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2015.07.31

vol.6 TOKYO LOVE
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(ここでお客さん来店)

くりこママ:この人も女装をする人です。女装のきっかけは?

お客Aさん:無理矢理(笑)。月1くらいで何となく来てたんですけど、今年の2月の末にママにゴリ押しされて。着替えてみたら楽しくなっちゃって。

くりこママ:このお店に来たきっかけは?

お客Aさん:新宿に会社があって、ふざけたところで飲みたいなと思って、それでここを見つけたのが1年くらい前。

くりこママ:女装ってなると、「え、女装なの!?」っていうのは考え過ぎで、新しい遊び感覚でやってもらったらいいんじゃないかなってね、ねー。


“お客Aさん”に聞いた話では、女装をするようになってからの変化やポイントがあるそう。その内容を以下にまとめてみた。

・会社と彼女にはシークレット。バレたくない。もしバレたら女装して通ってやろうか! とも思っている。
・女装の服は自分に似合うもの、トレンドから外れすぎないものを選んでいる。なるべく、普通にいる女性らしくなれるように心がけている。
・今は女装セットを持っており、それらは家に置いてある。
・お店に買い物に行くときは、スーツで。買うときは店員さんにカミングアウトして、試着させてもらう。新宿はわりと買い物がしやすい。

──若いカップルだと一緒に女装して遊ぶと聞いたことがあるのですが、日常の中で女装するしないの線引きってあるのでしょうか?

くりこママ:基本、皆、男ですよ、普段は。ほんとに遊び感覚でやってるだけなので、本当にそれだけです。究極の遊びだと思います、女装は。本人たちもそんなに深く考えてないです。昔は、女装っていうと性的な感覚があって「男性にもて遊ばれたいから女装してます」みたいな感覚でしたけど、今は全然違うと思います。あと原因のひとつとして言われてるのは、男性の美意識が高まってきているので、その延長線上で女装してしまうとか、コスプレで女形をやっている人とかは最終的には日常でも女装をしたりしますね。

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──女装をして外に行く時、ドキドキしますか?

くりこママ:しますよ! しますけど、私は慣れたから今は大丈夫。最初はドキドキでしたよ。視線は気にしないようにしてます。電車が一番辛いですね、狭い空間に人がたくさんいる中で何だか申し訳ないというか。

──外でのトイレはどうしてますか?

くりこママ:ほとんど多目的トイレか、男女兼用。無かったら状況をみて考えます。例えば、テレビ局だったら男子トイレに入っちゃいます。スタジオ系だったら、別にいいかなってなるんですけど、駅のトイレは……絶対入れないな~! 考えますね、すごく。いかに迷惑が掛からないかって。一度、女子トイレに入って、混んで人が外に並んじゃったことがあって、出るときにすごくドキドキしたのを憶えていますね。基本、男子トイレに入ることの方が多いですけど、出て行っちゃうんですよ男子が。で、隣の女子トイレに入って「うわっ!」て出て行くんです。私は「違います!」っていうんですけど、それでも出ちゃうんで。意地でも多目的トイレか兼用トイレを探しますね。

──日本もベトナムとかタイみたいに、新しいトイレマークがあるといいですね。

くりこママ:そうですね。ただ問題なのは、タイの人とかは女装する人は同性愛なんですよ。でも日本だとそうじゃない可能性もあって、難しいかと思います。多分、それは本人も気にしているところなんで、別に自分は性同一性障害じゃないって。だから、みんな女子トイレには入らないんだと思います。タイとかはそういうのができていいと思うんですけど、所詮こちらは女装であって、ニューハーフではないので。

──確かに、その区別は第三者にはなかなか難しいですね。

くりこママ:そうです。だからいかに迷惑をかけないかっていうのをみんな気を遣っていますね。

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──『じょそっこ更衣室』を作ろうと思ったきっかけは何ですか?

くりこママ:お店で「結婚をしていて自宅に荷物を置けない」や「暗くて狭い漫画喫茶で準備している」という声を多く耳にしたんです。そういう話を聞いていて、自分のしたいときに女装ができる、うちのお店のオープン以外でいつでもで女装が楽しめるように、と思って作りました。24時間開放しているんですけど、セキュリティ完備でユニットバス、洗濯機も付いているので、“女装さん”に安心して利用いただけます。施設自体すごく閉鎖的なものになってますね、誰にもバレたくないっていう方が多いので。借りてる方は皆さんほとんどご結婚されてますね。例えば、ウィッグの毛やつけまつ毛が家の中に落ちていて「浮気してるんでしょ!」ってなって、女装のことを言ったら言ったで「やめてよ!」って夫婦喧嘩になったから更衣室を選びましたっていう方もいましたね。

──ロッカーはいくつあるんですか?

