Editor’s Eye

2018.08.17

Editor’s Eye

平間至“Still Movies”
動き続ける写真展とは

“Still Movies”と名付けられた平間至氏の写真展は、カフェ展示ツアーというコンセプトを持っている。 「日常的に人がいる場所で、写真がどんな役割を持つのか、人が写真をじっとみるだけでなく、写真と人が風景の一部として存在するいうか、そんな写真展をやってみようというのが始まりでした。カフェという場所にこだわったのは、そういう意味で、そこに流れる音楽のように写真に浸ってもらえればと考えたからです」。



今回、カフェ展示ツアーが開催されているカフェ<SUNDAY>は、東京・三宿の平間写真館のすぐ隣に位置し、平間氏自身も日に数度も訪れるといういわば日常の場所。そこに展示される写真たちには、初期のものも多く展示されている。
「1993年に行った初めての個展のタイトルも“Still Movies”でした。元々動きも音もない写真という表現の中から、何かが聞こえたり動きを感じたりして欲しい、そんな思いがあったのでした。そんな何かを語りかけてくるような写真がある空間として、人が憩い話すカフェという空間に解き放ちたいというのが、今回の企画の原点かもしれません」。



中には最初の写真集である“Motor Drive”の作品もあり、平間至という写真家の原点を感じることができる。
壁面にかけられた写真の間に飾られたギターからも彼の想いは伝わってくる。



そして一歩奥へと歩を進めると、彼のライフワークとも言えるTOWER RECORDのポスターシリーズ“NO MUSIC, NO LIFE”の世界が広がる。
「音楽と写真が僕の全ての原点」と語るように、平間氏の写真に欠かすことのできない音楽という要素がダイレクトに迫ってくる。



写真を見るという行為を否定するのではないが、見る人自身も写真と同一空間で一つの風景となって溶け込んでいく。そんな新しい写真体験がここにはある。

(Text:Y.Nag)
(Photo:三輪僚子)

<展示概要>
平間至写真展「Still Movies」&「NO MUSIC,NO LIFE?ポスター展」


会場:SUNDAY
〒154-0001 東京都世田谷区池尻 2−7−12 B1F(平間写真館隣り)
URL:http://sunday-cafe.jp/
会期:2018年7月5日(木)~9⽉11日(火)
開館時間:11:30~23:00(水曜日のみ 18 時閉店)
休館日:無し
観覧料:無料
問合せ先:平間写真館 TOKYO
TEL:03‑6413‑8400
協力:コンタクト、アトリエシャティーニュ、東京カラー工芸社、フォトクラシック、SUNDAY
※カフェスペースでの展示の為、混雑時やイベント開催時は、ご覧いただけない場合があります。ご了承ください。

平間至 1963年、宮城県塩竈市に生まれる。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、写真家イジマカオル氏に師事。写真から音楽が聞こえてくるような躍動感のある人物撮影で、今までにないスタイルを打ち出し、多くのミュージシャンの撮影を手掛ける。近年では舞踊家の田中泯氏の「-場踊り-」シリーズをライフワークとし、世界との一体感を感じさせるような作品制作を追求している。2006年よりゼラチンシルバーセッションに参加、2008年より「塩竈フォトフェスティバル」を企画・プロデュース。2009年よりレンタル暗室&ギャラリー「PIPPO」をオープンし、多彩なワークショップを企画する等、フィルム写真の普及活動を行っている。
2013年には、俳優・綾野剛写真集「胎響」(ワニブックス)や、田中泯氏との写真集「Last Movement-最終の身振りへ向けて-」(博進堂)の発表と共に個展も行い、大きな注目を集めた。2012年より塩竈にて、音楽フェスティバル「GAMA ROCK」主催。2015年1月三宿に平間写真館TOKYOをオープンした。

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