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2014.02.19

vol.5 TOKYO STANDARD
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It Bag特集は、ファッション誌の人気企画だ。時代のアイコンと呼ばれるセレブたちがこぞって手にするのは高級ブランドの最新バッグ。彼女たちが持つことで爆発的ヒットとなり、長く愛される“定番バッグ”へと昇華していく。最近のバッグ事情といえば、こんなところだろうか。このカラクリで定番化したバッグは、セリーヌの〈ラゲージ〉だったり、サンローランの〈サック・ド・ジュール〉だったりするわけだが、バッグのタイプとしては、どれもトートバッグになる(ショルダーにもなるけどね)。まあ、仕事にも使えるちょっとかっちりしたものをと考えたとき、革製でトートというのは間違いない選択だろう。

しかし最近になり、“お仕事バッグ=トート”といった図式が崩れつつあるのを感じている人も多いのでは? スニーカーがモード界に旋風を巻き起こしたように、今、ビジネス界にリュックが台頭し始めているのだ。PCを持ち歩く仕事の人は、ずいぶん前からリュックで通勤していたというが、その魅力は“ラク”のひと言に尽きる。重さが両肩に分散されること、両手が空くこと。当たり前だが、毎日となるとこれほど快適なことはない。今後、ますますリュック人口は増えるのではないかと思うのだが……。

とはいえ、TOKYOWISE編集部の中でも、アンチ・リュック派はいる。素材がカジュアルなものや、“THEリュック”的な形にどうしても抵抗感があるというのだ。日々ハイエンドなファッションに身を包んでいる人でも持ちたくなるリュックはないものだろうか。
TOKYOWISEではおなじみの辛口PR・M氏に話を聞いてみたところ、3つの条件が見えてきた(今回は辛口ではない)。

(1) アクセサリー感覚で持てるもの
(2) ワンショルダーのもの
(3) かっちりしたシルエットのもの


まず、「アクセサリー感覚で持てるもの」ということだが、端からリュックに実用性を求めていないところが斬新だ。例として挙げられたのはモスキーノのライダースジャケット風のリュック。

「どこに荷物が入るんですか?」と庶民であれば聞きたくなるようなデザインだが、リュックはあくまで洋服を引き立てる装飾品。これはこれでいいのだ。

次に「ワンショルダーのもの」。重さが両肩に分散される、というリュック最大のメリットはさておき、ショルダーが1本であれば肩掛けのバッグとそう変わりはない。大人のリュックとして、こういうタイプを選びたいところだ。

最後に「かっちりしたシルエットのもの」。3.1フィリップリムのような上質な素材でかっちりとしたシルエットのものであれば、カジュアルな服装を普段しない人でも上手に合わせることができるだろう。

つまり、ハンドバックがそのまま背中に移行した感じならOKということ。色も黒を選べばスタイリッシュな雰囲気をキープできそうだ。

ところで、大人男子のリュックは? 編集長N氏に聞いてみた。

「もろアウトドアブランド物はあれはあれでいいのだけれど、コーディネートをぶち壊す危険性大だし。原宿あたりに蔓延する黒いARC’TERYXというのも、迎合しすぎていかがなものかと。シャプリエあたりが狙い目だったのだけれど、フランス製じゃなくなったし、とか。というわけで、目下のところイチオシはCOMME des GARCONS HOMME PLUSのOLIVEあたりかな。この色なら、様々なコーディネートに合わせられるし、ドシンプルなだけに日常使いにぴったり。Mac Book Airを入れるのにちょうど良い大きさというのも良いかな。やや消極的選択で申し訳ないが、引き続きリサーチします!」

とのこと。さあ、この春からみんなでリュックデビューしちゃいましょう。

(Text: Ayako Takahashi-TPDL
(Illustration: 大沢 純子)
(Graphic: TPDL)

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