2017.09.11

Vol.20 アツい東京

その1
殺人事件の被害者・看護師の女性が待つバス停


10年ほど前、ある看護師の女性が八王子市内で行方不明になった。一向に見つからず、警察の捜査が難航していたところ、人里離れた西部の奥地で発見されたという。

「そこは、ちょうどバスの折り返し地点。家は何軒かありますが、わざわざ出掛けていくような場所ではありません。ある日、小川の辺りで、散歩中の犬がやたら騒ぎ立てるので、飼い主が見に行くと、人間の手らしきものが、土から出ていたと。その後、警察の調べで、行方不明の女性と判明したそうです」

バス停では、バスを待つ看護師の女性の霊が目撃されている。バス停の前には、首のない地蔵を含む6体のお地蔵さんが祀られているそうだ。

その2
武士たちの魂がさまよう城跡


その昔、城跡には渡れない橋があった。その下を流れる川には、上流で自害した武士たちの血が、三日三晩流れていたと言われる因縁深いスポットだ。

ドライバーがツアーに参加した3人組を案内した時のこと。「足場も悪いし、暗くて危ないし、謂われのある所だから、ここから先は行かないでくださいね」と注意したにも関わらず、そのうちの一人が、禁断のゾーンに足を踏み入れてしまったという。

「その後、3人並んで記念撮影をしたのですが、その方だけ、首から上と足がまったく写っていませんでした。でも、胴体はしっかり写っているんです。なぜそうなったのか、詳しい理由は分かりません。他にも、スマホで連写した方の画像に、襲いかかる人のようなものが写っていたこともありました。この城が落城した6月23日ごろになると、心霊現象が起きるから山に入ってはダメだと、地元の人の間では言い伝えられています。通常、お赤飯はめでたい時に炊くものですが、ここでは、霊を鎮めるために炊く風習が今も続いています」

その3
猟奇殺人事件の被害者・少女の声がこだまする旧トンネル


「今は封鎖されていますが、昔から通ると何か起きると言われているトンネルで、昼間でも、通るのが嫌でしょうがなかったですね。その脇に新しいトンネルができたんですが、そこを通る時、トンネルの中いっぱいにこだまする小さな女の子の声が聞こえるんです。あと、キャキャキャって声がした時もあります」

森嶋さんによると、このトンネルは、幼女を狙った連続殺人事件のバラバラ遺体が埋められていた現場の真下に作られたものだという。心霊現象が起こるのは、当然といえば当然かもしれない。

「廃道にはなっていますが、旧トンネルの方へは今も歩いていけるんです。安全は保証できないので、止めた方がいいのでは?と提案したのですが、今年の“HELLコース”(これについては後述する)のスポットに入っています。入り口付近だけでも、雰囲気は十分に体感できるのではないかと思います」

その4
怪奇現象多発。老婆の無念の霊がさまようトンネル


50~60年ほど前、あるお堂の堂守をしていた老婆が、残忍な殺され方をしたその下に作られたトンネルに、成仏できずにさまよう老婆の霊が居続けていると言われている。

「霊媒師さんが何人かいらっしゃいましたが、あまり良い霊ではないそうです。このトンネルは、八王子では超のつく有名な肝試しポイントで、パチンパチンというラップ現象が起きたり、写真を撮ると何かが映るなど、怪奇現象が常に起きる場所です。ここも、今回のコース内容に含まれています」

現在、お堂のあった場所には碑がぽつんとあるだけだが、すぐ近くにあるかつての老婆の自宅は、今も取り壊されずに廃屋として残っているそうだ。「昼間に行っても、かなり怖いです」と森嶋さん。

巡礼ツアーの目玉は、“地獄”




「心霊スポット巡礼ツアー 多魔」には、“INFERNO(インフェルノ)”と“HELL(ヘル)”の2コースがある。インフェルノは、八王子南口をスタート地点とし、親子が消えた某踏切やいわく付きの公園、霊園などの8スポットを巡ったあと、高尾駅で下車となる2時間コース。対して、最恐レベルのヘルは、水死体発見現場や集団自殺があった部落跡、首吊りの木など、9スポットを巡り、インフェルノと同じく、高尾駅で下車する2時間半のロングコースだ。

「心霊スポットが好きで参加されるお客様が多いので、ある程度の予備知識はお持ちですね。全体的に、女性の方が多い傾向にあります。大阪や京都などの遠方からの応募もあり、当選者の中には、千葉や埼玉の方がいる一方、昨年は地元・八王子の方はゼロでした。中には、お化け屋敷を営まれている方で、“勉強をかねて参加した”という方もいらっしゃいます」と眞壁さんは話す。

参加者の中に、“見えちゃう方”はいないんですか?と聞くと、森嶋さんはこう答えてくださった。「基本的にはいらっしゃらないのですが、一度だけ、見える方をお乗せしたことがあります。“あ、そこにいますよ”とおっしゃるので、“止まります?”と言うと、“大丈夫です。行っちゃってください”と。通りかかった神社の前で、こっちに来るなという仕草をするモヤッとしたものを見られたそうです。見ても、やり過ごせる方だったんでしょうね。私は、幸か不幸か、まったく見えませんが(笑)」

ニコニコ生放送で、ツアーのもようを実況生継中!




「ツアーの本番前には、営業所のすぐ近くにある神社へ行き、乗務員一同、そこでしっかりと神主さんにお祓いしていただくんです。その安心感って、やっぱりあるんですよ。事故だけは起こすことのないよう、安全運転を心がけて、お客様に存分に楽しんでいただきたいです」

各ツアーの終了後には、参加者全員にお清めの塩を配るほか、全ツアーを終えたあとは、タクシー本体とドライバーがお祓いを受けるというから、さすがは三和交通、抜かりがない。

「心霊スポット巡礼ツアー2017」のもようは、自社ニコニコ生放送内で、急遽、公式放送されることが決まった。今年参加できなかった方は、一度ご覧になられてみたらどうだろう? 穏やかな語り口で、その土地の背景や事件の詳細などについて案内してくれる森嶋さんにお目にかかれるかもしれない。知らず知らずのうちに、ぐんぐん引き込まれる魔力を秘めたトークなので、心してご覧あれ。
※放送は終了いたしました。

三和交通タクシーで行く心霊スポット巡礼ツアー2017
http://sanwakoutsu.co.jp/special/2017summer/

(Text:岸 由利子
(Photo:TOKYOWISE編集部)

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