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2015.03.06

vol.5 TOKYO STANDARD
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水族館、美術館、夜景に公園と、東京のデートスポットは数知れない。東京タワーやディズニーランド、お台場などは不動の定番デートスポットと言えるだろう。定番と呼ばれるものの中には、世間一般に認められたもの以外に、自分にとっての定番というものがある。それは、洋服や食べ物だけのことではなく、デートスポットでも同じことだ。

自身にとってのそれが「大井競馬場」である。これまで付き合ってきた人のほとんどとこの場所を訪れているというのだから、まさに自分にとっての定番デートスポットだ。ひとくくりに〈競馬デート〉としてもいいが、個人的には東京競馬場ではなく大井競馬場にこだわりたい。大井には、中央競馬にはない素朴さがあり、ギャンブルというよりアミューズメントに近い感覚がある。馬との距離も近く、動物園さながらの癒しだって味わうことができるのだ。

デートは1日がかり。10時の開門と同時に出かけ、最終レースまで存分にこの空間を楽しむ。昼間からビールを飲み、赤ペンと競馬新聞をもって世にも美しいサラブレッドの快走を眺める。暗くなればライトアップが始まりムード満点。それだけでも十分楽しいのだが、定番にするにはワケがある。デートは時として相手の本性を見抜く面接の場でもあるのだ。

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第1次面接:馬券の金額をチェック
まず、相手が1レースにつきいくらお金を使っているか、こっそり馬券をのぞいて見てみよう。100円ポッキリしか賭けないせこいヤツなのか、地方競馬にいきなり5,000円賭けちゃうような無謀なヤツなのか、ここで相手の金銭感覚が何となくわかる。

第2次面接:馬券の買い方をチェック
〈単勝一点買い〉する一途なタイプなのか、軸馬を決めて〈流しで買う〉堅実なタイプなのか、あわよくばも狙う〈ボックス買い〉タイプなのか。個人的には、〈流しで買う〉オトコが一番潔いと思う。ルールもなく当てずっぽうに買うオトコは、基本的に何をやらせてもセンスがない。

最終面接:負けた時の反応をチェック
最後の見極めは、やはり感情的部分。負けた時に不機嫌になる、逆上して賭ける金額がどんどんアップするようなオトコは要注意。自分の感情をコントロールできない相手と付き合うと、あらゆる面で苦労するだろう。また、負けたからと言って、その後の飲み代をオンナに払わせるようなヤツは論外である。

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知人のYさんにとっては、蕎麦屋が面接の場だという。〈更科〉か〈砂場〉か、はたまた〈薮〉か、どの蕎麦屋を選んでくるかで既に面接は始まっているというから何とも恐ろしい。店に入って、いきなり蕎麦を注文したら即アウト。彼女いわく、蕎麦にありつくまでの時間にこそ、その人の人となりが表れるというのだ。ちなみに彼女の正解は、十番にある〈更科堀井〉にて、板わさ、焼き海苔、玉子焼、鴨焼き、季節野菜三点盛りを注文のオトコだそうである。

そんなふたりが独身なのはさておき、何でもアリのTOKYO CITYにおいて自分だけの定番デートスポットを持っておくことは悪いことではないと思うのだった。

(Text: Ayako Takahashi-TPDL
(Graphic: TPDL)

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