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2016.02.12

vol.9 TOKYO NUDE
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40男たちが抱くTOKYOの“違和感”


今40代半ば以上の男たちは、こうした移り変わり=TOKYOというリアルでスタイリッシュで独特だった街文化がゆっくりと廃れていこうとするのを肌で感じながら、人知れず年齢を重ねてきたと言える。TOKYOはもう多くの人々を魅了しなくなってしまったのだろうか? 「ネット空間」に取って代わられ、もう何かが生まれる場所ではなくなったのか?

  冒頭の男たちは言葉を続ける。

「TOKYOのヴィジュアルイメージを形成してたのって、間違いなく10代後半とか20代前半だったでしょ?  でもその若者人口の減少に歯止めがかからず、とっくの昔に主流から退くべき今のアラフォーやアラフィフ、特に女性が未だに舵を取っている気がするんですよね。マーケットとしても団塊ジュニア前後(30代半ば〜40代半ば)って人口が多いし、マスコミや代理店による“女子に対する媚び”が俺たち男にも完全に見えちゃってる(笑)。だからつまんないのかも」(45歳会社員/港区出身/東京在住歴40年)

「今のTOKYOは“消費”がゴールになってるんですよ。本来なら消費の先にムーヴメントがあったから、80~90年代って街へ出れば面白いことが見られたり体験できたんだと思う。ワールドカップやハロウィンで集団化して街で騒ぐ光景ってあるじゃないですか? あれは自主性っていうより、単にマーケティングに都合よく踊らされてるとしか見えないんですよ。すべては消費させるためにコントロールされた茶番っていうのかな」(47歳経営者/中央区出身/東京在住歴47年)

「毎年のように新しいスポットや商業施設が誕生しますけど、資本投入できる店しか入れないからテナントがどこもたいして変わらない(笑)。TV局や広告代理店が強引に売り出す集団アイドルや芸能人、連ドラ系映画と同じ臭いがしますね。緑や自然も管理化された人工スポットばかりで。都心の利便性を外に広げただけの郊外や地方都市の表情と何も変わらない。TOKYOっていつもどこかで大規模な解体や建設工事やってるくせに」(45歳会社員/渋谷区出身/郊外在住歴5年)

TOKYOは「高齢化」や「格差化」といった問題からも逃れることはできない。老けていくだけのTOKYOは、ハイパーな都市開発を繰り返すことによって(美魔女のように)何とか“見た目”だけでも若返ろうとしているようにも見える。今のままでは消費力のある者(上の世代や富を持つ者)だけが出入りする場所にいつかは陥ってしまう。TOKYOを知り尽くした男たちは、すでにそのことに気づいて嫌気がさし始めている。

最後に男の一人が言った。

「若い人たち、特に男性の皆さんにはもっともっと街へ飛び出して、自分たちだけの遊びや恋愛を前面に打ち出して“主役”として楽しんでほしいですね。上の世代が必然的に居場所をなくしてしまうくらいに。僕らも90年代半ばに渋谷の女子高生が街を楽しそうに闊歩している姿を見て、潮時だと思って退散しましたから。そうすれば絶対に空気が変わる気がするんです」

誰が東京を再び面白くするのか


TOKYOは常に弱者を見つけようとする過酷な都市空間という性格も併せ持つ。夜になると歪んだ正義や悪知恵が蔓延る街でもある。金さえあれば何でも許される風潮やセレブなムードを醸し出す虚飾はバブルの頃とは異質なものだ。

でも彼の言うようにそんなものごときにビビらずにもっと堂々と若さを楽しむべきだろう。TOKYOには昔から、マスコミの後追い情報や大人たちの金儲けに屈しない若い世代が「自分たちの手で何かをやろう!」と動いてきたからこそ面白くなってきた土壌がある。惑わされない強い心、信念を持つことで、このTOKYOではそれはいつでもすぐに実現できるからだ。

(Text: Tokyo Psycho)

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