東京・パリ・NY・ロンドン「◯◯費」徹底比較 東京は一番住みやすい?

2017.02.09

vol.15 TOKYO NEXT

<趣味や嗜好品にかかるお金事情とは>


日々の暮らしにちょこっと贅沢をプラス的な、趣味・趣向品どうなんだろう。というわけで、比較的わかりやすいアイテムをセレクト。なんとなく国民性的なものが見えてくるのであった。

タバコ(マルボロ1箱あたり)


1)ニューヨーク-NEWYORK
  マルボロ一箱=> 約1540円 [13.75ドル]
2)ロンドン-LONDON
  マルボロ一箱=> 約1070円 [9.50ポンド]
3)パリ-PARIS
  マルボロ一箱=> 約790円 [7ユーロ]
4)東京-TOKYO
  マルボロ一箱=> 460円

[余談]
NYでタバコを持っていると「1本1ドルで売って」と見知らぬ人から声をかけられることもある。(それだけ高い!)ロンドンやパリでは蒸してすごい量の水蒸気を出すタイプの電子タバコがブーム。髭を生やして爆煙を出すのが、ロンドンの若者の中で今一番ヒップなのだとか。アメリカやヨーロッパは大抵室内喫煙NGだが、外ならOK。路上で吸っている人も多いので、彼らに言わせると東京の路上喫煙禁止はとにかくナンセンスに見えるそう。

美術館(入館料)


1)ニューヨーク-NEWYORK
『近代美術館(MOMA)』約2020円[18ドル]・第1金曜日の午後4時から8時は無料)、『メトロポリタン美術館(MET)』約2800円[25ドル]、映画“ナイト・ミュージアム”の舞台で有名な『アメリカ自然史博物館』は約2500円[22ドル]

2)ロンドン-LONDON
美術館の入場料は基本タダ。(寄付制)
特別な展示になると約2240円[16ポンド]くらいが必要になる場合も。

3)パリ-PARIS
『ルーヴル美術館』約1800円[15ユーロ](通常展示)、『オルセー美術館』約1320円 [11ユーロ]

4)東京-TOKYO
港区にある『森美術館』や『国立新美術館』をはじめ、『東京都美術館』、『上野の森美術館』は、展覧会の内容により料金が異なるので事前チェックが必要。平均1000円〜2000円ほどを参考に。

[余談]
NY、ロンドン、パリではギャラリーの多く集まる地域に行けば、タダで見放題だ。例えばNYにはトップギャラリーもあり、アンドレアス・グルスキーなど美術館で世界循環展をやるような大物アーティストも展示されていることがある。運よくオープニングの日に行けば、レセプションでお酒をふるまわれることも。
ロンドンの美術館入場料は基本タダ!といえども、国民の税金や寄付で賄われている。気持ちよく楽しむためにもの寄付はすべきだ。

ーーーーーー[判定]ーーーーーー


タクシー同様に、お酒の価格にもズレが無い中で、嗜好品のタバコの価格には大きな幅がある。健康増進法や近年の健康志向の強い影響、税率の問題がうかがえる。東京の喫煙スペースは激減の一途だが、他の都市に比べて安価で手に入る。また、趣味や娯楽(エンターテインメントや芸術など)については、歴史や文化の違い、館や内容によって異なる部分があることが分かった。NYのメトロポリタンや、パリのルーヴル、ロンドンの大英博物館などは広大な土地に何万点もの作品が飾られており、1日では見きれないほど。対して日本の美術館は大抵1時間もあれば回れてしまうが入場料は1000-2000円となると、外国三都市の美術館がいかに安いかがわかる。さらにタダで入れるギャラリーで美術館級の作品が見れるとなるとなおさら。欧米の都市に行ったら、新たな興味や趣味に繋がる可能性を求めて足を運んでみるのも良いかもしれない。

<1000円で食べられるものは? 4都市のランチ事情>


1000円ランチ対決!


美味しいものを食べると幸福感が味わえるのは世界共通ではないだろうか。とは言え、大都市の食事事情の上限は限りないので、ランチ限定で比較をしてみることに。そこで、現地在住の4人が1000円くらいで食べられるランチメニューをリサーチ。そこから見えてくるのは、外食産業のたゆまない努力と汗が感じられる結果に。

1)ニューヨーク-NEWYORK
ランチタイムには行列の人気サラダ店で税込約1100円[9.74ドル]。サラダのみでドリンクは別途約340円[3ドル]。自分で運ぶタイプのためチップはなし、Card Onlyの店なのでレジでカードを渡して支払い完了。
レストランで食べると通常15-25%のチップが必要。(チップがウェイターウェイトレスの給料になる)
おしゃれで健康に気を使うニューヨーカーらしいが、サラダだけで足りるのか?!

