『素人の乱』『マヌケ宿泊所』 オーナー松本哉氏に聞く カオスタウン“高円寺”今昔物語 KOENJI, Rock 'n' Roll

2017.06.12

Vol.18 中央線快速物語

世界が恋する高円寺


――松本さんにとって高円寺とは?

M:一番、格好つけずに自由なことできるエリア 。東京の中でもなかなかそういう場所ってないから、世界に誇れるところだと思うんですよね。日本のサブカルとかアンダーグラウンドを知らない外国人観光客でも、新宿や渋谷は大して面白くなかったけど、高円寺に来て衝撃を受けてハマる人結構いるんですよ。
N:僕の友人でシューズデザイナーのパトリック・コックスも、日本に来ると成田から高円寺に直行だもんね。青山や銀座みたいな街は、いくらでもロンドンにあるって。
M:海外からのお客さんで10回くらい高円寺に来たけど、まだ新宿には行ったことがないっていう人がいましたよ(笑)。彼は高円寺で1週間くらい飲み歩いて帰るんです。自分たちも海外に行った時も、本当にローカルな街や雰囲気に触れられることって、なかなかないじゃないですか。それが高円寺にはあるんだと思います。
N:高円寺の人たちって、自分たちも含め県外人だろうが外国人だろうが基本差別しないんだよね。昔、高円寺で飲んでた時、全く英語話せないおっさんが外国人と二人で楽しそうに爆笑してたんですけど、全然会話にも何にもなってなかったんですよ(笑)。そういう、人と人のハードルが低いんだと思う。
M:確かに商店街のオヤジと外国人が話している光景を色んな所で見かけますけど、あれってすごく良いですよね! よくイベントとかでも、外国の人に神輿担がせたり、餅つきさせてたりしてますけど、ああいう風に接してもらえたら、絶対に嬉しいですよね。
N:高円寺ってイメージだけで語られがちだけど、実際に来たり、松本さんみたいな人に話を伺うと、やっぱりすごいよ。高円寺はサブカルチャーではなく、カウンターカルチャーの底なし沼。そもそもメインカルチャーを信用してない(笑)。
M:メインカルチャーなんて全然羨ましくないっていうね。自分もそうだし、そういう人多いですよ。また、そういう変わった人たちにもそれぞれの価値観があって、行く場所も違うんです。だから、いまだに知らないことや発見があって、どれだけ奥深い街なんだと日々感じていますよ



松本 哉(まつもと はじめ)
1974年東京生まれ。リサイクルショップ『素人の乱5号店』店主。高円寺北中通り商栄会副会長。96年『法政の貧乏くささを守る会』結成以来、各地でマヌケな反乱を開始。05年、東京・高円寺で山下陽光らと『素人の乱』をオープン。その後、「3人デモ」「俺のチャリを返せデモ」「家賃をタダにしろデモ」「原発やめろデモ!!!!!」他とんでもないデモを行う。現在は高円寺でゲストハウス、飲み屋なども運営しつつ海外のオルタナティブスペースとの交流を深め、「世界マヌケ革命」を目指す。著書に『貧乏人の逆襲〜タダで生きる方法』『世界マヌケ反乱の手引書』(筑摩書房)など。



(おまけ)編集部厳選! 高円寺、行くならここに行け集


ニューバーグ:“ハート・オブ・ゴールドな洋食屋”
ニューバーグ
かれこれ60年ほど営業し、しかもスタイルもメニューもほぼ変わってない。値段も実勢価格としては当時と変わらず。ただし高円寺に思い入れのない人にとっての味は評価外となるだろう。
詳細URL:https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13000708/

都丸書店:“世界が認める古書店@高架下”
都丸書店:“世界が認める古書店@高架下”
社会学系の古書店としては東京ナンバー1とさえ評価が高い。編集長曰く「ここで、みすず書房の本の羅列を見て、訳も分からず真似しました(笑)」とのこと。

餃子処たちばな:“餃子0円! 最高コスパ居酒屋”
餃子0円!最高コスパ居酒屋 どうしてこんなことが可能なのか分からないが、飲み物1杯につき餃子1皿無料。しかもその餃子のクオリティたるや、半端ないうまさ。センベロどころじゃないコスパは高円寺屈指。
詳細URL:https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13108909/

(Photo/Takahiro Tsuji、Text/Yumi Sato
(編集部厳選!Photo/TOKYOWISE編集部)

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