TOKYO REAL BEAUTY

2020.07.23

beauty

ビューティから読み解く、新しい価値を作る時代へ


コロナウイルスの第二波、第三波の心配はあるものの、新しい生活を歩み始めた私たち。この数ヶ月の間でいろいろな変化を受け入れるようになった。リモートワークに始まり、時差出勤、キャッシュレス決済、デリバリーの有効活用、zoom飲み会まで多くの人が新しいコト・モノを受け入れ、上手に活用する術を身につけた。今までの価値観を大きく見直すことになった事はまぎれもない事実。

経済もしかり。美容業界でいれば、外国人観光客の減少でインバウンドの売り上げがほぼゼロに。さらに、マスクで顔を隠すため春夏メイクアイテムの売り上げが激減し、その代わり高級スキンケアが売れているという。
未だかつて経験したことのない出来事に「先の見通しが全く立たない」という声を多く聞く。

でも、その一方でこの状況を「チャンス」と捉える人もいて、今までにない発想と仕組みを「あーでもない」「こーでもない」と一緒に考えたりもしている。この人たちと話をしていると、皆、気持ちがとても前向きで柔軟。今までの常識にとらわれず、チャレンジ精神旺盛でフットワークが軽い。こういう時は時代が味方して大きな山が動くことが多い。そんな矢先、まさに驚きと感動をもたらしたユニークなアイテムとの出会いがあった。


上半期イチ押し……いや、もしかしたら年に一度、あるかないかの「名品」? 今までの価値観をいとも簡単に変えてしまったアイテム。「Bé-A(ベア)」の超吸収型生理ショーツだ。
話を聞くまでは「まさか、そんなわけがない」と斜に構えていたのだが、いざ話を聞き、実際に使用してみると、その使い心地の良さ・機能の高さ……何より、生理期間中のストレスが一気に解消されたことに驚いた。

うたい文句は「生理の日もナプキンが要らない、超吸収型生理ショーツ」。
生理になれば生理用品は欠かせないわけで、ナプキン・タンポンの他、最近ではオーガニックナプキンや月経カップなども登場している。特に日本のメーカーは生理用品の研究・技術においては世界に誇る技術を持っているといわれていて、その証拠に海外に住む日本人の友人は「日本製のナプキンは世界一のクオリティー。海外に住んでいてもこれだけは日本製のものを使っている」と聞いたことがある。
でも、だからと言って生理中のストレスがゼロになるわけではない。ズレや漏れ、においの心配、衛生面の問題も気になる。ストレス度合いでいえば、こっちの悩みの方が圧倒的に多いかもしれない。

これらの悩みに応え、形にしたのが「Bé-A」の商品。共同代表の一人である高橋くみさんはL.A.に住み、このショーツの生みの親である。「アメリカやイギリスで販売されている生理ショーツよりももっと良いモノが作れるのではないか?」とあえて日本製にこだわった。
コネもツテもなく、片っ端から電話やメールをして日本のメーカーさんに連絡するが、電話口で断られることがほとんど……。「商品の話すらできない状態」で本当に苦労したと言う。そんな中、九州にあるベビー用肌着からシニア向け尿もれ下着を製造しているメーカーが協力を申し出てくれた。聞くと、日本の“尿漏れショーツ”の製造技術は世界一とも称されるほど、巧な技術を持っているとか。



一切の妥協はしない、それを物語っているのはショーツの「吸収量」。
ナプキンを取り替えないとなると吸収量の高さは必要不可欠で、生理が多い2日目の経血量は約30〜50ミリリットル。それをはるかに超える吸収量でなければ商品として安心できない。試作の改良を繰り返し……気づけば2年半という月日を費やしてようやく完成にこぎつけた。

5層のテクノロジー構造で120ミリリットルの液体をしっかり吸い込み、しかも47センチのロング仕様。撥水加工処理をしているため、万が一の“漏れ”にも対応。さらに、生理中のにおいや「体を冷やさない温もり」を備えた点など、“女性ならではのこだわり”が随所に見える。
ほどよくフィットするボクサータイプのショーツは、生理だということを忘れてしまうくらい穿き心地が良い。洗濯もすごく簡単で、手洗い後に他のお洋服と一緒に洗濯機に入れるだけ。これが本当に便利なのだ。

実は1ヶ月ほど前に、あるウェブマガジンで書いた記事が大手のポータルサイトにも転載されたのだが、そこにあるコメントが散々たるものだった。
「1日中穿いているなんて不潔」「蒸れが心配」「本当に漏れないの?」など使用感に関する批判的なコメントが多かった。個人的な感想を述べているので、もちろんいろいろな意見があっていいと思うが、このコメントを読みながら「ゼロイチ」の難しさを感じた。

思い起こせば美容業界の歴史もこの繰り返し。今ではアジアの美容の常識とされている、日本生まれのブースター美容液もそうだろう。「化粧水の前に美容液ってどういうこと?」と発売当初は批判の嵐だったというのは有名な話。
最近では「マルチコスメ」の登場も記憶に新しい。アイシャドウ・チーク・リップなど、どのパーツにも使える発想は斬新で、世の女性たちをあっと驚かせた。発売した当時は「目と口が同じテクスチャーでいいわけ?」「これはメイクじゃない」という意見も少なくなく、批判にさらされた。
また、肌悩みをカバーしながらツヤを出す、相反した機能を一緒に叶えるクッションファンデーションの登場もそう。「そんなわけがない」「スポンジやファンデの衛生面が心配」などという声が多く、業界関係者の中では”様子見”のアイテムだったのだ。

でも、今はどうだろう? 技術の進化やメーカーの努力もあり、立派に「市民権」を得ている。マルチコスメやクッションファンデの登場は“今までの価値感”、さらには“メイクの概念”までも変えてしまうほどのパンチがあったのだ。
生理ショーツを作った2人も「今、私たちができることとして、未来に繋げる何かを形にしたかった」という想いがあった。その信念を曲げず、時代や女性のニーズに合わせて何とか完成させたのだ。

6月1日からクラウドファンディングプロジェクト「CAMPFIRE」で先行予約発売を募っていて、つい先日終了したのだが、1億円を超える反響にスタッフたちも驚いているという。
批判的なコメントの一方で、2人の元には「1日中立ち仕事でトイレへ行く時間もないから嬉しい」「障がいを抱える子どもに使わせたい」など、たくさんの声が届いているのも事実。その話を聞いた時、何だか胸が熱くなった。

自分の可能性を、女性の願いをこれからも形にする、そんなブランドや会社が今度もたくさん増え続けてくれることを願ってやまない。
「望めば変わる。人生も、世界も。」彼女たちが口ずさむこの言葉通り、当たり前だった価値観もどんどん変化する時代になっているのだから。

ベア シグネチャーショーツ ¥6,900(税別)/Be-A
www.withbe-a.com

(Text:長谷川真弓

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