TOKYO SLEEPER 東京快眠

2015.09.14

SLEEPER
topimage_sleeper_vol.15

東京快眠指南 Vo15
by Megumi Kaji
ひと肌恋しい眠りの季節

梅雨明けからいきなり猛暑になった今年の夏があっという間に過ぎ、秋も突然やってきました。今まで暑苦しい存在だったブランケットを思わず肩まで引き寄せてしまいたくなるほどの季節の変わり方です。眠りに入ろうとするとき、私たちが無意識にあるいは意識してとる行為を「入眠儀式」と呼びます。いつもの決まったプロセスを踏むことで、睡眠へと脳と心の準備がなされるのです。そして、その時に用いたり存在するモノを「眠り小物」と呼んでいます。スヌーピーに登場するライナスがいつも持ち歩く毛布や、枕元の本、ベッドに入って聴く音楽、枕やシーツにスプレーするお気に入りのアロマ。あるいは、涼しくなると急に布団に入ってくる猫たちも、広い意味で眠り小物といえそうです。
ご自身にそっくりなロボットや遠隔操作ロボットなどを数多く開発してきた石黒浩先生の講演「存在感メディアの研究」と、人をイメージさせるシンプルな形をしたぬいぐるみのようなHugvieのデモンストレーションを体験しました。ロボットを作ることによって、人と人との関わりの原理や、人そのものの理解を深めようと研究に取り組む石黒先生が考案したHugvieは、携帯電話など音声通信機器のホルダーが付いたクッション型コミュニケーションメディアでした。携帯電話などをホルダーに装着してHugvieを抱きながら通話すると、電話の向こうの相手がより身近に感じながらコミュニケーションがとれるというものです。眠り小物を聴覚、触覚、嗅覚といった人の五感で分けてみると、どうやら眠りに就くときに選ばれるのは触覚が最も多かったのですが、さらに単一の感覚より触覚と聴覚などという組み合わせで、人は存在感をより強く感じるのだそうです。 睡眠という無防備な状態に入るとき、私たちは様々なプロセスで得られる存在感に、本能的な安心を得ようとしているのでしょう。今後ますます人と機械の新しいインターフェイスのあり方が、眠りという場面でも変わってきそうです。

鍛冶恵
東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。
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