TOKYO alive 東京生活向上指南

2014.12.23

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東京生活向上指南 Vol.05
東京の夜、大人の夜RUN!

東京の夜。仕事が終わって帰る家路の途中で、あるいは久しぶりに夜遊びに街へ出る道すがらにも。そこかしこで見かける、“走る人”。
なんでこんな時間に、こんなところを走っているの? 疲れるでしょ? なんのために?
でも、そう気になるとしたら、あなたも近いうちに、走る人になっているかもしれない。

ひと足先に走る側になった人たちに、聞いてみた。
夜走るってどんな感じ? どんな気持ち?

その声に、ストイックさは不思議なほど無かった。
「夜走ると目から入ってくる情報が少ないので、第六感も含めた部分が研ぎ澄まされるような気がして好きです。
ある時は耳。日中とは同じはずの音が気になったり、違って聞こえたり。
ある時は鼻。いつもと同じところを走っても、木々や土、水のにおいがいつもより感じられたり。
脳の働きも違うような気がする。夜書いたラブレターを朝読むと“なんだこりゃ”ってなる感じと似ているのかも(笑)。
なので、仕事の企画を考える時にゆっくり走ったりもします。帰ったらプロットだけ書いて一晩寝かせて読み返しながら肉付けしていきます。なんだこりゃってなる時も多いですけど」(がんばって走るは好きじゃないけど、走ること自体はとても好きなはずの映像プロデューサーIさん[30代男性])

人は走りながら、いろいろ考えるようだ。
「帰宅ラン(仕事帰りに職場から家まで走る)をしてますが、とにかくいろんなことを考えながら走ってますね。
その日、仕事であったイヤなこと、最近あった楽しいこと、悔しいこと、悲しいこと……。過去のこともあれこれ反芻してたりします。
さらに最近、妄想がひどくなって、走りながら頭の中で勝手にいろんなことをしているからとんでもないことになってます(笑)」(週に2回10数キロの帰宅ランをしている、ジャズシンガーでもあるHさん[40代女性])

「仕事であった嫌なこととか、プライベートのこと、将来のこととかを考えなから走ってますね。澄んだ空、星空を見てると悩みなんてどーでもよくなります。いろいろなことをリセットできる時間です」(レースでの入賞経験を持つ、実力ランナーのOさん[30代女性])

人は走りながら、考えずに感じるようだ。
「川沿いか池のある公園の周囲を走ります。水辺のコースは春夏秋冬の季節を感じやすい。どの季節も好きです。
月明りや星空の下で走っている時は、頭の中はまさに空っぽ、という感じ」(レースでは常にガチ! ランニングチームを引っぱるキャプテンAさん[50代男性])

「夜、公園のオフロードを走るのが好きです。足もとが暗くてよく見えないから、全神経を総動員、ものすごい集中力で走ります。この時は思考は完全にストップしてるかな。自分の中の動物的な感覚が、より冴え渡る感じ。
そして不思議なことに、夜はスピードが上がります。なぜなのかわからないけど。
仲間と月を見ながらのんびり走るのもいい。のんびり走っても、やっぱり昼間のそれとは違う。
私にとって夜RUNは、どこか獣っぽく、本能的な感じがする」(見事な三角筋を持つダンサーのHさん[40代女性])

人は走りながら、音楽を感じるようだ。
「ゆっくりジャズを楽しみながら走ってます。即興を何度も聴き返し、あれ? こんなフレーズあったんだ! と発見できたときは嬉しいですね」(水泳、バイクもこなすトライアスリートのMさん[30代男性])

「足もとの安定した道、グラウンドの回りを走る時などは、自分の内面に向かいます。
最初は雑念でいっぱいですが。調子が出てきた時は、自分の呼吸が規則正しい3拍子の音階でずっと聴こえています。
吸う呼吸がレ、シ、レ。吐く呼吸がド、ラ、ド。なぜか短調。同じ音階の繰り返しなのに、脳の中でひたすら五線譜に起こしています」(トレイルランの大会にも出場しているKさん[40代女性])

大人の夜RUNって、こんな感じ。中学、高校の体育の時間に走ったときの「きつい。辛い。なんでこんなことしなきゃいけないの!?」とは、全く違った世界。
時にいっしょに走る仲間がいれば、その楽しさは倍増です。考えていること、感じていることはそれぞれだろうけど、共有できる楽しさ、喜びがある。

(Text: yasutake iijima

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