加わった
※2 一般社団法人ペットフード協会「平成28年全国犬猫飼育実態調査」
http://www.petfood.or.jp/data/chart2016/index.html

(Text:Sayaka Miyano
(Photo:Atov Matsuoka)

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