くりこママ:50台あって、いま半分埋まっていますね。オープンが2月で、今5ヶ月経ったところです。半年一気に契約する人もいれば、一年契約の人もいたり。管理人が居ない代わりに、料金も安くしています。皆さんに合鍵を渡して、ちゃんとルールもお伝えして。皆さんちゃんと紳士的に使ってくれていますね。あと、メイクスペースが3つあるんですけど、そこで“女装さん”同士の交流が生まれたりとか嬉しい声も頂いています。今度、新しく3LDKの更衣室をオープンさせる予定なので、WEBサイトでもチェックして欲しいです!

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(ここでキャストのアンズさん登場)

──アンズさんは毎日出勤されているんですか?

アンズさん:レギュラーは土曜日です。今日は昼の仕事してからの、ここです。ヘルプで、。土曜は座るどころか立っても人でいっぱいになっちゃうから、外のテーブルでもいい人はそこで飲んだりしてるんですよ。月末にプロパガンダっていうお祭りがあるのでそのときは、もう本当にすごいですね、満員電車みたいに。それは大袈裟か!(笑) 

──今日はすでに女装されてますが、別の場所で準備してきたんですか?

アンズさん:あ、私はもう女性として生活しています。

お客Aさん:でもね、付いてますよ(股間に手をやる)

アンズさん:付いてますけど、今度の社員旅行は女子と同じ部屋で女子と同じお風呂に入るんですよ~。

──混雑しているときは、“女装さん”かどうか区別できなくなったりしますか?

くりこママ:よくわからなくなりますね(苦笑)。週末は1日に50~60人くらい入るので、誰が女装なのか女性なのか、ニューハーフなのか。女装しない男性のお客さんは、女性とかニューハーフが好きなので、それを見るだけで満足っていう人もいますね。

──TOKYOWISEの編集部にも『女の子クラブ』に興味を持っている男性がいるので、今度誘って来ますね!

くりこママ:是非、来てください! 女装って女性の気持ちを知る最大の手段だと思っていて、少し女性に寛容になれるっていうメリットもあると思うんです。例えば、女装でヒールを履いて実際に歩いてもらうと、「脚が痛い! 女性ってこんなに大変なんだ」っていうのがわかったり。だから、デートに行く場所はヒール履いてるから、立ち飲み屋さんに行けないね、とか、メイクは時間がかかるから多少遅れてきてもしょうがないかって思えたり。私は、電車の中でメイクをしている女性を見ると、「大変なんだよなぁ」って共感できますね。毎日しなきゃいけないし、メイクしてこなかったらしてこなかったで、なんでしてこないんだって言われるし、起きる時間も男性より早いし……それを毎日こなすっていうのは至難の業で、皆がそういうのを理解してくれたら、女性からの共感度も上がるし、そうしたら、きっと仕事や恋愛も女性としやすくなると思います。女装にも利点はあるんじゃないかなって。話のネタにもなりますし、楽しくお酒を飲む場としても使っていただけたら嬉しいです!

営業中にも関わらず、取材に応えてくれたくりこママ。会話も対応も丁寧で、何よりも笑顔がキュートでスタイル抜群! 「お尻の形と脚が長くてキレイ!」と投げかけると「お尻にはパッドを入れているんですよ。脚はちょっと自信があるのでショートパンツとサンダルを合わせてみました」と。自身を含め、取材チーム女性3人が口にし、思ったことは「女性よりも女性的なところがあったり、美意識が高い……見習うところいっぱいだね」ということ。
人によって趣味や価値観は違って当たり前だけれど、女装や“女装さん”ということにとらわれすぎず、先入観を持たずに、コミュニケーションのひとつの場として『女の子クラブ』に遊びに行ってみてはいかがだろうか。

(Interview:Miho Oashi)
(Text:Sayaka MIyano

女の子クラブ
住所:東京都新宿区新宿2-13-16 SENSHOビル4F
電話:03-5357-7875
http://girls-club.jp

じょそっこ更衣室
http://locker.girls-club.jp

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