The ABC\

2016.07.11

The ABC\’s of International Marriage
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フィンランドに里帰り、でもドイツ語に囲まれる

東京には北欧女子もチラホラいて、フィンランドへ行ったこともあるらしい。けれど、私は完全ノーマークだった。夫が日本語を話し、日本で住んでいるので、フィンランド語を一言も知らないうちに結婚した。何せ、ありがとう=Kiitos(キートス)、お母さん=äiti (アイティ)、おとうさん=isä (イサ)といった具合に、英語からもかけ離れており一言も知っている単語が無かったフィンランド語。それでも、初めてフィンランドへ行く際には、ガイドブックやテキストに目を通し、何とか慣れようと努力した。

が、しかし、実際にお姉さんの家に行ってみると、なんとフィンランドなのにこの人達ドイツ語話してる!ええ、もう手に負えません。まあ、全く知らない言語の中に放り込まれるという経験も貴重とさえ思えてきた。みんなが会話しているのを表情などから想像するけれど、後で夫に尋ねると全く違うことを話してて、衝撃が走る。そして、そんな経験をした後の帰りの飛行機で英語の映画を観ると字幕が無くても、ああ何となくわかる~!となったのには更にビックリ。フィンランドの人は大抵英語とフィンランド語は勿論のこと、スウェーデン語も地域によっては母国語になる場合もあり習得している人が多い。夫はドイツ人とのハーフなので、更にドイツ語に加え、現状日本語もほぼマスターしているので、5カ国語を操るわけで。日本人の私は英語習得もヒィヒィなのに、この違いは一体なんだろう?逆に、多言語習得というのはそんなに不可能なことではないような気にさえなってくる。これが、国際結婚により起こった、発想の転換。

誕生日、クリスマス、イースターに最も力が入る夫

日本人も行事が好きだけれど、ハロウィーンも仮装イベントで、クリスマスも恋人の為のイベントとなっている。キリスト教に基づくイベントはヨーロッパでは、やはり歴史と前提が違い、日本におけるイベント的要素とは異なる発見があった。

誕生日の朝にはサプライズでケーキを出したいらしいし、クリスマスは家族で過ごす日本のお正月のようなものらしい。中でも、イースターというイベントが一番力を入れると言い出して、驚いた。確かにちょっと名前は聞いたことあるけれど、キリストの復活祭と言われても、キリスト教じゃないからなーと思いがちな、イースター。卵料理を用意して、子供達は隠された卵を探すエッグハントゲームを行うというもの。日本ではハロウィーンの次に盛り上がるとしたら、イースターかと思う今日この頃。

また昨年ブラジルに居た際、最も盛り上がるイベントは、母の日と父の日。平日の朝9時から30分の短いイベントがあるのだけれど、行ってみてビックリ!なんと平日なのに、パパがギッシリ。仕事へ行くのを遅らせているのか、スーツ姿が目立つ。ステージの幕が開いて、一気に観客がステージへ圧縮される。愛するうちの子を見つけては、パシャパシャカメラのシャッターの連写。そしてパパへの感謝と愛の歌が始まり、大きな体をしたブラジレーロが泣いている!その笑っちゃうくらい大袈裟なコントみたいなことを、ここブラジルでは真剣にやっているのだ。次第にその本気に心打たれ、私はブラジル的家族愛の大切さを再認識し、日本では商業色が強いこのイベントももっと力を入れたいと思い始めた。

朝ごはん事件

朝、夫が猛烈に不機嫌そうにしている。そんなことって今まで一度も無いのに!理由を聞いてみると、朝ごはんはみんなで揃って食べるべきだという強い信念があるらしい。いや、まあ理想はそうかもしれんが、私は妊娠していてつわりが酷く夜中も何度も起きてベイビーの夜泣きにも対応しているわけで、朝起きられないこともあるのですよ、、、と説明しても、あまり分かってくれない。更に夜帰宅が遅いから18時とかにベイビーと一緒に夕食を済ませてしまうのもイマイチ納得出来ないらしい。私はお腹が減ると途端に気持ち悪くなるので、何か食べたいけれど、お菓子よりはガッツリ食事を食べたいから、間に合わない時はささっと済ますことも偶にあった。よくよく聞いてみると、彼はお腹が減ったからご飯を食べるのではないと言う。みんなで食事をするという喜びの為の食事らしい。

確かに、欧米人は日本人がテレビを観ながら食事をする風景に驚きと怒りを露わにする。「食事の時間、テレビは消すべきでしょう!」と。日本人はずっとテレビをつけっぱなしにしているのが日常だから、そこまで怒らなくても!とも思うけれど、ここに食事という行為の価値観の違いが浮き彫りになっている。理想はそうだけれど、なし崩し的にずるずるしちゃうこういうことも、夫の主導により、我が家の食卓はテレビをつけず(そもそもテレビが無いのだけれど)、会話を楽しむ理想に近づきつつある。当たり前と思っていることも、こういうことで少し健全化される国際結婚は悪くない。

(Text & Illustration: Lumico Harmony[ルミコ・ハーモニー])


Lumico Harmony (ルミコ・ハーモニー)
フィンランド人との結婚を機に、人生を見つめ直し、活動の幅を広げる。アート活動、イラストレーター、ライター、ワークショップアートディレクター、北欧コンサルティング、親子国際交流NPO「ザ・グローバル・ファミリーズ」副理事長も務める。3児の母。
http://lumicoharmony.weebly.com/
https://facebook.com/lumico.harmony

団体「ザ・グローバル・ファミリーズ」では、親子で国際交流出来る機会を提供しています。ローカルファミリー登録募集中です!
http://www.theglobalfamilies.com/japanese.html
4/27開催のJAPAN FAMILY FESTIVALのメインビジュアルも描いています。
http://www.japanfamilyfestival.jp/topics/2016/03/japan-family-festival-vol3.html

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