vol.6_title_Same Sex Marriage

2015.07.11

vol.6 TOKYO LOVE
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レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー。総称して「LGBT」と呼ばれるセクシャル・マイノリティは、日本全人口の約7%を占めると言われているが、横並び社会の風潮が根強いこの国ではまだまだ特殊な存在として見られることが多い。

世界で2番めにゲイの多い都市といわれるシドニーと、ゲイの集まるロンドンのソーホー地区で、筆者は高校・大学時代を過ごしてきたが、実際の彼らは、女装して、オネエ言葉を話す日本のゲイタレントとはまるで違っていた。テレビゆえ、多少の誇張は承知だが、まちがったイメージや認識が世間に広がるのはいかがなものか。

その一方、昨年末頃から今年にかけて、より本質的にLGBTを取り上げる番組やメディアが急速に増えた。中でも、今年3月31日に渋谷区で成立した日本初の同性カップル証明書条例の発表は、世間に大きな一石を投じたといえるだろう。もちろん、この条例がすべてではないが、輪をかけるように、6月26日、全米50州 同性婚合法化のニュースが飛び込んできた。7月2日には、「この判決に後押しされた」と、中国の女性活動家、李婷婷さんがパートナーの女性と北京で結婚式を挙げるなど、世界的にも各地でさまざまな動きが見られている。

でも実際のところ、東京に暮らす同性カップルはどう思っているんだろう?同性カップル証明書条例の成立によって何かが本当に変わったのか? 今回は、レズビアンカップルの二人をお招きして、同性婚についてお話を伺ってみた。

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今年で第24回を迎える東京国際レズビアン&ゲイ映画祭。公式パーティオーガナイザーの永竹未奈さん(手前)と、デザイナーの妹尾亜留美さん。二人は同映画祭のボランティアを通じて、知り合った。

──お付き合いしてどれくらいなんですか?

永竹未奈さん(以下、ミナ):今年の9月で4年です。付き合いだして1ヶ月と経たないうちに、私が彼女の家に転がり込んで、そのままずっと一緒に住んでいる感じです(笑)。最初の2年はもう一組のレズビアンカップルと4人で同居。2人で暮らし始めたのは、その後からですね。

──結婚を考えたことはありますか?

妹尾亜留美さん(以下、アルミ):ミナと一緒の空間にいて、生活できることはすごく幸せなことです。でも、はたして、「一緒にいるから結婚しよう」というのが答えではないところもあって。結婚に特にこだわっていなかったのですが、周りの同性カップルが結婚式を挙げたと聞くと、法として認められないけど、自分たちの区切りとしてやったほうがいいのかなと思い、「式だけでもしてみよっか?」と、パートナーシップの条例が出る前に、話したことがあります。

──ということは、かなり最近のお話ですよね?

ミナ:はい。どうせやるなら、二人にとって、意味のあることをやりたいなと。二人の10年の記念の年に、パーティを開けたらいいねという話になりました。出会ったのが2011年だから、6年後の2021年ですね。私たちが一緒に過ごしてきた場所だったり、シェアしてきたことを周りの人たちとシェアできたらいいなと。でも、なにせまだ先なので(笑)。

アルミ:でも今回、法的に有効になるような条例が出されて、今までとは少し考え方が変わるかなとは思いました。病気になるとか、どちらかが先に他界するとか、将来的なことを考えると、法的な効力があるに越したことはないですから。でも実際、パートナーシップ制度でさえ、時間もお金もかかる手続きがたくさんあって、かなり大変だと聞いています。

ミナ:今ある結婚制度の中で、同性婚ができるようになっても、あまり嬉しいとは思わない人たちが多いことも事実ですね。

──ご家族の方には、ご自身のセクシャリティを伝えていますか?

ミナ:私は5人兄弟の末っ子なんですが、19歳の時に母と兄にカミングアウトして否定的なことを言われてからは話をしていません。姉には理解をして応援してもらっていますが、それ以外の家族にはもう一度話をして理解をしてもらおうという気力はまだないですね。ただ、彼らがひどいことを言ってくれた反動で今の私のLGBTの活動につながっていることは間違いないので、その意味では感謝しています。

アルミ:仲がわるいわけではないのですが、元々、家族にあまり自分の話をするタイプではなかったので、ミナと一緒にいると決めた時に初めて、両親には伝えました。一人娘ですし、女としてこうあって欲しいという理想像があったのだと思います。母は涙していました。

──お父さまはどうでしたか?

アルミ:「アルミみたいな人は、この国にどれくらいいるのかな?」とかなり冷静に受け止めてくれたようでした。でも、電話で話しても、ミナのことには触れないし、「もしかして、親子のあいだに河が流れてますか?」という感じで。どうやって、もう一回アプローチしようかなと考えていました。

──逆に、カミングアウトしたことが新たなスタートになった?

アルミ:そうですね。時を同じくして、渋谷区の同性カップル証明書条例のニュースがありました。
父も母もニュースは聞いているはずなのに、何にも言ってこなかったので、まだ心に詰まりがあるのかなと思って。そんな矢先、LGBTの特集番組に出ることになりました。実名でテレビに出るんだし、知らせておこうと思って、電話しました。

1時間くらい話をする中で、母に伝えたんですね。これからも親との関係を大切にしていきたい、もし東京に来ることがあれば、ミナと暮らす家にも泊まって欲しい…等など、自分の思っていることを。以前より、距離が縮まった感じがしました。カミングアウトしたら終わりではなく、ひとつずつ、構築するこれからの時間が必要なんだと身を持って分かりました。

ミナ:アルちゃんのお母さんは野菜を送ってくれるんですよ。

──野菜ですか!?

アルミ:両親は、数年前に生まれ故郷に移り住み、そこから土を触り始めて、野菜やなんかを自家栽培していまして。育てたものを段ボール箱につめて、定期的に送ってきてくれるんです。

ミナ:それを私が料理して、彼女がLINEで画像と一緒に送るんです。「こんなのできましたよ!」って。

アルミ:そしたら喜んで、また送ってくれるんです。そんなやりとりが始まったある日、野菜と一緒に「ミナちゃんによろしくね」と書かれた一筆箋が入っていました。ああ、良かったな、第一関門は突破できたかなと。二人で旅行に行った時の写真を送るなど、コミュニケーションは増えました。とはいえ、付き合っていることを親に伝えてから、顔は合わせていないので…

ミナ:今年の年末に行こうかねって、話しています。

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