2)ロンドン-LONDON
『プレタマンジェ』というチェーン展開しているカフェなところでサンドウィッチと飲み物買って、約840〜980円[6〜7ポンド]くらい。レストランで食べようとするとサービスチャージが12.5%ほどかかる。
このサンドウィッチだけだと2時間後にはすでにお腹が空いてそうだ。

3)パリ-PARIS
生ハムとオリーブのサンド+ショコラケーキ約960円[8ユーロ] さすがはパンの国、パリのサンドウィッチは安くて美味しそう、ただちょっと物足りない気が。

4)東京-TOKYO
表参道に位置する人気レストランのランチは、メインの肉料理+リエット+サラダ+バケット+スープ+デザートのワンプレート(食後にコーヒーまたは紅茶付き)が1100円。



また、昭和レトロの風情溢れる喫茶店や洋食レストランのオムレツやカレー、ハンバーグのランチもスープとサラダ+ドリンクが付いて800円〜1000円も珍しくない。ワンコインでお腹いっぱいになる牛丼でお馴染みの『吉野家』『松屋』をはじめ、チェーン店やラーメン屋が多いのも東京ならではかも。

ーーーーーー[判定]ーーーーーー


多国籍な人も料理店も集まる中、ユネスコ無形文化遺産に登録された“和食”の料理店が点在する東京は、グルメクルーズにはもってこい。美味しいものを満足に味わえる東京の1000円ランチ事情は、個人的には圧勝というところかな。ま、そもそも諸外国はランチに重きを置いていないということかもしれないけれど。

<総括>


各都市の、ならではの魅力がある中で、結果的に東京ってすごいと思う。食文化はもちろん、東京がひとつのブランド“TOKYO”になりつつある今、非営利の世界的団体が公表している記事(※1)からしても、一番安全な都市のランキング一位が東京であること、住みやすさと安全性の評価高がわかる。東京に実際に暮らしてみて分かるのは、住むにしろ食べるにしろ遊ぶにしろ飲むにしろ、幅が非常に大きいということだろう。お金をかければそれなりに、かけなくてもそれなりに満足できるというのが、実は東京の大きな魅力なのではないかさえ思う。
その裏には格差社会という問題も潜んでいるのは事実だし、デフレ脱却が遅れていて、そのおこぼれという側面がないわけではないけどね。
とは言え、これからは世界の情報も取り入れつつ、感度の高い外国人に負けないくらいの「東京のここが良い!」と言える個々の意識や知識向上と文化(下町情緒、職人技、伝統芸能、伝統工芸など)を守りながら、暮らしやすい&過ごしやすい東京を作っていくことが必要なのかもしれない。

<お節介な補足>
都市によって賃金が異なるため、これが完全なる比較にはならないことをご容赦いただきたい。
(The Telegraphによると、各都市の最低賃金(時給)はニューヨーク 約810円[7.25ドル]、パリ 約1450円[12.84ドル]、東京1150円[10.2ドル]、ロンドン 約970円[8.63ドル](※2))


<お節介なまとめ>
▪ロンドン
 ◎ 博物館、美術館は基本的に無料(寄付制)名画好きには良い環境
 ◎ ファッションやアートなど新進気鋭のアーティストが集まりやすい
 × 物価が高く、ご飯がマズい
 × 1日の中に四季があると言われるくらい不安定な気候
 × 100円均一のビニール傘のような折り畳み傘が500円くらい(高い!)そして壊れやすい!購入注意!

▪パリ
 ◎ 最高峰のアートやファッションが街に溢れている
 ◎ 自然体で人々が暮らしている
 △ 値段にかかわらず美味しいご飯とそうでないものの差が激しい
 × レストランでは店員さんの気分でサービスが変わる(店員さんとお客さんの立場は同等で、顔見知りになっておくといろいろお得)
 × スリが多い(全方位注意!)

▪ニューヨーク
 ◎ 世界各国から(特に金融とアート)人材が集まるため、世界中に人脈ができる
 ◎ ギャラリーなどで世界的なアーティストの作品をタダで観ることができる
 ◎ 女性が重いものを持って階段を上がっていると、見知らぬ人が助けてくれる(こともある)
 × 水まわりなどがすぐ壊れるのに、修理屋が時間に来ず、一日中家にいなくてはならないことがある
 × 地下鉄に乗っていると電車の行き先や停まる駅を急に、勝手に変える
 × タバコは室内で吸えず、お酒は外では飲めないので(公共の場所)愛煙飲酒者にはきつい


▪東京
 ◎ 家が綺麗で設備もしっかりし駅から近くても比較的家賃が安い
 ◎ 宅急便の時間指定ができ、ほぼきちんとくる
 ◎ 世界各国の美味しいものが食べれる。それも圧倒的に安い!
 ◎ タバコが安く、室内で吸える(嫌煙者にはxだが)
 ◎ 突発的な犯罪が少なく、安全
 × 圧倒的に日本人の割合が多く、外国人に会う機会が少ない
 × 世界各国の主要なアート展巡回展が来るが入場料が高い


☆丹念にリサーチしましたが、もし数字等間違いがありましたらお知らせくださいませ。
☆為替は2017年2月時点のレートです。
※1 出典元1
https://www.weforum.org/agenda/2016/12/the-worlds-15-safest-cities-according-to-the-economist?utm_content=buffere253c&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer
※2 出典元2
http://www.telegraph.co.uk/finance/economics/11189570/The-most-affordable-city-for-young-people-to-live-Its-not-London….html

(Text:Sayaka Miyano + TOKYOWISE編集部)

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