Editor’s Eye

2015.11.10

Editor’s Eye
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東京的フィットネスの新定番!
「スポーツクライミング アウトドアヴィレッジカップ2015」レポート

忙しい毎日の合間に気軽に心身をリフレッシュでき、フィットネス効果もある。しかも男女や世代の垣根なく、秋空の下一緒になって気軽に楽しめる。そんな夢のようなスポーツがあることをご存じだろうか。 2020年東京五輪の追加種目として提案されたことで今、ますます注目を集めている「スポーツクライミング」がそれだ。

ここ6年間で全国のクライミングジムは約3倍以上(368軒)に増え、都心のオフィス街を中心に夜中でも利用できるジムも充実。今や仕事帰りに同僚とウォールで一汗、なんて光景はもう日常になりつつある。さらに最近ではスポーツクライミングの一種目であるボルダリングをテーマにしたイベント「ボルダリングコン」まで行なわれているというから、どうやらブームはまだまだ続きそう。

そんな世の中の空気を映し出すかのように、10/31と11/1の2日間、東京都昭島市に誕生した、アウトドアの魅力を誰もが気軽に体験できる複合商業施設「モリパークアウトドアヴィレッジ」で本格的なスポーツクライミングの大会が開催された。今回はそのレポートを中心に、その人気のヒミツを紹介していきたい。 s_SK0_0463

誰もがハマるには理由がある

大会の様子に移る前に、スポーツクライミングというアクティビティについて、簡単に触れておこう。
スポーツクライミングとは簡単にいうと、人工的に作られた壁(クライミングウォール)に取り付けられたホールドと呼ばれる、岩に似せた突起物を手で掴んだり足場にしたりしながら最上部にあるゴールに向かってよじ登っていく競技。こう書くとややこしいが、要は子供の頃、誰もが一度は経験しているであろう、木登りや壁登りの延長と考えると、とてもシンプルでハードルの低い競技といえる。だからこそ、老若男女が分け隔て無く楽しめる。そこがスポーツクライミングの第一の魅力だ。 s_SK0_0437 もちろん、シンプルなだけではここまで幅広い世代で普及はしない。傾斜の緩急やホールドの位置によって無限の表情を見せるウォールは、全身の筋力と柔軟性、そして何より頭脳をフルに使ってはじめて攻略することができる。だからこそ課題を攻略した瞬間には、体験したことのない達成感という名のキモチ良さが待っている。加えて全身の筋力をバランス良く鍛えられることによるエクササイズ・ダイエット効果や、アタマとカラダをリフレッシュすることによるストレス解消、仲間と和気藹々とおしゃべりしながら過ごすひとときや、スタイリッシュなウェア選びなど、周辺を取り巻くさまざまな副次的効果を数え上げればきりがない。目的は十人十色、思い思いに自分のペースで楽しめる。多忙を極める都市生活を送る私たちにうってつけのアクティビティといえる。 s_SK0_0066 とはいえ、やっぱり上達してくれば自分の力を試してみたくなるのが人間というもの。そんなクライミングにハマったばかりのビギナーから本気のクライマーまで、誰もが自由に参加できる数少ない大会のひとつが今回の「スポーツクライミング アウトドアヴィレッジカップ2015」だ。第1回目の今年は下は9歳から上は75歳まで、総勢100名近い一般クライマーが参加するイベントとして盛大に幕を開けた。

華麗なムーブのスリルと迫力に思わず声が出る

あいにくの曇り空だった1日目の予選とはうって変わって、決勝のある2日目はこれ以上望めないくらいの秋晴れが広がっていた。 決勝最初の種目はリード競技。設定されたルートをいかに高く登っていけるかを競う競技で、最後の手がかり(ホールド)を掴めばゴール(完登)となる。上部が大きく反り返ったコース(壁)の高さは15メートル以上。数分後に人が登っているなんて想像もつかない程の迫力。 s_SK0_0157 競技開始直前の午前9時50分、選手達が壁の前に一斉に集合する。オブザベーションがはじまった(決勝のみ)。これは競技として公平性を保つため、選手達が事前に見ることのできなかった当日のルートを唯一見ることができる6分間だ。
双眼鏡で入念にホールドを観察する選手、手や足を振ってシミュレーションをする選手、思い思いの方法でこれから挑むルートをインプットする視線はとにかく真剣そのもの。もう既に自分との勝負ははじまっている。 s_SK0_0026 そしていよいよ競技開始。ついさっきまでフツーに地面を歩いていた選手たちが、あれよあれよという間に3階くらいの高さまで登っていく。どう見ても届かないと思った際どいホールドをアクロバティックに飛びついたり、壁というより”天井”といった方がしっくりくる傾斜(オーバーハング)を腕一本で切り抜けたりと、まったく思いもよらないような体勢から繰り出される一歩一歩、一手一手に文字通り眼が離せない。 S_SK0_0144 ゴール手前の難関ポイントになると、選手の動きも慎重になり、固唾を呑んで見守る会場に選手の緊張感が乗り移る。会場からは思わず「ガンバ!」と声が出る。観客と選手がひとつになった瞬間だ。スポーツクライミングには、シンプルでピュアな興奮とドラマがある。 s_SK0_0089 2つめの種目であるトップロープは初心者向けの傾斜の緩く難易度の低いルートを登る競技。ランナーがフルマラソンへのステップとしてハーフにトライするように、スポーツクライミングでも通常のクラスに挑む前にチャレンジしやすいこのような種目を用意してくれたところが嬉しい。

最後は一般の大会ではまだまだ珍しい種目、スピード競技。条件の同じルートを2人の選手が同時にスタートし、ゴールに当たるマーカーにタッチするまでの時間を競うという、いわばクライミングの100m走だ。ただこの競技、壁を登るという根本のルールは変わらないのにもかかわらず、前の2種目とはまったく別次元の興奮が待っている。まるで背中に羽根が生えたかのように次々とホールドに飛び移るその迫力に、会場は大盛り上がり! そしてコンマ数秒差で起こる大逆転劇には思わず歓声が乱れ飛ぶ。大興奮のなか大会はフィナーレを迎えたのだった。 s_DSC01113 すべての選手たちが見せていた、緊張から解き放たれたときの笑顔がなんとも印象的。もちろん競技である以上、そこには順位が存在するのであるが、完登の瞬間にはみなそれぞれの課題を乗り越えた達成感に満ちた顔をしている。競い合うということを超えた笑顔だ。
観ていると「こんな風に登れたら楽しいだろうな」と素直に思えてくる、そんな誰もが”参加”してみたくなる新しいスポーツとイベントが、東京の街にまたひとつ加わった。

都内最大級のスペースで気軽にクライミング体験ができる
PLAY 昭島アウトドアヴィレッジ店

s_SK0_0631 モリパーク アウトドアヴィレッジに併設された、クライミングジム・ヨガスタジオ・オーガニックカフェ。関東最大級の大型クライミングウォールや、初心者にも優しいボルダリングウォールなどを備えた複合型アウトドアアクティビティ施設だ。レベルに合わせたスクールや、「はじめてのボルダリング」「親子ボルダリング」といった体験プログラムなど多彩なコースから選べ、誰でもすぐに楽しめるようになっている。

(Text:Yasushi Hisatomi-outdoorgearzine)
(Photo: Shinsuke Kamioka)

TEL : 042-541-3223
営業時間: 平日 9:00 ~ 22:00 / 土日祝 9:00 ~ 21:00 / 水曜定休
公式サイト: https://www.play-tokyo.com/
Facebook: https://www.facebook.com/play.akishima/

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