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2016.01.19

vol.8 TOKYO TASTY
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「ボートレース、一緒に行こうよ。楽しいよ!」1年ほど前から、江戸川区在住のある夫婦(以下、ボートレース夫婦)から、その魅力について、教えてもらう機会が何度もあったのだが、“ボートレース=世のオジサマがどっぷりハマる危険なギャンブル”のイメージが先行して、正直、あまり乗り気ではなく、時は流れた。

しかし、思い返せば、オジサマたちと出掛けたスナックやキャバクラでの夜を、ここぞとばかりに楽しんでいたのは、他ならぬ女性客の筆者だったし、車や時計やスーツなど、彼らが熱を上げるアイテムに傾倒してきた今、それらについて専門的に執筆させていただいたりもしている。オジサマ文化から、大いに影響を受けてきた身であるのに、ボートレースだけ別枠というのも、おかしな話だ。

今回の特集は、「TASTY TOKYO」。知っているつもりで知らなかった東京の魅力を調査し、増える一途を辿る外国人観光客に伝えられるくらい、とことん味わい尽くすことがミッション。まだ見ぬボートレースの世界に、希望の光を感じた折、奇遇にも、日本大好き、フィリピン人の友人・ミゲルくんの来日が重なった。ボートレース夫婦と連れ立って、ミゲルくんと共に、初のボートレース観戦に行ってみた。

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バスは無料、入場料は100円。競艇場のアートも見どころ



晴天の週末。新宿線船堀駅で待ち合わせた一行は、『BOAT RACE江戸川(江戸川競艇場)』に向かった。南口のバス停から約10分おきに、無料バスが運行している。「どうして、タダなんですか?」と流暢な日本語で、不思議顔のミゲルくん。「分からないんだけど、タダなんだよね。いいでしょ?」と答えになっていない答えを返すボートレース夫婦・嫁。

バスの乗客は、想像した通り、9割以上が、筋金入り風のオジサマたち。15分ほどで着くと、入口前の一角には、ざっと50~60人のオジサマたちがたむろしていた。手には、競艇新聞か缶ビール、はたまたシガレット。ボートレース夫婦・嫁いわく、「あの人たちは、入場料の100円を払うのも、もったいないみたいで、ああやって、ずっと外で予想してるんだよ」。これまで何度も来日しているが、きっと、見たことのないアウトローな光景に、カルチャーショックを受けたのではないだろうか。ミゲルくんは、ポカンとしていた。感動?それとも、哀しみ?場内2階に上がると、昭和映画の看板タッチで描かれた江戸川競艇の看板と、さらに倍増したオジサマの人だかりが待ち受けていた。

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オジサマ×富士山×マリリン・モンロー!?


この日は、第15回 日本写真判定社長杯の初日。オジサマたちが釘付けのスクリーンには、本レース前に行われる展示航走の様子が映し出されていた。その眼差しの真剣なこと。異様な緊迫感に、筆者の心もざわついてきた。船券売り場に行くと、これまたびっくり。マリリン・モンローの「帰らざる河」やスティーブ・マックイーンの「大脱走」など、歴史に残る名画の大看板が、ずらーっと並んでいるのだ。振り返ると、そこには、銭湯のペンキ画風の富士山の看板。「なぜ、ここに、こんなものが?」と疑問に思うも、答えてくれそうな人が見当たらないので、鑑賞。どれも見ごたえのある緻密なタッチで描かれていて、ミスマッチな空間に不思議とマッチしていた。

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「ボートレースのルール?簡単やで。6艇のモーターボートが、一周600メートルの周回コースを左回りに3周してゴールを競うんよ。その着順の1~3位を予想して、船券を買うだけ!」と、ボートレース夫婦・夫。保冷バッグに持参したJINROのボトルからマイグラスに酒を注ぎつつ、教えてくれた。「選ぶ数字は3つでしょ?私は、いつも、自分の好きな数字を適当に組み合わせてるけど、これが、けっこう当たるんだよね。難しく考えずに、とりあえず、一回やってみたら?」と、嫁。
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