巨匠ロマン・ポランスキーの
最新作『毛皮のヴィーナス』

2014.12.19

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kegawa_venus ©2013 R.P. PRODUCTIONS – MONOLITH FILMS

『戦場のピアニスト』でアカデミー賞に輝き、80歳を超えたいまなお精力的に作品を撮り続けているロマン・ポランスキー監督。最新作『毛皮のヴィーナス』が、12月20日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマほかにて全国公開される。

謎の女優ワンダが、心の奥底に眠っていた欲望を解放する

『戦場のピアニスト』で世界にその名をとどろかせ、昨年、80歳にして見事第39回セザール賞の最優秀監督賞を獲得したロマン・ポランスキー監督作品『毛皮のヴィーナス』。本作は、“マゾヒズム”の語源となったマゾッホの自伝的小説をモチーフに、ブロードウェイで大ヒットした舞台『毛皮を着たヴィーナス』の映画化だ。

オーディションが終わったばかりの会場に、ひとりの女優が飛び込んでくる。遅刻してきたにもかかわらず、舞台衣装に着替えはじめ、強引にオーディションをしてほしいと懇願する無名女優のワンダに、渋々ながらも応じる演出家のトマ。

ところが、実際に演技をはじめてみれば、すでにワンダのセリフは完璧で、役に対する理解や造詣も申し分ない。ワンダは自分を見下していたはずのトマの心を瞬く間に惹きつけ、いつのまにかオーディションという場を超え、妖しい魅力ですっかりトマを心酔させていく。

圧倒的な存在感を放つワンダを演じるのは、実力派女優であり、ポランスキー監督の妻でもあるエマニュエル・セニエ。『赤い航路』出演後、公私ともに監督のパートナーとなったセニエは、5度目のタッグとなる本作で第39回セザール賞主演女優賞にノミネートされた。

いっぽう、ワンダに翻弄されるトマ役には、カメレオン俳優との異名をもつマチュー・アマルリック。数かずの有名監督の作品に出演する俳優でありながら、『さすらいの女神(ディーバ)たち』で第63回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞するなど多才ぶりを発揮し、今回の役柄にも説得力を持たせている。

見どころは、劇場という密室で繰り広げられる、配役を巡る女優と演出家の攻防戦だ。刻々とふたりの主導権が入れ替わるのを目の当たりにするうち、観客はトマと一体となり、心の奥底に眠っていた欲望が、ワンダに操られるままに呼び覚まされる。ロマン・ポランスキー監督が80歳にして極めた官能表現に、圧倒されずにはいられない。
Text by WATANABE Reiko(OPENERS)

『毛皮のヴィーナス』
12月20日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマほかにて公開
監督・脚本|ロマン・ポランスキー
出演|エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック
2013年/フランス、ポーランド/96分/原題:VENUS IN FUR
配給|ショウゲート
http://kegawa-venus.com/

OPENERSより
MOVIE|マゾッホの自伝的小説をもとに書かれた戯曲を映画化
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_kegawa_venus_50332.html

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