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2016.03.07

vol.9 TOKYO NUDE
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アウトドアが身近に


アウトドアファッションが定着し、スニーカーやナイロンジャケット、リュックサックで通勤、というスタイルも男女共に違和感がなくなってきた。バンド活動をしており山奥の野外フェスに出演する機会が多い筆者の相方も年中BERGHAUSの防水ジャケットにMERELLのマウンテンブーツという出立ちで、最初は「街の中歩くのになんで登山靴なの?」と疑問に思っていたが、それは後から“アーバンアウトドア”というおしゃれの一種なんだなと理解した。(本人は本当に普段着がアウトドアスタイルなんだろうけど)

公園で社交パーティーする大人たち


ところで、近ごろやたら“大人ピクニック(=外で飲む)”、“外コンパ”している人多くないか?近所に林試の森公園というよい森林浴スポットがあるのだが、ある休日の昼にそこで異様な光景を目撃した。30代半ば〜40代と思われる男女が、芝生の上にテーブルを置き、ワインやシャンパン、チーズやピンチョスなどのつまみを豪華そうに並べ、その周りで太陽の下顔を真っ赤にして談笑していた。どうやら野外コンパのようだ。私は子供をベビーカーに乗せて散歩していたのだが、その場違いな姿のグループに釘付けになり、そこそこ本気モードなお見合いパーティー的雰囲気に興味をそそられて彼らの前を何度も往復もしてしまった。(子供がいなければ突入していたかも(笑)。)
この野外コンパだが、世の中的に流行しているそうだ。確かにあちこちの公園や河原でピクニックやバーベキューを楽しむ女子会や、グループ交際が目につく。この現象について編集長Y(♂)は「健康的といえば健康的だけれど、どうもグループ交際の域を出ないんじゃないか。これが夜遊びをしなくなった遠因かも。(=もっと夜に遊ばなきゃ!)」と言う。うーむ。個人的にはピクニックコンパは楽しそうに見えるのだが、やはり男女の関係になるには明るすぎるのだろうか。

トレーラーハウスで合コン


そういえば筆者も野外コンパならぬキャンプ合コンの経験がある。大学を卒業して間もなく某出版社に勤務していた頃、同僚の女の子たちと、他の出版社の男性たちと山中湖にキャンプに行った。泊まったのはトレーラーハウスで、人数は確か男性4名に女性3名。それぞれの自宅付近で幹事の男性の車に拾ってもらい、途中で皆で買い出しをし、山中湖の畔でバーベキューした後トレーラーハウスで朝まで飲む、という普通のキャンプの流れだが、違うのは一緒にいる男性たちがその日会ったばかりの人たちということ。当時22歳に過ぎなかった私たちは社会慣れした男性たちから至れり尽くせりで、同じ業界の先輩ということもあり、仕事の話にも興味があったのでそれなりに 楽しかった。しかし朝までみんなで飲みながらトランプをし、ひとたび夜が明けると酔いが冷めるのと平行して気持ちも我らが都、東京に移っていき、翌日はそそくさと車に乗り込み、夕方から都内で飲み直すことになった。誰もが東京に住んでおり、渋谷の居酒屋で改めて乾杯したときには、何故かみんな精気と安堵に満ちたような顔をしていたのを覚えている。

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東京の出会いは夜にある!?


東京というのは様々なエネルギーが集まっている場所だと思う。日本各地から、世界から、何か(仕事、出会い、学び、娯楽.etc..)を求めてやってきた人々がほんのわずかな土地の中でぎゅうぎゅうに肩をぶつけ合いながら生活している。日中はほとんどの人が仕事や学校などに拘束され張りつめた空気を感じるが、夜になるにつれて人々は開放的になり、怪しさを増す。そう、夜の東京はこの怪しさを伴った人々によって形成されており、色づけられている。そこではわくわくするような面白いことが起こったり、刺激的な出会いがある(もちろん怖いこともある…)。ナチュラル、オーガニックな時代の空気がなせるピクニック文化だが、せっかく東京に住んでいるのなら、やはり夜の探検に出ることをおすすめしたい。別にひとりでも構わない。楽しくないかもしれないし、人生を変えるような、運命的な出会いがあるかもしれない。このポテンシャルの高さは他でもない、東京という場所が誇れる産物なのだ。 バブル崩壊を経て、若干弱くなりつつあるものの、まだまだ怪しさを纏った東京の夜。ナビゲーターをお求めならTOKYOWISE編集部へどうぞ。

(Text:Nao Asakura)
(Illustration:イケダコウスケ)

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