教えて外国人!東京未来予想図2017 Alien in Tokyo

2017.02.16

vol.15 TOKYO NEXT


愛すべき街、東京。でも、コレだけは改善して欲しい!



―東京とは、自分にとってどんな街ですか?

アレック:俺の街!(笑)。愛してる街、という意味ですよ。忙しくないとダメなタイプなので、東京はすごく自分に合っていますね。今日、何かひとつ学ばないと気が済まない人間だから、何もないまま一日を終わらせるのは性格的にもムリで(笑)。だからこそ、この25年間、メインの仕事と共に、演劇や映画など、色んなことに取り組んできました。今も、毎日が新しく、新鮮な一日に感じます。

フィリップ:過去と現在と未来が時空を越えてつながる、巨大なパラドックス都市でしょうか。東京では、自分を“旅人”だと思っています。人や仕事との運命的な出逢いをエンドレスに探し続けているかのような。アーティストとして生きる中、“未だ見ぬ次の何か”を夢見ることは必須。夢のようなチャンスを引き寄せられるのも、東京だからこそあり得ることです。

アンネ:終わらない街ですね。あちこちに出かけて、その都度、刺激や発見があって。毎日が充実していて、楽しいです。ただひとつだけ、どうしても日本で慣れないのは、レストランでのテーブル文化。連れの人がいるのに、先に一皿出して、他の人を待たせるのは、ちょっとセンスに欠けたおもてなしかもしれません。だって、一緒に食事を楽しむために食べに来てるんですから。せっかく見た目にも美しい料理なのに、もったいない…。偉そうに言って申し訳ないのですが、願わくは、ヨーロッパのように一気にドン!と、同時に出して欲しいですね。

アレック:その意見、すごい新鮮です。私も料理が出てくるまで、ずっと待っちゃうので(笑)。

アンネ:アレックさんは、日本人より日本人らしいかも(笑)。

外国人座談会から見えてきたものとは


いよいよ、本気のグローバル化が東京に求められる時代が来たー取材を終えて、筆者はこう感じた。グローバルと言っても、英語のお勉強のことではない。語学はあくまで手段であり道具。必要に迫られたら、少しの努力で身につけられるものだ。今回、東京に暮らす外国人から学んだことは、柔軟な心の姿勢と、そこから生まれるコミュニケーションの心地良さだ。

お茶を濁さず、自分の意見はきちんと言う。それでいて、相手の意見にも耳を傾け、できる助言は惜しみなく与え合う。当たり前のようだが、生のコミュニケーションが希薄化する今、これができない人は東京にごまんといる。

近い未来、テクノロジーが発展するほど、人間の仕事がどんどんなくなると言われるけれど、いかがなものか。コミュニケーション能力と順応性に長け、バイタリティに溢れる東京の外国人こそ、良きライバルとしてこれから意識すべき存在なのでは?―というのが、筆者の東京未来予想図だ。さて、あなたならどう予想する?


アンネ・マリー・ハイデックさん

アンネ・マリー・ハイデックさん
建築デザイナー
1987年ドイツ・ベルリン生まれ。16歳の時、交換留学生として、東京と秋田で一年間を過ごす。2012年ベルリン自由大学卒業。在学中、東洋における政治関係を学び、慶応義塾大学や中国に留学。2015年ワイマールバウハウス大学建築学科卒業後、東京の設計事務所に就職。ベルリン在住の日本人、ドイツ人と共に立ち上げたNPO法人「絆・ベルリン」を通して、3.11の被災地の人々へのボランティア活動を精力的に行っている。


アレックさん

アレックさん
経営者、俳優
1991年、美容師として初来日。以後、モデル、俳優、ラテンDJなど幅広い活動を行う。現在は、日本最大級のサルサクラブ・六本木「El Cafe Latino」の代表取締役を務めながら、再現ドラマや舞台を中心に、俳優としても活躍している。最近の主な作品に、演劇団体「俺は見た」による「髪結いの亭主と私との関係」、「ニュータウンの影」などがある。


フィリップ・エマールさん

フィリップ・エマールさん
パフォーマー、歌手、クラウン(道化師)
10年にわたるシルク・ドゥ・ソレイユ在籍後は日本にとどまり、身体の動きについての独自のワークショップを続けるとともに、さまざまな芸術的な活動を始める。最近の主な出演作には、映画「オケ老人」、「オフェリア•影の一座」(新潟りゅーとぴあ、東京芸術劇場、兵庫芸術文化センター)、レビューショー「HEROES」(オーチャードホール)などがある。


(Text:岸 由利子
(Photo:Masashi Nagao)

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL