大富豪夫妻の邸宅建設計画を追った
型破りなリアルドキュメント

2014.08.06

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不動産事業で大富豪にのぼりつめ、アメリカ最大の自宅を建てるという壮大な夢から一転、リーマンショックにより、どん底に落ちるシーゲル夫妻を追ったドキュメンタリー『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』。8月16日(土)より、新宿武蔵野館ほかで公開される。

監督は世界的な写真家のローレン・グリーンフィールド

無一文からタイムシェア(共同所有)リゾートビジネスで巨万の富を得る大富豪になったデヴィッド・シーゲルと、その妻のジャッキー・シーゲルが見た夢。それはアメリカで最大の家を建てること。ベルサイユ宮殿をイメージし、ホワイトハウスの2倍の大きさというその建物の総工費はなんと100億円。そんなアメリカンドリームと、その後の顛末をカメラが追ったドキュメンタリー『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』が日本に到着した。

監督を務めたのは、富と消費主義をテーマにした作品で知られる世界的な写真家ローレン・グリーンフィールド。このばかげた、しかし、とてつもなく壮大なアメリカンドリームを記録することを夫妻に打診し、2007年から撮影はスタート。1800億円もの純資産をもつ栄光の瞬間から一転、1200億円もの借金を負う身になりながらも、懸命に生きる彼らの姿がつぶさにカメラに収められ、作品は2012年サンダンス映画祭でドキュメンタリー部門監督賞に見事輝いている。

絶頂期から一転、1200億円の借金を背負い
建設中断を余儀なくされるシーゲル夫妻

1980年代にタイムシェアリゾートを提供する世界最大のバケーションカンパニーを設立したデヴィッド・シーゲルはわずか1パーセントの富裕層に属する。2000年に結婚した30歳以上年の離れた妻ジャッキーとは9年で双子を含む7人の子どもを授かり、2500平米もの巨大な邸宅に暮らしていた。

一家の暮らしは贅沢三昧そのもの。ジャッキーは豊胸した大きな胸に、ピンヒールを履き、派手ないでたちでシルバーのロールスロイスに乗り、自家用ジェット機で出かける生活を満喫。ボディーガードやシェフ、5人の乳母を含む19人の使用人を抱えるなど、絶頂期を迎えていた。

そんな二人が抱いた野望は世界最大の自宅をつくること。「ベルサイユ」と名づけられた夫妻の夢の宮殿は2006年に建設を開始。15のベッドルームや6つのプール、水族館、屋内ローラースケートリンクを擁する建物の6割が完成したころ、その事件は起きる。

リーマンショックにより、一瞬で巨額の借金を抱えるようになった夫妻。しかし、ジャッキーはこの重大な事態をどこまで把握しているのか、ファストフードのドライブスルーに運転手付きリムジンで乗りつけたり、出先のレンタカーカウンターでは「私の運転手はどこにいるの?」と真顔で質問する始末。金策に奔走し追い詰められていくデヴィッドとの溝はどんどん深まるばかりだ。もちろん、彼らのベルサイユ宮殿の建設も中断されたままになり。

シニカルな笑いを含んだ現代ならではの寓話。しかし、没落しても、滑稽でも、けなげに生きようとする彼らの姿から目が離せない。
Text by YANAKA Tomomi

『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』
8月16日(土)より、新宿武蔵野館ほかでロードショー
監督│ローレン・グリーンフィールド
出演│デヴィッド・シーゲル、ジャッキー・シーゲル
配給│スターサンズ
2012年/アメリカ、オランダ、イギリス、デンマーク/100分

OPENERSより
MOVIE|大富豪夫妻の邸宅建設計画を追った型破りなリアルドキュメント
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_queen_47084.html

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