TOKYO REAL BEAUTY

2019.09.16

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令和のビューティ、どう読み解く?


暑い夏も終わり、そろそろのんびりしたい……と思っていたが、美容業界は春と秋の企画の仕込みでこの時期が1番忙しく、原稿の締め切りが立て続けに待っているのだ。撮影に取材、原稿執筆とフル稼動、風邪はもちろん、バテてなんかいられない。
そのビューティ企画の仕込みだが、この秋はポイントメイクが断ゼンおもしろい。各ブランドが提案するカラーとメイクテクニックがピタリと一致しているし、それがものすごく時代の空気とも合っている。

このトレンド……どーやって作られているの?と感じている人もいるだろう。何もビューティ業界に特化したことではないのだが、どんなモノ・コトにも“トレンドを仕掛ける人”がいて、色や素材の開発から「今年の秋は○○メイクがおしゃれ」的なメイクテク、はたまた「トレンドセミナー」なんていうモノを開催していたりする。



モノ作りをする人にとっては“売れる商品”を作りたいから、これらの情報は「無視できない」という。自分たちが作ろうとしている商品はヒットするのか、トレンドに合致しているかと、まるで答え合わせをするかのように。
だが、それに頼りすぎるのも危険。「そんなわけないでしょう」「で、だから?」と突っ込みを入れたくなるくらい的ハズレの内容で残念な気持ちになることも。「これに頼りきっていると大コケする」とセミナー会場で居合わせたメーカーの開発者も言っていたっけ。

ここ数年、トレンドの捉え方が変わってきているように思う。「そもそもトレンドってどーなの?」という声が大きくなっている傾向にあるのだ。「みんながみんな似合うわけじゃない」「トレンドを研究したり、追っかける時間もない」など、ガチで”追っかけない人”たちが増えている。
それを支持するかのように、トレンドに左右されず「自分の好きなモノ」をSNSで発信する人が増え、その世界観を好み、共感するという新しい価値観が生まれている。ある経済ジャーリストがモノの消費について、「流行りモノよりも、広く・長く好まれるモノを選ぶ時代へ変わりつつある」と言っていた。



ビューティにおいてはこの意見、実は「アリ」で、私の知り合いに「アイメイクはブラウンのシャドウしか使わない」という人がいる。彼女は職業柄、清潔感のあるメイクを心掛けているのだが、今までいろいろな色を試し、結果、ブラウンが一番自分に似合う色であることに気づいたそうだ。
そうなると美容誌などで提案しているカラーアイライナーなどは、彼女にとっては無縁なのかもしれない。

でも、だからといってトレンドを追っかけていないかというと、答えは「NO」。ブラウンといっても濃淡、パールの量など、毎シーズン新しいブラウンが提案される。ブラウンだけでもカラーが絶妙に異なる。テクスチャーがパウダーからリキッドに変わっただけで、仕上がりは全く異なるし、見た目の印象もガラリと変わるのだ。



「メイクって自分の顔を知ることなのよね」と仲良しのヘアメイクさんが言う。 「自分を素敵に見せる方法を知っている人は本当にラッキー。その域に到達するには、『とにかく試す』しかないんだもの。見たままの色と肌にのせた時の印象が変わるから、実践するのみ」。つまりはトレンドよりも上をいく、セルフプロデュース力ということか。SNSの爆発的な広がりを見れば、この意味もわからなくはないだろう。
みんながみんな同じ色やアイテムを使う時代から、自分に似合う色やアイテムを見極め、選ぶ時代へ。実践ねーーーと言っても、数あるコスメから何をどう選んだらいいのか。考えるだけで途方に暮れてしまう。でも、ご安心を。ここで大活躍するのが、プチプラコスメ。100均コスメからドラック、バラエティストアコスメまで、色もテクスチャーも百貨店ブランドと決して引けを取らないクオリティーを誇っている。これらを上手に使い、とにかく自分を良く見せるコスメを探し、テクニックを身につけることができる。

隣のテーブルで女子高生がポーチの中のコスメを見せ合いっこしていた。「可愛いー」とみんなが褒めていたリキッドアイシャドウは、私も美容企画で取り上げたブランドのものだ。「安いから何色も買っちゃった」とワイワイ言いながら思い思いのメイクを楽しんでいる。
思わず笑みがこぼれる。そうそう、メイクの楽しさってこの好奇心が大事だったりするのよね。いろんなモノを見て、試して変化を楽しむ時代。令和の美容はこうでなくちゃ。

フジコシェイクシャドウ 全7色 ¥1,280(税抜き)/かならぼ

(Text & Photo:長谷川真弓

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