ブラックユーモア満載
異色の感動作『レッド・ファミリー』

2014.10.06

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red_sub_01_665 © 2013 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.

昨年の東京国際映画祭で客席から熱狂的な支持を集め、見事観客賞に輝いた映画『レッド・ファミリー』がいよいよ10月4日(土)から新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される。それぞれの事情を抱えた、人間味あふれる北朝鮮スパイたちを主人公に、鬼才キム・ギドクが製作・脚本・編集を担当した異色の感動作となっている。

ラストに待ち受ける衝撃の展開に
涙がとまらない

隣の家に引越してきた仲睦まじき4人家族は、なんと任務遂行のために偽物の家族を演じる北朝鮮スパイだった──。

その斬新な設定と、予期せぬ笑いと驚きに襲われるまったく先の読めないストーリー、ラストに待つ衝撃の展開で、昨年開催された第26回東京国際映画祭で上映されるや圧倒的な支持を集め、見事観客賞に輝いた『レッド・ファミリー』が、いよいよ10月4日(土)から劇場公開される。

製作と脚本、編集を手がけるのは、これまでに数々の問題作を世の中に送り出してきた鬼才キム・ギドク。2004年に『サマリア』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、『うつせみ』でベネチア国際映画祭監督賞という快挙を成し遂げ、なんと2012年の『嘆きのピエタ』で同映画祭金獅子賞を受賞するなど、真の実力と話題性を兼ね備えた異端児だ。

そんなギドクが「人間とは、家族とはなにかを問い、南と北の将来を考えたときに、一筋の希望の光となる映画を作りたかった」という渾身の脚本。それを託したのが、フランスで映画とデジタル・アートを学び、本作が長編映画監督デビュー作となるギドクの秘蔵っ子、イ・ジュヒョンだ。彼の短編アニメーション映画を観たギドクが、「人間が受ける苦痛を理解し、生きることに悩みながらも、温かい視線を持っている」と評価し、本作の監督に指名。その期待にジュヒョン監督が全力で応え、映画祭においても多くの観客の心を捉えることに成功した。

疑似家族の妻役を演じる北朝鮮スパイの班長に扮するのは、『ボイス』(2002年)のキム・ユミ。コミカルな横顔に悲しみをもにじませる難役を好演している。さらに、キーパーソンとなる祖父役には名バイプレーヤーのソン・ビョンホを起用したほか、非情になり切れない心優しき夫のスパイをチョン・ウが務め、娘役には新人のパク・ソヨンが抜擢。短期間での過酷な撮影状況をそのチームワークで乗り越えた。

政治的な難しいテーマを扱いながらも、ぎりぎりのブラック・ユーモアを随所にちりばめ、任務遂行のために仕組まれた“理想的な家族”を通じて人間の愚かさを観客に突きつけて見せる『レッド・ファミリー』。キム・ギドク作品は強烈すぎて苦手、という人にこそぜひおすすめしたい1本だ。
Text by WATANABE Reiko(OPENERS)

『レッド・ファミリー』
監督|イ・ジュヒョン
製作・脚本・編集|キム・ギドク
出演|キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン
配給|ギャガ
2013年/韓国/100分/原題「RED FAMILY」
http://redfamily.gaga.ne.jp/

OPENERSより
MOVIE|東京国際映画祭で観客賞を受賞!
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_redfamily_48679.html

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