2017.07.17

Vol.19 渋い東京

スタジオで生まれる自己肯定感


平間さんが撮影する写真からはその人の背景、内面が見えてくる。その人がどのような人で、どんな人生を歩んでいるのか、一人の写真、カップル、家族、被写体は様々だが、一枚の写真の中にその人の中身までもが写しだされるようなのだ。この厚みのある一枚を生み出しているのは丁寧な準備。撮影に至るまで、被写体に対する観察を怠らない。「写る人の写真を事前に送ってもらいます。拝見して、どのようなライティングにするか、背景をどうするか、いろいろと考えます」。

© 平間写真館TOKYO © 平間写真館TOKYO 人はいくつもの顔をもつもの、それでいいと肯定してくれる。
中でも、その人の内面に踏み込んだ撮影をするのが「アプローバル・フォトプラン」(2カット10万円~)と名付けられた特別なセット。依頼主がどんな写真を撮りたいのかはもちろん、何が好きか、どんなことを大切にしているのか、趣味は…平間さん自らが丁寧にヒアリングをおこない撮影に臨むという。その行為はまるで「カウンセリングのよう」だと平間さん、「できた写真を見て、“あぁ、自分もまんざらでもないな”と、思ってもらえたら嬉しいですね。自己肯定感とでもいうのでしょうか、この時代だからこそ必要なことのような気がします」。

© 平間写真館TOKYO 撮影という“体験”をしたこの家族の記憶にもこの日、この年のことが刻まれたことだろう。
クライアントであり、被写体であり、作品の共同制作者、鑑賞者、これら全ての顔を持つ依頼主。普段はメディアの撮影に忙しい平間さんだが、写真館はとてもやりがいのある仕事であり、今までの集大成だと言っている。写真館のように全てが「生」な感覚は他にはない」と力強く語る。
「音楽を聞くのって、ライブとか、体験的なものですよね。写真は撮られることが一番体験的で、一緒に“いいね”と言い合える。そして、体験的なことは必ず記憶に残る」。これぞ写真館の醍醐味。一流の写真家と共に作品を作る喜びを体験できる「写真館」、この創造の世界に一たび足を踏み入れた人はまちがいなくこの「写真館」での撮影が病みつきになるだろう。




平間至プロフィール
宮城県塩竈市生まれ。写真から音楽が聞こえてくるような躍動感のある人物撮影で、多くのミュージシャン撮影を手掛ける。2006年よりゼラチンシルバーセッションに参加、2008年より「塩竈フォトフェスティバル」を企画・プロデュース。2015年1月三宿に平間写真館TOKYOをオープンする。 http://www.itarujet.com/site/


平間写真館TOKYO
住所:東京都世田谷区池尻3-28-5 B1F
電話:03-6413-8400
定休日:水曜
(完全予約制)
http://hirama-shashinkan.jp/

(Text:ジョーキョーマダム
(Photo:Masashi Nagao)

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