ネイルサロン難民に告ぐ クーポン依存からフルオーダーへの道 Nail Creativity

2017.03.23

vol.16 TOKYO NEXT
ネイルサロン難民に告ぐ クーポン依存からフルオーダーへの道 Nail Creativity

“ネイルサロン難民”というワードをご存知だろうか?

ここ10年ほどでネイルサロンは激増し、駅ビルやファッションビルはもちろん、繁華街を歩けば雑居ビルやワンルームマンションの表に、立て看板が出ているのをよく目にするほどだ。大手サロン情報サイトでは、都内だけでも2000軒超のサロンが掲載され、選り取り見取りの状態と思ってしまうのは、ネイルビギナーの見解だ。

確かにサロンが増えたことで以前よりも単価は下がり、さらにクーポンなどでの割引、価格競争が激化しているおかげで、コスト面でのハードルはかなり下がってきた。最近では初回限定のクーポンを利用し、1度きりの関係で様々な店を渡り歩く“クーポン遊牧民”的な女子も多い。 しかし、これは私から言わせれば「美容院は1000円カットで十分」という人となんら変わりない。私の言う難民たちの悩みの種はそこではない。ネイルは爪先のおしゃれでありデザインだ。そう思う人々にとって、納得のいくセンスを持ち合わせたネイリストやサロンとの出会いは、運命的であり、一生モノ。これを見つける旅はなかなか難儀なものなのだ。

私もネイルビギナー時代は、“クーポン遊牧民”を満喫していた。友人たちとどこが安い、あの店は良いなどの情報交換をしながら、2年ほど毎月様々なサロンを流離っていたが、どうも納得がいかない。大概の店が決められたデザインパターンで価格帯が分かれていて、色やストーンなどをアレンジできるのだが、そのサンプルがどれも絶妙にダサい。 色をアレンジしたり、キラキラを外したり試行錯誤するが、ダサい。結局、ワンカラーかフレンチしかオーダーしなくなり、何のためにプロに頼んでいるのだか分からなくなるのだ。何度かサロンで聞いてみたが、客層に合わせてデザインをするため、その大半はOLや学生ということから、かわいい系、キラキラ系のデザインが主流になるのだとか。個人的に一番苦手な分野が主流と聞かされては、もはや私の来るべき場所ではないと諦めた。

ネイルサロン難民から、フルオーダーという自由へ

そこから私はフルオーダーの店に通い始めるようになった。
フルオーダーは当然のことながら、値段が張る。店も高級な雰囲気で地元マダムで賑わうようなセレブ店や、御所的ネイリストが出てきたりすることも多い。しかし、3年ほど前から通っている私の行きつけサロンは、フルオーダーのシンプル系と込み入った系の2段階価格設定で良心的。ネイリストも年齢は若いが腕も良く、何より勘がいい。彼女と出会ってからというもの、私のネイル欲は開花した。 海外などのデザインネイルを持ち込むことも多いが、ネイル以外の物のデザインや色味、質感を取り入れるのが最近のマイブーム。器や食材、廃材、スーツ地、絵本など、いつも様々な素材の写真を持ち込んでは、ネイリストを困らせている。職業柄、色味などの指定にうるさいこともあり、同じグレーでも「もっとスミっぽく」「いやグリーンがかったくすみ感だ」などというオーダーにも屈せず、快く対応してくれる彼女には本当に頭が下がる。私と同じようなネイルサロン難民の方々には、いち早くクーポン依存を辞め、フルオーダーサロンへの切り替えをおすすめしたい。

ここで、私がフルオーダーしてきたネイル履歴を少しだけご紹介しよう。

草間彌生の個展を観た後の余韻で。
バイカラーだが主張し過ぎないドットをセレクト。

愛用の天然ストーンネックレスとお揃いの配色に。
ゴールドのチェーンはリングスタッズで再現。

当時ハマっていたモロッコ皿の写真を持ち込み、柄の一部をモチーフに。
翌年、皿ネイルがプチブレイクしたのだとか。

2016AWのCÉLINEプレタポルテのコレクションを見て、
ベージュ×黒の切り替えや赤いリップに刺激を受けて。

ネイルアートも、クリエイティブに

しかし、こうしてオリジナルのデザインを作っていくことはとても楽しいが、これほど手間と労力がかかることを毎月毎月考えるのは、仕事にも追われる身としてはなかなか骨の折れる作業だ。もっとデザインやアート、モードなファッションが好きな女性たちのためのデザインが、既存のサロンでもできるようになったらどれだけ需要が広がるだろうか。私のネイルを見たデザイナーたちは、「アルバイトでやってみたい」「もっとバランスをこんな風にしたら……」などと語ることがあるが、本当にやってもらいたいと切に願う。美大やデザイン学校、ファッションスクールを出て、ネイリストになる人が出てきたらもっと面白いデザインが生まれるだろう。 デザイナーからの転職だっていい。ネイル需要拡大の可能性はまだまだある。数多くいるネイリストたちも、デザインスキルとセンス磨きに励むことで、価格競争のスパイラルから抜け出すきっかけになるのではないだろうか。
いちネイルアートファンとして、そんな未来を願ってやまない。

(Photo&Text:Yumi Sato

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL