渋い東京

2017.07.25

Vol.19 渋い東京

滲み出る生き様。
ロックな個性派ママ、良子さんがいるお店。
茅ヶ崎『ヴィヴィアン』



続いてのご紹介は、茅ヶ崎の老舗スナック『ヴィヴィアン』から。前述のユキママが正統派のお洒落な大人女子とするならば、こちらの良子ママは完全真逆の超エキセントリックスタイル。人呼んで、茅ヶ崎のレディ・ガガ。一歩店の外へ出ようものなら近所のチビッ子たちからも気兼ねなく声を掛けられる、ちょっとした地元のスター的存在だ。
生まれも育ちも東京、木場。どんな時も威勢の良い、ちゃきちゃきの江戸っ子気質。都内の大学を卒業後、会社員を経て24歳でここ茅ヶ崎へ嫁いできた。やがてこのスナック『ヴィヴィアン』を開店し、気付けばかれこれ40年余年。その人情と正義感に溢れる人柄は、地元の御大から若者まで、実に幅広い人々を魅了し続けている。


波乱万丈な人生ながらも、ひたすら我が道を歩いてきた骨太な生き様は、そのパワフルなファッションにも如実に滲み出ている。リップは真っ赤なレブロン。トレードマークのサングラスは、レイバンのティアドロップ以外受け付けない。そこにデコラティブなアクセをジャラジャラと。その様はまるでロックスターさながらだ。

「そう!私ロックが大好きなの。だからお店に立つ時はもちろん、スーパーに行く時もスポーツジムに行く時もこのスタイル。かわいいでしょ?(笑)」。独創的なファッションは、お店での衣装ではなく普段着でもあるのだ。


良子さんのファッションに欠かせないシルバーアクセサリー。日頃から茅ヶ崎のアンティークショップやフリーマーケットへ足繁く通い、少しずつ買い集めたお気に入りだ。

「インパクトのあるアクセサリーが大好きなの。ネックレスもブローチも指輪も、大きい方がかわいらしいじゃない。ヴィンテージの一点物から現行物まで、全部合わせればとてもじゃないけど数えきれないくらい持ってるわよ」。


染まらず、曲がらず、徹底的に自分の個性を貫き通すその超エキセントリックなスタイルとは裏腹に、とにかく情に厚い良子ママ。そんな見た目と中身のギャップこそ、スナック『ヴィヴィアン』の大きな魅力。帰り際、「都会に疲れたらいつでもおいで」と声を掛けてくれたママの気遣いに、心から再来を誓った。

ヴィヴィアン
住所:神奈川県茅ヶ崎市中海岸1-1-58
TEL:0467-85-9884
営業時間:18:00〜
定休日:水曜
料金:お通し¥1,000

スタイリスト 相澤 樹
雑誌、広告、CM、アーティスト、タレントなど、さまざまなジャンルでスタイリングを手掛ける一方、衣装デザイナーやエディトリアルディレクターとしても活躍。2017年春夏には、着物ブランド『ふりふ』MDの永橋彩子氏、ファッションデザイナー江部奈津子氏とともに、ウィメンズブランド『トリンカアンプリュアン』を設立。
http://www.mikiaizawa.com
http://trinca-unplusun.com

(Text:山本サトシ)
(Photo:大村聡志、宮前美術)

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL