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2015.10.03

vol.7 TOKYO COST PERFORMANCE
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筆者である私の軽い一言ことで始まった今回の自宅リノーベション。コンセプトはとにかくお金をかけない、使えるものは手を加えてそのまま使うということ。そして予算は、6畳間の和室ふた部屋とキッチン、トイレ、洗面所で締めて20万円!果たしてこの値段で完成に漕ぎ着けることができるのか!?
それでは始めに、今回のリノベーション企画に関わったメンバーを紹介したいと思う。まずはこの話を一番に相談し、今回のメイン職人を担ってくれた現在造園業の “T”。このT氏は、40歳にして職人歴27年という、義務教育中から現場仕事をこなしている強者、そして仕事に関してはかなりの厳しさを持つ。続いて某人気リノベーション番組への出演経験のある水道設備担当の “H”。床の張替えを担当する大工であり、2級建築士の “K”。細かい作業から大掛かりな工事まで担当する電気屋の “S”。現在はトラック運転手の元内装業の “Y” が壁紙の張替え担当と、この5名が主軸メンバー。

そして、その主軸メンバーを支えるサブメンバー陣 (主にペンキ塗りを担当)は、某大手ゲーム会社で某人気ゲームのディレクターを務める人一倍手先が器用な “I”。不動産会社の3代目として手腕をふるうマルチプレイヤーの “N”。某運送会社で働く応援団長の “M”。この彼は工事終了後に予想だにしない活躍見せてくれるので乞うご期待。そして最後に、こういった建設業的な作業は決して得意ではないくせに現場監督的役割の私、の幼馴染で構成された計9名。予算もないのに無駄に人員が多くなってしまったこの現場。人工(にんく)だけで考えたら三日で予算をオーバーしてしまうだろう (笑)。そして、ご推測の通り “M”と私は、この現場で一番役に立たなそうなのは明確である (笑)。

リノベーション企画始動


各々本職の仕事があるため、工事の進行は手が空いている人が順番で週末を中心に進んで行く。長い戦いになりそうな予感。。。

さて、初日はメイン職人の “T” と、普段とは違う大工職人の出で立ちで現れた床張替え担当の “K” が登場。見るからにいい仕事をしてくれそうだ。この日は、玄関からキッチンの床をフローリングに1日で仕上げるのが目標。まず驚かされたのが、“K” が持ち込んでくれたフローリングの質の良さ!普通に業者に頼んだら軽く予算の半分を越してしまうだろう代物。まずは1回目の感謝。

朝8時と同時に早速作業に取り掛かる。手際よく床をはがしていき、昼前には下地となるコンパネの張替えまで進んでいた。さすが。その間の私の仕事はというと、二人の邪魔にならぬよう、ひたすら出たゴミを片付けていくというもっとも重要な役割を任された (笑)。
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午後は、本題のフロリーング張りのスタート。ここは大工である “K” の出番、一人で淡々と作業を進めていく。その間 “T” は、和室の仕切りに当たる「欄間」の解体に取り掛かる。手際よく進めていく二人を横目に、ひたすらゴミを片付け続ける私。3時の一服を終える頃には、フロリーングも8割完成している。やはり職人さんは頼りになると実感すると同時に、自分の不甲斐なさも浮き彫りに。。そんなこんなで、何の問題もなく初日を完璧に終了させた二人。本日2回目の感謝。

その感謝のしるしに作業終了後に打ち上げに出発。そこでふと思ったのが、今後この打ち上げが結構洒落にならんことになるかもと。
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作業工程 その2


次に取り掛かるのは壁周り。キッチンと和室の壁を白の漆喰でひたすら塗りあげていく作業を “T” をメインに私と二人で進め、それと同時進行で襖の張替えをトラック運転手で元内装業の “Y”が、そして天井や柱等のペンキ塗りをサブメンバーが一気に進めていく。和室の壁に関しては、“T” が追っかけ漆喰を塗りやすいように、砂壁をヘラで剥いでいくのだが、何せ砂なので、細かい砂塵が容赦なく作業している人間を襲うのだ。全身砂塵まみれで、咳が止まらない中、気合いで進めるしかない。中々の苦戦であった。ここが片付けば、このリノベーションの7割は終了したも同じ。

多い日にはこの狭い現場に7人も集まってしまうこともありながら、週末を2回またぎ計4日でほとんどのペンキと漆喰塗りの工程を終わらせた。しかし、マンパワーとは良く言ったもので、やはり人が多ければ多いほど、恐ろしいスピードで壁が仕上がっていくのであった。

ただ、大変だったのは “Y”。壁紙だけは素人が手を出すより、経験者がやった方がスピードはもとより、仕上がりが段違いに違う。彼一人で裏表合わせ計16面の襖と、トイレ&バスルームの壁紙の張り替えを日数にして6日間で仕上げた。ここで、省略はさせてもらっているが8回目の感謝 。
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作業工程 その3


残すは電気関係と、和室の床。電気も専門職でないとちょっと怖いので、 電気屋の “S”が一人で請け負う。皆の作業が終わった平日の夜に現れ、やたらと多いコンセントの交換や、壁に新たな照明の取り付けなど、夜な夜な進めていってくれた。途中、直接USBが差し込めるコンセントの提案など、ちょっと嬉しい気持ちにさせてくれる楽しみを織り交ぜながら、結果最後まで現場にいたのも彼であった。

さてさて、問題は和室の床をどうするか。はじめは、キッチンと同じフローリングを貼るつもりでいたが、元が和室であったので、そこは畳でいくことに決定。やはり、どこでもゴロゴロできる畳は日本人の私にとっては魅力である。次に何色の畳を入れるか悩み調べ始めると、予想以上に様々な色の畳があることに驚いた。壁と同色の白にするか、それとも渋目の藍にするか、どの色にも相性がよい薄いグレーにするかとかなり悩んだ挙句、汚れも目立たず落ちついた部屋の雰囲気になる焦げ茶に決定!

早速、畳屋にオーダーすると1日あれば納品できると嬉しい返答が!その返答通り、引き取りに来た翌日の午前中にはきっちりと納めてくれた。ちなみにこの畳屋さんも地元つながりの後輩君なのだ。まったくよくできた後輩である。やはり畳が入ると一気に部屋らしくなり、部屋を一人眺めながら、予想以上のはまり具合に思わずにやけてしまった (笑)。
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あとは、最後の照明器具を付けてもらい、期間にして約2ヶ月半(実働日数 16日程)かけリノベーションが完成したのである。が、ここで終わりと思いきや前述したように、ここからが応援団長 “M” の怒涛の活躍が。まずは、驚くほどの格安で会社のエアコンクリーニングを提供してくれた!しかも、そのクリーニング当日に彼の後輩が「このテーブル持ってけと言われてました」と、部屋の雰囲気にぴったりで、しかもかなり作りも使い勝手もいいテーブルをサプライズプレゼントとして持ってきてくれたのだ!ちなみに、現在使っているソファーも 昨年 “M” からの提供。他にも、不動産会社の3代目 “N” から映画 (*1)「WILD STYLE」のワンシーンを切り取った写真をもらったりと、まさに「持つべきものは友」という言葉が身に沁みた今回のリノベーション。「感謝」も途中まではカウントしていたが、もはやカウントしきれないのでやめておくが、あえて今回のリノベーションに現場名を付けるなら、その「感謝の城」であるのは間違いない。ちなみに水道設備の “H” は、今もキッチン周りのちょっとした直しを、暇を見つけては仕上げてくれている (笑)。
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肝心の予算はというと、リノベーションだけで考えたら、ほぼきっちり20万円で達成!かなりのコストパーフォーマンスの良さを立証できた。しかし、懸念材料であった毎回の打ち上げに掛かった合計金額は約15万だったとさ (笑)。

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(Text&Pics: Tatsuya Nakamura – R.G.C)

(*1)「WILD STYLE」
1982年、チャーリー・エーハーン監督/脚本で製作。 ヒップホップカルチャー創世期 の若者達のこの文化に対する情熱を描いた元祖ヒップホップムービー。今回いただいた写真にもびっくりするほどの値段が付いているほどの伝説的な映画。
http://wildstylethemovie.com/

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