The ABC\

2016.05.11

The ABC\’s of International Marriage
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文化の違いで貯金ゼロの事実

国際結婚は賛否両論あり、文化の違いを乗り越えれずトラブルを抱えることもあるらしい。私の場合は、彼が日本文化をリスペクトし、日本語を話し、そして日本にもう数年住んでいるので、文化においてさほどギャップを感じることが今の所無い。ただ、一つを除いては。

妊娠が発覚して、嬉しさと同じくらいの不安が押し寄せた。まず周囲にそんなにベイビーが居なかったので、今後起こることが全く予想つかず、ただ大変さだけは認識出来たからだ。更に、フィンランド人の夫はさほど良くない給料とともに預金額もゼロだった。いや、実際にはマイナスだったのだ!「ゆりかごから墓場まで」という北欧福祉国家の片鱗がチラリとのぞく。彼らは預金してなくても、全く不安感ゼロ。ここ日本なんですけど~(汗) 子ども一人が成人するまでに数千万円は必要と言われるのに、大丈夫だろうか~と不安ではちきれそうだった。実際ぐんぐん大きくなるお腹のように……

確かに外国人の中でも桁違いの収入がある人々もいて、大体知り合いはそういう人と結婚しているので、同じ外国人でもこうも違うのか……とショックを隠し切れなかった。

ただし、まあそんなショックを受けても始まらないので、これは自分が稼がなくてはならない。頑張るための逆境だ!と無理やり思い込もうとした。時間と共に、ベイビーグッズは友人から全てお下がりを享受することで経費を掛けずに済んだり、夫の借金が完済したり、ブラジル赴任によりまとまった預金が出来ることで、なんとか平常心を取り戻せるようになった。

預金ゼロ友人ゼロビザ無しなのに、突然日本が好きだからと移住して来たポーランド人カップルの存在も大きかった。単に夫だけ見ていると、この人は大丈夫か?と不安になるけれど、他のヨーロッパ人も同様貯金を重視しないのである。このポーランド人カップルの無謀さの果てに、なぜか二人とも日本で就職口と就労ビザまでゲットして気付けば私より収入が高い暮らしを始めるのをマザマザ見ると、ああこういう世界もあるんだなーと気付かされたのだ。預金が無くても何とかなるもんだ、と。例えそれが日本であっても。勿論、お金はあるに越したことないのだけれど。

食文化の違いでのゴタゴタ

これは非常に大きな問題で、多くの国際結婚カップルも直面している。私の夫婦関係が上手く行っているのは、食嗜好が非常に共感しあえるからと言っても過言ではない。週末に一緒に料理をして、「美味しいね」と言い合って食卓を囲む、これほどの幸せはないと結婚してから常々思うくらいに。そうはいっても、異なることがチラホラあることはある。

まずは、塩分糖分への意識の相違である。和食の朝食といえば、ごはんに味噌汁に漬物に焼き魚と、ほぼ全てしょっぱい物を米と食する。ヨーロッパの場合、人にもよるだろうが、大抵は、パンに甘いジャムをタップリ。私、パンが苦手で、特にフィンランドの黒パンと呼ばれるライ麦のパンはまだ好物とは言い難い……クリスマスに食べるという「ライスプッディング」、日本人の私にはなかなか米が甘いという事実を受け入れるのは至難の業。私は19歳の時に1カ月ロンドンにホームスティした時にサーブされ、ショックで食べられなかったけれど、そういう価値観もあることを受け入れ今では食べられるようになった。

一方、ヨーロッパ人の夫は、和食が続くと、ガッツリ肉が食べたくなるらしく、肉の塊をオーブンで焼き始める。私に焼けと命令せず、自分で肉を買ってきて焼いてくれるから、文句は無いけれど。お蔭で1歳の娘も「肉~!」と叫ぶほどの肉好き。絵本で鶏や牛、羊が登場すると普通の子供なら「コケコッコー!モーモー!メェーメェー!」と鳴き声を真似するところ、絵本の絵を掴みとってモグモグ食べる真似を始める始末。どれだけ肉食女子なんだか。

今は日本に住んでいるので、時折アジアンや寿司焼肉といったモノを無性に食べたくなっても、ひょいっとお気に入りのレストランへ行けるから不満はないけれど。ブラジル滞在11ヶ月の後半は、帰国したらどのレストランへ行こうかと毎日ネットサーフィンで心を満たしていた。確かにブラジルだと、野菜や果物が日本より美味しいけれど、美味しいレストランが無い。ヨーロッパだとパンやチーズやハムは日本より格段に美味しいけれど、これまた日本程多様的ではないし、豆腐やミョウガといったちょっとしたものを欲してしまう。実際海外へ移住となったら、ある程度は自分達で作るものの、食事が耐えられるかは疑問を抱いているのも事実。

(Text & Illustration: Lumico Harmony[ルミコ・ハーモニー])


Lumico Harmony (ルミコ・ハーモニー)
フィンランド人との結婚を機に、人生を見つめ直し、活動の幅を広げる。アート活動、イラストレーター、ライター、ワークショップアートディレクター、北欧コンサルティング、親子国際交流NPO「ザ・グローバル・ファミリーズ」副理事長も務める。3児の母。
http://lumicoharmony.weebly.com/
https://facebook.com/lumico.harmony

団体「ザ・グローバル・ファミリーズ」では、親子で国際交流出来る機会を提供しています。ローカルファミリー登録募集中です!
http://www.theglobalfamilies.com/japanese.html
4/27開催のJAPAN FAMILY FESTIVALのメインビジュアルも描いています。
http://www.japanfamilyfestival.jp/topics/2016/03/japan-family-festival-vol3.html

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