2014.12.03

vol.3 The Movement-TOKYO 2014-2015


●強さと美しさは孤独から生まれる

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――永子さんの“アドレナリン至上主義”の恋愛について、ご自身で感じる良し悪しを教えてください。

H:良い部分は、感覚に支配される喜びに浸れることですね。そうすると、おのずと若さを保てるんですよ。生活とか子育てとかそれはそれで愛おしい作業なんだけど、多くの人がその中で美に接するアンテナが閉じちゃうんですよね。そんな暇ないから。だから私は暇を愛していて、自分の感性がヒリヒリするほど全開、むき出しに生きています。弊害としてあるのは、結果私はずっと孤独なんですよね。

――その孤独はどう埋めたらいいのでしょうか?

H:埋めなくていいの。埋めようとするから、間違うんだよ。孤独なんて、正対して手を繋いで一緒に仲良く遊べばいいんですよ。それこそ、いい音楽を聴くなり、美しい絵画を観に行くなり、良い景色を見るなり。孤独を愛する美学というか。

――それが自分の感性にまた良いフィードバックを与えると。

N:孤独だと好きな時に好きなことができるからね。

H:そうそう。仕事においても、どこにも属さないことで、透明感と清潔感を持って業界全体のことを考えたり、平等に応援したりできるんですよ。会社にも属さない、彼氏も作らない、孤独だからこそ、常にフラットになれるんです。

――孤独を貫くことで、恋愛の絶対数って減っていきませんか?

H:減るでしょうね。でも、それは能動的に好きになれないからだよ。私は恋愛に対してはオートマティックだし、日々アンテナを磨いているからすごく敏感で、惚れっぽいっちゃ惚れっぽいのよ(笑)。人との出会いとか、芸術との出会いもそうだけど、ほとんど偶然じゃない。自分の狭い視野にハマる人を探すと、偶然のひらめきのチャクラが開かなかったりするじゃない。それはもったいない!

――なるほど。でも、その感覚をキープし続けるって、なかなか精神力が要りますよね。

H:強い意志が必要だから、結構疲れるよ(笑)。安定も保証も何もないから。でも、それが私にとっては男と接する礼儀というか。そこに自己愛も、約束も持ち出さずに、一瞬のひらめきを共有するっていうことを楽しもうっていう時に、手を取ってくれる男がいたら嬉しいなっていうこと。

――その感性が鈍るのか、年々自分の男選びにも自信が持てなくなってきたりもしていて。

H:毎日美しいものに触れていると、そういう感度は鋭くなると思う。アンテナがずっと張り巡らされてる状態になるから、そうそう変な男は引っかかりませんよ。いい男ばかりです(笑)。

――その意志の強さ、自信ってどこから生まれるんでしょうか?

H:仕事上、私の周りにはタレントやモデルとか美しい人がいっぱいるから、時々自分で鏡見て何だこりゃって思うこともありますよ。それでも自分を好きでい続けられるのは、お化粧だとかファッションだとか外見だけでなく、色んな人と話ができる知識だとか、自分を輝かせる方法をたくさん知っているからです。同時に、自分を疲弊させる方法も知っている。それを教えてくれたのが体当たりの30代でした。そして、自分の好きな自分でいられる影の努力を行うのが、孤独な時間というわけです。孤独は自分を輝かせてくれる、栄養の基地になってくれる。だから、人々との交流も潤滑になるんです。

――永子さんの恋愛における理想形ってどういうものですか?

H:今日がすっごく楽しくて、明日は楽しくなくても全然OKってことじゃないですか。だって約束ができないんですもん。長年大事に着ているセーターって、40歳になるまで着ようと思って買ってはいないけど、着続けるうちに愛着も沸いて、劣化して形が変わっていくけど、丁寧に手入れをしながら、結果ずっと一緒にいるわけじゃないですか。そういう結果論を私は美しいと思ってます。ひとりの男にそう思うことが出来たら幸せですね。

――それは、素敵な愛の形ですね。美し過ぎて倒れそう!

H:そのために、大事なのは今なんですよ。それが続くかどうかっていうのは、始まってないのに今から求めるものでもないし、続けようと思うこと自体もおこがましい。ただ振り返った時に、この人のことが好きで本当に良かったっていつか思えるんだったら、それを私はとても美しいと思う。ただ、最後にひとつだけ言いたいのは、良い子は私のマネをしちゃダメですよってこと。何故なら結構苦労しますから(笑)。

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(Text :Yumi Sato
(Photo: Masashi Nagao)

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