世界で100万人以上を動員した
ポーランド映画『イーダ』日本公開

2014.08.04

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『イーダ』 © Phoenix Film Investments and Opus Film

1962年のポーランドを舞台に、孤児として修道院で育てられた18歳の少女が両親の死にまつわる秘密を探しに旅に出るパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『イーダ』が8月2日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムでロードショーされる。

新人アガタ・チュシェブホフスカが瑞々しい少女を熱演

1950年代後半に世界の映画人を驚かせた「ポーランド派」の監督たちをはじめ、ロマン・ポランスキーら多くの名作を世に送り出し、21世紀のいまもなお、映画界に絶大な影響を与えつづけている映画大国ポーランド。そんな現代ポーランド映画界の新世代を代表するパヴェウ・パヴリコフスキ監督が、戦後東ヨーロッパの光と影を描く『イーダ』が到着した。

パヴリコフスキ監督は、「ポーランド派」が台頭した1950年代後半にワルシャワで誕生。14歳のときに共産主義体制のポーランドを出て、ヨーロッパ各地で映画を撮りつづけてきた。本作はそんな彼が愛する母国ではじめて作り上げた作品。モノクロによる撮影、クラシックなスタンダード・サイズの採用、極端に切り詰められた台詞など、ミニマルな映像美で“少女の成長”が描かれている。

本作の主役で18歳の修道女見習いアンナを瑞々しく演じたのは、これまで演技経験のない新人アガタ・チュシェブホフスカ。いっぽう、アンナとともに彼女の両親の手がかりを求め旅に出る叔母役ヴァンダには、ベテラン、アガタ・クレシャが起用されエキセントリックに熱演。キャスティングの妙が光る。

「あなたはユダヤ人よ」。突然知らされた少女アンナの過去

1960年代初頭のポーランド。孤児として修道院で育てられたアンナは、ある日院長から叔母の存在を知らされる。一度も面会に来ない叔母に興味をもったアンナは彼女を訪ねるが、そこで叔母の口から伝えられた言葉に衝撃を受けるのだった。

「あなたの名前はイーダ・レベンシュタイン、ユダヤ人よ」。突然知らされた自身の過去。私はなぜ両親に捨てられたのか? イーダは叔母とともに出生の秘密を知るために旅に出る。

音楽にはモダンジャズを使用するなど、「ポーランド派」へのオマージュを巧みに織り込みながら、一人の少女が意思をもった女性へと鮮やかに変貌していく様を詩的リアリズムで表現。ホロコーストの悲劇、共産主義の抑圧といった歴史の波に翻弄された時代をリリカルなタッチで描き、ポーランド新世代の息吹を象徴するような作品となっている。

Text by YANAKA Tomomi

『イーダ』
8月2日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムで公開
監督│パヴェウ・パヴリコフスキ
出演│アガタ・クレシャ、アガタ・チェシェボフスカ、ダヴィド・オグロドニク
配給│マーメイドフィルム
2013年/ポーランド・デンマーク/80分
http://mermaidfilms.co.jp/ida/

OPENERSより
MOVIE|両親の死の秘密を求めて旅に出るユダヤ人少女
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_ida_46978.html

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