読書狂時代

2017.09.05

読書狂時代

YOUNG(ヤング)

ヤングである。インディーバンドのライブとかTOKYO ARTBOOK FAIRに売ってそうな ZINE のような世界観。スケボーに乗ってそうな、こっそりとタギングしてそうな、コーヒー豆を自家焙煎してそうな、蝙蝠蘭育てていそうな、そんなてらいのないCITY BOY感にアイロニカルなタッチを加えているのが、やはりこの店名ではないだろうか。なので、この店では、そんな距離を感じさせる本を読みたい。カレーについては本当にどれも美味しいけれど、特におすすめしたいのが「コンボ」。圧倒的なフォンの旨味と甘く炒めた玉ねぎの味わい深い欧風チキンカレーと、スパイスの効いたキーマがセットになった魅惑の一皿。付け合わせのラッキョウや福神漬け(これも本当に分かってらっしゃる)などを組み合わせながら、様々な味が楽しめてしまうのだ。

マリアージュしたい本:タオ・リン、ジュノ・ディス、ゲーリー・シュタインガート、とか書きながら若干若い世代の文学を追えていないなという自分に気付く。最近読んだアンドリュー・カウフマンなんかも合いそう。

YOUNG(ヤング)
世田谷区代田5-1-16 1F
☎050-1454-9173
12:00~15:00 18:00~20:30LO
火・第3日・第3月休
http://curry-young.tumblr.com/

VOVO

GHEE系ならもっと違う店があるだろう。“BLAKES” を紹介しろ、“FORRESTER” の方が美味しい(嘘でもない)という声が聞こえてきそうだが、敢えてのVOVOである。その心は、“SUNNY BOY BOOKS” が近くにあるから。この本を置いておけばとりあえずOK的なセレクションの本屋が多い中、背表紙を眺めているだけで楽しいのがここ。時々、近所の小学生らしい子供がレジを打ってくれるのもほのぼのしていてよい。「そういえばこの本読もうと思ってたな」的な本に遭遇することも多く、読書狂のハートをぎゅっと掴む。そしてそんな本を買ってしまったら、すぐに読みたいのも読書狂の性というもの。“VOVO”に飛び込んで、カウンターでクローブの利いた激辛ビーフカレー(個人的にはここのじゃないと嫌なぐらい好き)と優しい野菜カレーの合いがけを食べれば、相乗効果で何倍にもなった幸せを感じられるはず。

マリアージュしたい本:“SUNNY BOY BOOKS” で直感的に出会った本

VOVO
目黒区鷹番2-21-8
☎03-3713-6334
11:30~14:00 17:30~22:00(11:30~22:00土・11:30~21:00日祝)
水休
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131702/13158699/

ダバ☆クニタチ

一日中、暇があれば本に手を延ばすが、やはり朝に読むのは特別だ。朝の光が落ちるページの優しい色合いが好きだから。本格南インドレストラン、“ダバ☆クニタチ”では、なんとモーニングが食べられる。マイルドな豆カレーやマサラオムレツをパンと頂けるなんてなんて幸せなのだろう。セットにはコーヒーかチャイも付いて来る。そんな贅沢な一日の始まりに読みたい本は、透明感がある短編集なんかがいいかもしれない。テッド・チャンなんかもいいし、カポーティーの晩年の短編集なんかも魅かれる。ダバ☆クニタチで朝食を。

マリアージュしたい本:『チャンピオンたちの朝食』、『ティファニーで朝食を』、『チョコレートで朝食』、なんてベタなことも言いたくなる。

ダバ☆クニタチ
国分寺市光町1-45-12
☎080-4112-2013
11:30~14:00LO・17:30~21:00LO
モーニングは火〜木・日のみ9:00~10:30
月休・第3火曜日
*営業時間が不規則なことが多いようです。来店前に事前の確認をおすすめ致します。
https://www.facebook.com/dhaba.kunitachi/

(Text:今泉 渚)
(Illustration:ナガシマアヤカ)
(Special Thanks: sato2curry)


今泉渚
ニューヨーク大学文学部卒業。外資系ブランドのPRを経て、独立。現在はフリーランスPRと翻訳家として活躍する。夢は書店で同じ本を手に取ろうとした人と恋に落ち、結婚することだが、少しでも多くの読書時間を捻出する為に本はもっぱらオンラインで購入している。読書感想ブログ『本のPR』ではジャンルにとらわれない古今東西の名作を紹介。


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